第10話 旅立ち
木っ端みじんになった扉を前にしばし呆然とする。
84000のダメージって、いいのか? 桁が一気に変わったよ?
計算方法とか大丈夫かすごく心配になる。
{ログ:【悟りしモノ】の効果により、不安状態が解消しました}
まただ。頭に響くこの声はなんなんだ。ログとかオフにして欲しい。
{運命の選択:世界の声をオフにしますか? オフにした場合、2度と世界の声は届きません}
おっ、なぜか、選択を迫られた。だが2度と世界の声を聞けないのは困る!
この世界で唯一の情報源だし、聞こえなくなったら聞こえなくなったで寂しい。
なのでオンのままでお願いします!
お友達になってください!
{結果:世界の声はオンの状態で固定されます。親睦度が5上がりました}
{ログ:世界の声の状態変更が不可能になりました}
{称号【声のトモダチ】を得ました}
{称号【声のトモダチ】を得たことにより、スキル【通訳】を得ました}
なんと、親睦度なんてものがあるのか。そして新しい称号を得た。【声のトモダチ】だ。
これでぼっちじゃなくなった。
レベルも上がったことだしステータスを見てみよう。なんせ一気に9も上がったから、何かしら変化があるはずだ。
ステータス!
ーー
名前 ゴーレム
種族 メタルゴーレム
Lv 9
ステータス
最大HP:578
最大MP:551
攻撃力:255(+0)
防御力:255(+0)
素早さ:213
頭 脳:209
運 :255
スキル
【ステータス固定】
【復元】
【覚醒】
【悪あがき】
【通訳】
称号
【変わらぬモノ】
【悟りしモノ】
【諦めぬモノ】
【声のトモダチ】
ーー
ステータスをじっくりと確認する。
マジか。【声のトモダチ】と【通訳】が増えているだけだ。
ステータスのパラメータには変化がない。
ゴーレムだからステータスってあがらないのか。いや、某RPGではゴーレムだってレベルアップと同時にステータスは上がっていた。
これはやはり【ステータス固定】のせいなのではなかろうか。
残念な結果だ。非常に残念な結果だ。
{ログ:【悟りしモノ】の効果により、がっかり状態が解消しました}
声の説明がちょっとフレンドリーになった気がする。なんてったってトモダチだからね。ふふふふ。
ステータスが変わらないなら変わらないでいいさ。どうにもできないことを考えても仕方ない。人間前向きに生きないとね。あっ、人間じゃなくてゴーレムか。
【通訳】のスキルが手に入ったので、旅立つ前に本を読んでみることにしよう。なんて書いてあるんだろう。この世界の情報がちょっとでも手に入るとうれしいのだけど。
パラパラパラと本をめくってみる。
何もわからない。さっきと同じだ。
ひょっとして【通訳】だからか。翻訳じゃないから文字は読めない?
何それガッカリ。ガッカリだよ。
{ログ:【悟りしモノ】の効果により、がっかり状態が解消しました}
意思疎通のとれる相手じゃないと【通訳】は効果がない可能性が高いね。
まぁ、気を取り直して出発しようじゃないか。
ようやく部屋を出ることができる。出た先も小さな部屋になっていた。その中央には魔法陣が刻まれた立方体の大きな石があった。黒くてちょっときれい。黒曜石ってやつかもしれない。
そっと触れてみると魔法陣が輝き出し、光に包まれた。
あっ、これって、ダメなパター・・・・・・
{ログ:転移石は登録者以外の魔力を感知しました。転移石の周囲に存在する者はランダムに転移させられました}




