第24話 武器を使うと手加減しづらい
シーサーペントが我に迫り来る。
「ギャギャウ、ギャギャウギャウ!」
(あのキラキラ、あのキラキラをやっちまうで!)
シーサーペントはどんだけキラキラが好きなのだろう。シーサーペントにとってキラキラしたものは、猫にとってのマタタビのようなものなのかもしれない。
一直線に向かって来るシーサーペントに対して鞭を上から叩きつける。初めての鞭。うまく当たるかな。
ベゴ!!
{ログ:ゴーレムはシーサーペントに150のダメージを与えた}
おお。当たった。そしてダメージを与えられた。連打はできないけど、これで範囲攻撃が可能になった。まだ向かってくるかな。
シーサーペントは怯んでいるみたいだ。後ろでボーマン将軍が叫んでいる。面倒なので全員まとめてかかってきてほしい。そして、我が鞭の実験台になってほしい。
おっ、シーサーペントがブレスを放ってきた。我の後ろは大通りなのでこのまま動かない方が被害は少ないだろう。人通りがなくてよかった。
ぐわ⁉︎
我が鞭がこちらに流されてくる。ブレスよりこちらの方が厄介だ。早く止まれ。ダメージはないけど鞭が大きくてブレスのせいで流されそうだ。
ぐぬぬぬぬ! 負けないぜ!
お、おお。ようやく止まった。ブレスが厄介なので、さっさとシーサーペントは沈めてしまっておこう。どりゃ!
ベゴ!!
{ログ:ゴーレムはシーサーペントに150のダメージを与えた}
{ログ:シーサーペントは息絶えた}
ふー、これで落ち着いて戦える。
おや。魚人達がちょっとビビってるな。ふっふっふ。いや、いかんいかん。さっきもこれで調子に乗って変な称号をゲットしてしまったんだ。
我は落ち着いた足取りで魚人達がいる広場に向かう。我から一定の距離を置いて、包囲してくる魚人達。うーん、鞭が届かない安全な距離を取っている。
魚人達は一斉に攻撃をしてくる。前にいる者は銛を投げ、後ろにいる者は魔法を放ってくる。カッカッカッと銛を弾く。魔法も直撃するが、何の影響もない我がメタルボディ。これほどの攻撃を受けて全くダメージを受けない自分が怖いぜ。
次はこちらの番だ。出来るだけ手加減しないと殺してしまいそうだ。我は魚人達に近づき、鞭をゆるーく横に振るった。
フワン。ドゴ、ドゴ、ドゴ、ドゴ……
{ログ:ゴーレムは魚人達に平均180のダメージを与えた}
{ログ:魚人達は息絶えた}
{ログ:ゴーレムはLv11に上がった}
あれ。ゆるーく振ったのに、そんなにダメージを与えちゃった? マジか。今ので20人近くやってしまった。ここは生死をかけた戦場なのだ。仕方あるまい。
今の一振りで鞭の有効性が証明されたな。今までは一人ずつ殴るか蹴るかくらいだったがこれでまとめて攻撃できる。
まぁ、殴るか蹴るかの時は相手をやってしまうことはなかった。手加減がきちんとできてたんだ。鞭だとそのへんの微妙な力加減が難しい。
少し右の方を向き、そちらにいる一団にさっきよりもゆるーく鞭を振るう。
フワン。ドコ、ドコ、ドコ、ドコ……
{ログ:ゴーレムは魚人達に平均120のダメージを与えた}
{ログ:魚人達は息絶えた}
与えたダメージが減った。手加減できた。よくやった。一歩前進だ!
でも、まだ死なせてしまっている。もっと練習したほうがいい。もっとゆるーく振ろう。
フワ。ドコ、トコ、トコ、トコ……
{ログ:ゴーレムは魚人達に平均95のダメージを与えた}
{ログ:魚人達は息絶えた}
これでもダメか。すごい弱めたんだけど。どのくらいのダメージなら死なせることはないんだろう。手加減は難しい。
まだまだ魚人達はいる。ボーマン将軍は、この状態でも我に攻めかかるように指示を飛ばしている。兵達はひるんでいる者もいるが、なおも我に向かってくる。
よし。向かってくるならば、我もこのまま相手をさせてもらおう。できるだけ簡単に死んでくれるなよ。