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第22話 新たなる称号

我とピンキーは王宮を目指して歩く。人魚の国の住人達の姿はない。視線は感じるから、家の中にいるのであろう。魚人達を恐れているのだろうか。人のいない町並みというのは何とも寂しいものだ。


「ここから先が大通りです。そして大通りをたどっていけば王宮に着きます!」

マントにくるまったピンキーが勢い込んで話しかけてくる。無理もない。魚人達に攻め込まれてから一人でずっとがんばってきたのだから。



家の影から大通りをこっそり見る。魚人達が5人1組で巡回している。ん、さらにちょっと行った大通りの真ん中にはシーサーペントと魚人達が集まっているな。もしかして、さっき逃げていった魚人達が我への対処を考えているのかもしれないな。


我が一人で行くというジェスチャーをし、ピンキーにはここで待っておくように伝える。しぶしぶといった感じで了承してくれた。


巡回中の魚人がシーサーペントの方に通り過ぎて行ってから大通りに出る。挟み撃ちをされないように。


人魚の国の大通りは砂のままだ。舗装されていないので、あまり大きな足音はたたない。だが、なるべく足音を立てないように進む。


街灯の代わりの光クラゲが一定間隔で大通りに配置されている。光クラゲはよくわからない透明な球体に入れられ、その中をふわふわと泳いでいる。ガラスなのだろうか。プラスチックじゃないよね。


光クラゲのやさしい光が我のメタルボディにあたると、キラキラと反射していく。我のボディの輝きは隠しきれない。


あっ、どうやら光り物に目がないシーサーペントが気付いたっぽい。いきなり動き出したシーサーペントに魚人達は慌てふためいている。シーサーペントが我の方に向かってくる。


途中にいる巡回中の魚人達は驚いて大通りの端に慌てて身を寄せている。


我の近くまで来たシーサーペントは、そのまま口を開けながら我に突進してきた。


「ギャギャウ、ギャウギャウ!」

(キラキラや! キラキラがあるで! )


まったく、シーサーペントってのはどれだけ光り物が好きなんだ。我は落ち着いてシーサーペント顔に向かってワンツー・ドンとパンチを放つ。


ドゴ、ドゴ、ドゴン!!

{ログ:ゴーレムはシーサーペントに420のダメージを与えた}

{ログ:シーサーペントは息絶えた}


またつまらぬものを殴ってしまった。私に無益な殺生をさせないで欲しい。さて、残りは魚人達だけだ。あと1匹シーサーペントがいるらしいが、王宮にでもいるのだろう。


巡回中だった魚人の5人組は一目散に仲間の魚人達の方に向かっていく。我もそのまま魚人達がいる方向へ歩いて行こうとして、シーサーペントの亡骸の横を通り過ぎようとしてから、ふと思った。これって振り回したら武器になるんじゃなかろうか。我の攻撃手段は殴る蹴るしかない。近接格闘特化だ。魔法が使えれば範囲攻撃が出来るんだろうけど、今の我には使えない。


この6mほどのシーサーペントを武器に出来れば、一人一人殴ったり蹴ったりしなくていいから便利だ。うむ、そうとなればシーサーペントを持ち上げてみよう。たいしたことないがない重さだ。シーサーペントのしっぽを持ち、ぶんぶんと大通りに沿って振ってみる。ちょっと水の抵抗があって、動かしにくい。


あっ、光クラゲが入っている入れ物が流されていく。あっ、光クラゲが入っている入れ物にあたっちゃったよ。パリン! プチ!


{ログ:ゴーレムは光クラゲに180のダメージを与えた}

{ログ:光クラゲは息絶えた}


なんてこった!? どうして振り回しちゃうんだよ。ちょっと考えればわかるだろ。ちょっと広いからって、こんな大通りでシーサーペントを振り回しちゃダメなんだよ!


{ログ:【悟りしモノ】の効果により、動揺状態が解消しました}


戦いに犠牲はつきものだ。海のギャングといわれるらしいシーサーペントと死闘を繰り広げたのだ。多少の破壊はやむを得ないだろう。


我はシーサーペントを担ぎ上げつつ魚人達の方へ向かう。こちらに向かってきていた魚人達は、我がシーサーペントを振り回したら、突然止まりおった。これはあれだな。びびってるな。


ヘイヘーイ、ピッチャーびびってるよ! どったのどったの!? たったそれっぽっちで我を止められるの!? プチって潰しちゃうよ!


調子に乗って、シーサーペントをぶんぶんと回転させながら魚人達へと向かっていく。我を基点とした逆円錐のような感じで振り回しているので、もちろん街には影響がない。我は同じ過ちを繰り返さないよ。


ヘイヘーイ! ブンブンブン!

ヘイヘーイ! ぶんぶんぶんぶん!


ジリジリと後ずさる魚人達。もしも我に表情があったら、まちがいなくドヤ顔になっていると思う。ゴーレムで良かった。


ヘイヘーイ! びびってんのか! ブンブンブン!


さらに後ずさる魚人達。後ろの方のヤツはついに我慢できなくなったのか、逃げ出した。

我は調子に乗ってどんどん繰り返す。我を止められる者はいないのか!


ヘイヘーイ! どったのどったの!?


{ログ:【悟りしモノ】の効果により、興奮状態が沈静化しました}


冷静になるとちょっと恥ずかしいな。シーサーペントを振り回すのをやめた時に、世界の声が鳴り響いた。


{称号【煽りしモノ】を得ました}

{称号【煽りしモノ】を得たことにより、スキル【バカになる】を得ました}


なっ、なんだと!? 【煽りしモノ】!? それはまだいいけど、【バカになる】ってどんなスキルだよ!?


{ログ:【悟りしモノ】の効果により、動揺状態が解消しました}

ーー

名前 ゴーレム

種族 メタルゴーレム

Lv 10

ステータス 

最大HP:578

最大MP:551

攻撃力:255(+0)

防御力:255(+0)

素早さ:213

頭 脳:209

運  :255


スキル

【ステータス固定】

【復元】

【覚醒】

【悪あがき】

【通訳】

【非接触】

【バカになる】

称号

【変わらぬモノ】

【悟りしモノ】

【諦めぬモノ】

【声のトモダチ】

【愛でるモノ】

【煽りしモノ】

ーー

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