第3話 悟りを開き、覚醒する
あれからどのくらいの時間が経ったのかわからない。
ひたすら瞑想をしていた。
自分自身を無に近づける。ひたすら無に思いをふける。
私は限りなく無に近づけた気がした。
そんな時に声が聞こえた。なんというか頭の中に直接響いてくる。
{称号【悟りしモノ】を得ました。称号【動じぬ心】は【悟りしモノ】に統合されました}
{称号【悟りしモノ】を得たことにより、スキル【覚醒】を得ました}
{スキル【覚醒】により、起動が可能になりました}
!!?
ふぁ!!?
えっ、何!!?
称号?
スキル?
【悟りしモノ】?
【覚醒】?
起動が可能って、もしかして動けるようになったとか?
まさかね?
・・・・・・目を開いてみるか。
ゴゥン・・・・・・と音がした。
{ログ:メタルゴーレムが起動しました}
うっ、ま、まぶし・・・・・・くない。でも、周りを見ることが出来た!
うぅ、うれしい!!!
テンション上がるわ! こんちくしょう!
叫んだつもりだが声が出ない。
{ログ:【悟りしモノ】の効果により、興奮状態が沈静化しました}
また変な声が聞こえた。一気にテンションが下がった。そして、冷静になった。
まずは状況の確認だ。
周りはなんか研究所みたい。明かりもない暗闇の中だ。でもきちんと見ることができる。いろんな工具っぽいものに、変な配管や魔法陣がある。魔法陣ってなんじゃそりゃ。ただ埃はかぶっていない。
動く気配が無くなってかなりの時間が経っていたから、埃まみれかと思ったけど、思ったよりきれいだ。なんか特別な力でも働いているのか。
次に自分の体を見てみる。きれいな銀色のメタルボディだ。
動けるのかと思い、両手を目の前に上げてみる。
おぉ、動く!
手には指が5本あるが、生物じゃない。ロボットみたいな指だ。
足を一歩踏み出す。
ガシャンと音がするのかと思ったが、静かなものだ。けっこうなめらかに動くじゃないか。
ただこの体は小さい。目の前の机より頭1個分くらい高いだけだ。
ふむ、どうやら、このメタルなロボットが私の体のようだ。