第14話 海藻から出てきたモノは
海藻と勝負を始めてはや一週間。海藻のヤツは距離を徐々に詰めてきている。もうあからさまに近い。そこまで近づくなら、触ってくればいいのにっていうくらい近い。
はっ!!? ちょっと重要なことに気づいた。
海藻、海藻って言っているけど、ここが海かどうかは確定していないぞ。シーサーペントってのがいたくらいだから、海だと無意識のうちに思い込んでいた。おそらく、こんなに広い湖はないと思うから海だとは思うけど、確定情報じゃない。
海じゃないのに海藻とか呼んでたら、ちょっと恥ずかしい。誰にも聞こえてないからいいけどさ。海藻じゃなく藻と呼ぶことにしよう。
そんなことを考えつつ、目の前に漂う藻をじっと見る。ふわふわと8の字を描くように泳いでいる。もう浮かんでいるとかじゃない。これは泳いでいるよ。人間だった時に水族館で見たクラゲよりも泳いでいる。
だが、これは我と汝との勝負。こんなところで接触してイベントフラグを立ててはいけない!
我は【諦めぬモノ】なり!
目の前で泳ぐ藻を大きく避けてまた歩き始めた。藻はショックを受けたかのように、体を震わせた後地面にゆっくりと降りていった。
ーー3日後
まっすぐ歩く。藻は我の周囲を円を描くように泳いでいる。正直、ちょっとうざい。
おや、目の前に我と同じくらいの大きさのトゲトゲが生えた黒い物体がある。これってウニだよね?
今は食べることができないけど、人間だったときはウニの軍艦巻きは大好きでした。なんというか、新鮮なウニはすごい旨いよ。日本にいる人は是非とも北海道に行って食べてもらいたいね。
そんなことを考えながら歩いていると、ウニからトゲが発射された。カッ、カッ、カッと我のメタルボディにトゲが当たるもダメージはない。傷一つついていない。
我を捕食する気なのかと思い、ウニに向かってファイティングポーズを取る!
やるか!? やんのか!? ゴルァ!!?
{ログ:【悟りしモノ】の効果により、興奮状態が沈静化しました}
ふむ、ウニのヤツは我に興味はなさそうだ。じゃあ、なぜに我にトゲを撃ってきたのだろう。
その理由はすぐにわかった。我の後ろに隠れていた藻が姿を現すとすぐさまウニからトゲが発射されたのだ。藻はぎりぎりでトゲをかわす。かわした後はすかさず我の後ろに隠れおった。
そういえばウニって藻を食べるからな。このあたりも食べられたであろう藻の残骸が至る所にある。
藻を狙ったウニからの追撃のトゲが我に当たる。カッ、カッ、カッと当たっては弾かれ、当たっては弾かれを繰り返す。えぇ〜、何これ。嫌がらせか。
仕方がない。我と敵対するのであれば恨みはないが倒すしかあるまい。
ウニにゆっくりと近づく。カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッとトゲが休むことなく打ち出され続ける。しかし、我には一切のダメージがない。さすがはメタルボディ。ウニにたどり着く。
我はウニに向かって拳を突き出す。ドゴン! トゲを砕きながらウニ本体へと体が拳が突き刺さった。
{ログ:ゴーレムはウニに120のダメージを与えた}
{ログ:ウニは息絶えた}
また無益な殺生をしてしまった。生きるっていうのは悲しいね。悲しさの積み重ねだね。
かっこよく物思いにふけるゴーレムを演じていると藻が目の前に泳いできた。何か意を決したように小刻みに震えている。まるでスーハースーハーと呼吸を繰り返しているような感じだ。
いよいよ、この藻との勝負にも決着がつきそうだ。
ついにバッと藻が飛び散り、辺り一面に藻が広がった。藻が我に覆い被さり周りが見えなくなった。




