第7話 調査
結論から言おう。よくわからなかった!
明かりのない暗い部屋でも普通に見えるのはメタルゴーレムの特性だろうか。ゴーレムだから目玉があるわけじゃないし、どうやって見ているんだろう。考えても仕方ないことは、考えないでおこう。
よくわからなかったといっても、推測は出来る。我もそこまでバカじゃないよ!
この部屋ではゴーレムを作り出そうとしていたのだと思う。我の他にも2体ほどゴーレムがあったし、ゴーレムの腕や足といったパーツがいくつかあった。図面みたいなものもあったしね。
本や紙の資料、魔法陣を描いた羊皮紙もこの部屋には多数あった。紙や鉄の工具、配管などがあるところを見ると、この世界の文明も進んでいるのかもしれない。魔法のおかげだろうか。
ちなみに本などに書かれている文字はまったく見たことがない。ステータスの画面は日本語だったから読めたんだけどね。ステータスは親切設計だ。
一応全部の本を調べてみたけど、アルファベットが書かれている本なんて1冊もないし、数字もない。ここは十中八九、地球じゃないだろう。これで地球だったら驚くよ。フラグにならないかな、これ。ならないだろうな。
この調査の中でステータスはあくまでも自分の情報を表示させるだけということもわかった。本や工具を手にとって、ステータスと唱えてみても表示されるのは自分のステータスのみ。
自分のステータスが10回ほど表示されたところで、スタータスを唱えるのはやめた。
この部屋にある本やゴーレムの材料を持って行きたいが、持ち運ぶための道具もスキルもない。異世界の定番のアイテムボックスはないのだろうか。
念のために確認だけはしておこう。
アイテムボックス!
{ログ:アイテムボックスというスキルはありません}
やっぱりだめか。でも、鑑定とはちがい、スキルはありませんと聞こえた。鑑定というスキルはあるが、アイテムボックスというスキルはないってことか。
あきらめるしかないのかな。2体あるゴーレムは、黒い金属で出来ているものが1つ、灰色の岩でできているものが1つだった。それぞれ持ち上げてみると思ったよりも軽い。これは我のステータスが高い可能性がある。
ふっふっふ。ちょっとうれしい。
ゴーレム同士、合体ってできたりするのかな。やってみるか。
黒い金属のゴーレムに触れる。
合体!
・・・・・・何もおこらなかった。こうなるんじゃないかと思っていたけど、実際になってみると悲しい。ログも聞こえなかったし、あの声が聞こえる基準は何かあるのだろうか。
ここでの調査で、できることは全部やった。そろそろ外の世界に旅立とう。