第8話 旅立てない
部屋にある唯一の扉の前に立つ。押してみるも開かない。
押してもだめなら引いてみろ? 開きません。
ふすまのようにスライドさせるタイプか? 違いました。
なんてこった! 旅立てない。
扉を開けるためのボタンでもあるのか、レバーか、ヒモか、何かあるのではないかと思い、周囲を探す。
何もないね。
ぐわぁぁあああああ! こんなところで躓くなんて!
{ログ:【悟りしモノ】の効果により、興奮状態が沈静化しました}
落ち着け、我。あきらめるのはまだ早い。きれいに開けようとするからダメなのだ。緊急事態には扉は蹴破ればいい。ちなみにこの部屋には窓はない。蹴破る対象は扉だけだ。
ということで、殴ってみる。
ドゴン!! と、大きな音を立てるも扉はそのままだ。
なんてこった! 出られないぞ!
{ログ:ゴーレムは封印されし扉に28のダメージを与えた}
ん? 28のダメージ?
ということは、しょぼいけどダメージは与えることができたってことだ。
ダメージを与えることが出来るなら、壊せるってことだろう。ならば、殴り続けるのみ!
ドゴン!!
{ログ:ゴーレムは封印されし扉に28のダメージを与えた}
ドゴン!!
{ログ:ゴーレムは封印されし扉に28のダメージを与えた}
ドゴン!!
{ログ:ゴーレムは封印されし扉に28のダメージを与えた}
・・・・・・10時間経過
ドゴン!!
{ログ:ゴーレムは封印されし扉に28のダメージを与えた}
ドゴン!!
{ログ:ゴーレムは封印されし扉に28のダメージを与えた}
ずっと殴っているのに、いっこうに扉を壊せない。マジかよ。どんだけ頑丈なんだこの扉。ただし、我の体力もずっと減らないし、全く疲れない。根比べだ! 扉よ!
ドゴン!!
{ログ:ゴーレムは封印されし扉に28のダメージを与えた}
ドゴン!!
{ログ:ゴーレムは封印されし扉に28のダメージを与えた}
殴ろうと振りかぶったところ、扉の様子が少しおかしい。ちょっとキラキラし始めた。これは壊れる前兆なのではなかろうか! このままいってしまおう!
ドゴン!!
{ログ:ゴーレムは封印されし扉に28のダメージを与えた}
扉のキラキラが強くなった時、声が響いた。
{ログ:日付が変わった為、封印されし扉は完全修復されました}
えっ!?