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第26話 解放

魚人達を追い払った後、我とピンキーは王宮内に入っていった。もう大丈夫とは思うが、ピンキーには念のためマントで身を隠したままにしてもらっている。


王宮内を進むも、あまり人がいない。というか人っ子一人見当たらない。どこかに閉じ込められているのだろうか。手当たり次第に探すしかないのか。



あっ、いた。恐る恐るといった感じで白旗を掲げつつ出てくる人魚達がいる。誰も彼もが怪我をしている。やってくる人魚達は男と年寄りばかりだ。


その中の一番年をとっていると思われる人魚が代表して声をかけてきた。魔法使いのような、仙人のような立派なアゴヒゲだ。


「どうかお止まりください。強きお方。この先には傷ついた者達しかおりませぬ。我らにできることならば、何でもいたしますのでどうか引き返してはいただけないでしょうか? 我らには今、戦う力も逃げる力も無いのです」


ものすごい緊張している様子だ。よく見るとすこし震えている。それは代表の人魚だけでなく、全員がそうだ。特に旗を持っている男は震え方が半端ない。白旗が水中なのにバッサバッサと揺れている。落ち着け、落ち着くんだ! 届かぬとわかっていても、声をかけずにはいられない。


あれ。これってもしかしなくても、はたから見たら、我が悪いことをしているみたい。まるで弱い者いじめをしているような雰囲気になっている。ちょっと居心地が悪い。


人魚達は皆、我から視線を外さずに、事の成り行きを見守っている


我はピンキーの方を振り返り、マントを脱いで話をするように伝える。我が怖くないことをこの人魚達に伝えてやってくれ。ピンキーとの意思疎通もジェスチャーだけでかなり伝わるようになった。何事も練習だ。


ピンキーは、今か今かと待ち構えていたかのように、バッとマントを勢いよく脱ぎ去り、その姿を現した。


「爺や! 皆は無事でしゅか⁈」


噛んだ。大事なところで噛むのが多いね、ピンキーは。チャンスに×がつくんじゃないだろうか。いや、これもひとつのキャラだ。特徴のないキャラよりも、何か特徴があった方がいい。


「ひ、姫様⁉︎ よくぞご無事で‼︎ なぜ姫様がここに⁉︎」


ピンキーは傷ついた人魚達の方に近づく。そんなピンキーを囲むように人魚達も駆け寄ってくる。


「私はお母様に言われて国を逃げ出しました。海を助けを求めてさまよっている時に、こちらにいらっしゃる人形様に出会ったのです。そして私は人形様に人魚の国を助けてくださいと求めちゃのです。そして人形様がこの国を支配していたシーサーペントと魚人達を追い払ってくださったのです!」


「なんと⁉︎ では姫様がお一人でこちらの人形様を連れてきてくださり、我らを助けてくださったのですか‼︎ 」


「違います! 人形様が助けてくださったのです‼︎ わたしゅは何もしてません」


目に涙を浮かべつつ、話し合うピンキーと人魚達。我は完全に蚊帳の外。ちょっと感動的な光景だ。物語のフィナーレに近づいているかのようだ。映画だとクライマックスが終わって締めの部分にはいるところだ。


「それで、お母様や国民の皆は無事なのでしょうか? 今この国はどうなっているのでし⁉︎」


すると聞かれた爺やは、顔を曇らせる。見た感じでも爺やとやらは怪我をしてるし、大丈夫じゃなさそうだもんな。他の人魚もろくな目にあっていないのではないだろうか。


「女王様はご無事です。しかし、第二王女様は、魚人に連れ去られ、人間達に売られてしまいました。その他にも年の若い綺麗な女子達ばかりが連れて行かれて、同じように売られてしまっています」


「そ、そんな」


愕然とするピンキー。人間がいるのかと思うのと同時に、こちらの世界では人身売買が行われているんだと、ちょっと微妙な気持ちになった。爺やが売り払われた人魚達の数をピンキーに伝えたが、横で聞いた我の印象では結構多いと感じた。


