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第35話 信じられない

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3人を助けた後、我はまた山へと向かって歩き出した。


子供達に突然お礼を言われたからびっくりしてしまった。やはり無垢なる子供たちには、我が脅威ではないとわかるのだな。あの年齢でもきちんとお礼がいえることは素晴らしい。


大人の女性は、終始無言で我を警戒していた。大人は経験が邪魔をして、我とそこらの魔物をひとくくりにまとめてしまうかね。まったくまったく。人間にだっていい人もいれば悪い人もいるだろうに。考えを広く持ってほしい。


女性の反応を見た限り、やはり人間の住むところにはあまり近づかない方がいいのかもしれない。ちょっと気を付けておこう。触らぬ神に祟りなし。



山へと向かう途中古びた屋敷を見つけた。なぜ、こんな所に?


結構大きいお屋敷だ。木がうっそうと生い茂り、庭は草がぼうぼうと伸びている。まったく手入れがされていない。ここに来るまでに道らしい道も無かった。念のために、屋敷を一周してみても何かが出入りしているような跡はない。


これは入ってしまってもいいんじゃないかな。放棄されているみたいだし、我がちょーっと入るくらい何の問題もないだろう。そしてブラシとかあったらゲットしたい。身体を磨く為に。本当なら新品を買いたいのだけどね。


ブラシかタオルはどうしても必要だ。我の欠点を補うために。我のメタルボディの唯一の欠点は、自分の身体をこすり合わせると、不協和音が鳴り響くという点だ。こればかりはどうしようもない。


では、家捜しをするために入ってみましょう。我は門に手をかけて押した。錆びているためかギギィーといびつな音をさせながら、門が開いていく。ガシャン! 門が外れて倒れてしまった・・・・・・。


古いからね、仕方ない。

では、いざ行かん、屋敷の中へ。探索へと進もうではないか!


草をかき分け、玄関へと進む。ドアノブに手をかけ、開けようとするも開かない。鍵がかかっているのかな。ガチャガチャとドアノブをまわしても開かない。バキっと音を立てて、ドアノブが折れてしまった。


すまん。まぁ、誰も住んでいないのが不幸中の幸いだ。どんまい、どんまい。やってしまったことはどうにも出来ない。なぜならば我には過去を変えることはできない。我が変えられるのは未来だけだ。ならば前を向いて進んでいくしか無いではないか!


ひゅーっと扉の中から冷たい風が吹いてくる。


ん? なんかちょっとぞわっとしたよ。メタルボディなのにぞわっとするとは。悪寒が走ったというのかな、何かされた気がする。気のせいか?


{ログ:ゴーレムはゴーストから0のダメージを受けた}


!!? なんと! 気のせいではなかった!

我の感覚は正常だったよ。


それに初めてのログだ! この世界で我がダメージを受けたのは初めてだ! いや、でも、0のダメージだから、ダメージはないのか? どういうことだ!?


{ログ:【悟りしモノ】の効果により、動揺状態が解消しました}


ひょっとして世界の声が間違えちゃったって事かな? ぷぷぷ。世界の声も間違うことがあるんだね。でも、仕方ないと思うよ。誰にだってミスはあるからね。世界の声だってたまには間違うことがあるよ。気にするな、気にするなよ。ぷぷ。


{ログ:世界の声との親睦度が1下がりました}


ホワイ? なんだと、親睦度が下がった。下がる事なんてあるのか・・・・・・。やっぱりちょっと笑ったのがまずかったのか。本当の事を指摘されるとやっぱりいらつくもんな。ごめんな! 世界の声。我はちょっとからかってみただけなんだ! ホントのことだからって気にするなよ!


{ログ:世界の声との親睦度が1下がりました}


ぐわ、また下がった。なんてこった。


{ログ:世界の声との親睦度が規定値を下回りました}

{称号【声のトモダチ】を失いました}

{称号【声のトモダチ】を失ったことにより、スキル【通訳】も失いました}


はい? なんだと? マジか? そんなことあるわけないよね。念のためステータスを見てみますよ。見ちゃいますからね!?


