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無形の申し子  作者: 向日葵たんぽぽ
2/2

ヒーロー

あれから僕との会話を約四十分続けたところで、俺の通う塾に隣接するコンビニに着いた。

現在の時刻は午後四時

塾が始まるまであと一時間はある。

とりあえず、立ち読みするか…

一旦"僕"との会話を止め、大好きな漫画を読み始める。

この漫画は主人公がある日突然力を手にし、人を殺す敵と戦うというシンプルな話なのだが、俺はこの主人公に心酔している。

主人公は、自分がいつ死ぬか分からないような戦いに身を投じており、実際に何度か死にかけたにも関わらず、弱音や泣き顔を一切見せず、初対面の人に対しても相談にのったり、誰に対してもいつも笑顔で振る舞ったりする、俺の理想のヒーローだ。

はぁ、俺もこの人みたいになれたら…

でも現実に悪の組織が出現するわけもなく、謎の力に目覚めることもない。

しょせん理想は理想でしかない、もう何度も自分に言い聞かせたはずなのに、そんな理想を想像する度に笑顔になる自分がいる。

おっと、そんなことを考えていたら思ったより時間が経ったようだ。

俺はコンビニのチキンとおにぎりを買い、近くのベンチに腰をおろし、食事を始める。

塾が始まるまであと三十分、さてどう時間を潰そうか…

そんなことを考えていたら、下校中の高校生らしき四、五人の軍団がこちらに近づいてきた。

パッと制服を見る限り、俺と同じ高校のようだ。

彼らから目と身体を背け、できるだけ存在を消す!

我ながらやってて悲しくなるが、これも絡まれないためだ。

彼らは俺に絡むことなく通りすぎる。

ふぅ…

安心のあまりため息をもらす。

誰かと話すのが怖くなったのはいつからだろう。たぶん今の自分は少し泣きそうな顔になっているだろう。

ふと、あの漫画の主人公と比較し、情けない気持ちになった。




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