「魚人に抵抗した者は皆、ご覧のように痛めつけられました。中には命を落とした者もおります。それでも最初に魚人どもが攻め込んできた時に戦って生命を落とした者達の方が何倍も多いですが・・・・・・」


さっきまでの感動的なハッピーエンドを迎える雰囲気は消え失せ、皆、涙を流している。ちょっと空気が重い。我は動かぬ像のごとく、その光景を黙って見ていた。


爺やとやらは気丈にも涙を拭い、我らを女王が幽閉されているという離れまで案内するのであった。


ピンキーはそわそわと落ち着かぬように、爺やを急かして、急いで離れへと向かう。他の人魚達も急ぎながら後を追う。我もそれに続く。離れたら迷子になりそう。



王宮の離れに到着した。


「姫様、この中に女王様がいらっしゃるはずです。さぁ、お入りください」

爺やはそう言って女王が幽閉されている部屋の鍵を開け、扉を開く。


そこにいたのは夕焼けのようなきれいなオレンジ色の髪の毛をした人魚だった。ピンキーを大人にして、色っぽくしたような感じの人魚だ。突然、開いた扉に驚いている。


「お母様!? ご無事ですか」


扉が開くと同時にピンキーは女王に駆け寄っていく。そのままピンキーは女王の胸に飛び込んでいった。もふんと揺れてクッションになる女王のおっぱい。我は思わずその感動的な光景を心に刻み込む。


{ログ:ゴーレムは心のシャッターを押した。女王の揺れるおっぱいを記録した}


えっ、親子の感動的な光景を記録しただけなのに。なんだよ、女王の揺れるおっぱいって・・・・・・。親子の再会ではなく、おっぱいがメインテーマになってるじゃん!?


{ログ:【悟りしモノ】の効果により、動揺状態が解消しました}



「ぴ、ピンキーなの? あなたがどうしてここに!?」

「お母様! お母様ぁ!」


ピンキーは女王の胸に顔を埋めて泣いている。やわらかそうで気持ちよさそうだ。

胸の柔らかさのおかげか、少したつとピンキーも落ち着いた。おっぱいは偉大だ。


「お母様、こちらの人形様が私たちを助けてくださったのです! シーサーペントも魚人もすべて人形様が倒し、追い払ってくださったのです!」


「本当に!? では先ほど魚人の将軍が来て、私に尋問をしていったのはあなたのことだったのですね」


女王の目がまっすぐに、我を見つめてくる。そんなに見つめられると、ちょっと恥ずかしい。照れてしまうではないか。我は何に対しての尋問なのかよくわからなかったが、流れに乗るべきだろうと判断し、ゆっくりと頷く。


女王は我の前にゆっくりと進み出た。そしてまっすぐに我の目を見ながら言った。


「我が国をお救いくださり、ありがとうございました。すべての国民を代表してあなた様に感謝を」


その後、女王は深く深く頭を下げた。そして、ピンキーや爺やたちなどその場にいた他の人魚も「ありがとうございました!」と大きな声で言って、深く頭を下げるのだった。


{称号【人魚のトモダチ】を得ました}

{称号【人魚のトモダチ】を得たことにより、スキル【水泳】を得ました}


ーー

名前 ゴーレム

種族 メタルゴーレム

Lv 11

ステータス 

最大HP:578

最大MP:551

攻撃力:255(+0)

防御力:255(+0)

素早さ:213

頭 脳:209

運  :255


スキル

【ステータス固定】

【復元】

【覚醒】

【悪あがき】

【通訳】

【非接触】

【バカになる】

【水泳】

称号

【変わらぬモノ】

【悟りしモノ】

【諦めぬモノ】

【声のトモダチ】

【愛でるモノ】

【煽りしモノ】

【人魚のトモダチ】

ーー


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