ステータス!


ーー

名前 ゴーレム

種族 メタルゴーレム

Lv 12

ステータス 

最大HP:578

最大MP:551

攻撃力:255(+0)

防御力:255(+0)

素早さ:213

頭 脳:209

運  :255


スキル

【ステータス固定】

【復元】

【覚醒】

【悪あがき】

【非接触】

【バカになる】

【水泳】

【遠吠え】

称号

【変わらぬモノ】

【悟りしモノ】

【諦めぬモノ】

【愛でるモノ】

【煽りしモノ】

【人魚のトモダチ】

【犬のトモダチ】

ーー


うっそだー!? 本当に【声のトモダチ】と【通訳】が消えてるよ。


称号って失うの? 全部の称号がそうなのか、それともトモダチシリーズだけがそうなのか、どっちなんだ!? もしも称号【悟りしモノ】を失ったら、スキル【覚醒】も消えて、我ってばまた動けなくなっちゃうのか!? それはまずい。非常にまずい。また黙々と瞑想することになったら辛いよ!


{ログ:【悟りしモノ】の効果により、動揺状態が解消しました}



我はやってしまったようだ。


今までかなり助けられていたスキル【通訳】がなくなってしまった。これからは相手が言っていることがわからなくなる。人魚に獣人、モンスターの声もわからなくなってしまった。数少ない有効なスキルだったのに。なんてこった。


{ログ:【悟りしモノ】の効果により、悲痛状態が解消しました}


{ログ:ゴーレムはゴーストから0のダメージを受けた}


うーむ、この世界について知らないことが多すぎる。ちょっとまじめに調べた方がいいかもしれない。しかし、文字が読めないから、本や石碑などは読めない。【通訳】が消えたから、会話も出来ない。


調べようにも手詰まりだ。ちくしょう。


我は本当に大事なものを失ってしまったようだ。

本当に無くしてからこそわかるありがたさだよ。


幸いなことに、称号【声のトモダチ】の取得方法はわかっている。親睦度が5あればいいはずだ。逆に5を下回ったら、称号【声のトモダチ】は剥奪されてしまうこともわかった。


切羽詰まった状態でない今、これを知ることができてよかったと考えるべきだろう。


そうさ。親睦度が減ってしまったのならば、増やせばいいだけだ!

喧嘩をしたら仲直りもしないとね。我は諦めぬぞ。我は【諦めぬモノ】なり! 我の悪あがきを見せてくれる! 我はきっと再び【声のトモダチ】を得てみせるぞ!


いや、目指せマブダチ!


世界の声に質問することができたら、この世界のことを色々と把握しやすいはずだ!

前よりももっと! 来たときよりも美しくを実行する時はきっと今だ。


{ログ:ゴーレムはゴーストから0のダメージを受けた}



この際だ。もうちょっと落ち着いて考えよう。


【悟りしモノ】は定期的に発動しているから、強化されることはあっても、無くなることはないと信じたい。【悟りしモノ】はきっと加点方式のはずだ、きっと。もしくは点数方式ではないはず。減点方式だったら、とっくの昔に【悟りしモノ】という称号は我から消えていると思うんだよね。


そう考えると、【悟りしモノ】や【変わらぬモノ】などの自分自身に関する称号【モノ】シリーズは、一度取得したら変化することがないのかもしれない。もしかしたら【変わらぬモノ】が効果を発揮しているのかもしれないな。


ただその推測が正しい場合、非常に残念なことが1つある。称号【煽りしモノ】は消せないということになる。スキル【バカになる】とかホントいらないよ。



くっそー。それにしても【通訳】が消えたのはマジでイタいな。それもこれもゴーストとやらが我に攻撃をしてきたせいだ。


{ログ:ゴーレムはゴーストから0のダメージを受けた}


さっきから我が反撃をしないことをいいことに、ゴーストとやらが延々と我に攻撃をしてきているようだ。ゴーストよ、お前はひねり潰してくれるわ!

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