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安楽椅子探偵と私  作者: ピヨ/七海ちよ
こぼれ話
11/13

頑張ってね、





「ねえ、シュウちゃん。私の事、嫌になったりしない?」

「どうして?」

「だって私、元気だよ。走り回っても全然平気だし、風邪も滅多に引かない。入院したのだって、あのとき骨折したのが最初で最後。私は、シュウちゃんにないものを当たり前みたいに持ってるよ」

「どうしてそれで芽依子が嫌になるのかな」

「羨ましかったり妬ましかったりしないの?人の持ってるものって、ただでさえ素敵に見えるでしょ」

「そうだね。でも芽依子に対して、そんな風に思う事はないよ」

「どうして?」

「だって僕は、芽依子が元気だと嬉しいから」

「…………そうなの?」

「うん、芽依子が元気に走り回っていると微笑ましいし、逆に風邪を引いて寝込んでいたりする姿を想像すると、とても悲しい」

「そうなんだ」

「だから芽依子の事を嫌になったりはしないよ」

「良かった。シュウちゃん、私もシュウちゃんが元気だと嬉しいよ」

「そう?」

「うん、ずっとシュウちゃんににこにこしてて欲しいもん」

「そっか、じゃあもう少し頑張らないと」

「そうだよ。もっともっと、頑張らないと嫌だよ」


痛いよね、苦しいよね、そう思いながらも私はシュウちゃんに懇願する。いっそ抗わず、緩やかな終わりに身を任せた方が楽なのだろうか、と考えるときもある。頑張って欲しいと願うのは、ただ私が悲しいからだ。寂しいからだ。苦しいからだ。

シュウちゃんのいない未来を想像したくないからだ。

しばらく寝込んで、会う事さえ禁止されて、久しぶりに言葉を交わしたシュウちゃんは、真っ青な顔で点滴に繋がれたままベッドに横たわっていた。その手をしっかりと握り込んで願う。


「私はずっとここにいるから」


シュウちゃんの未来には私がずっと寄り添っている。だから、私の未来でも、少しでも長くそばにいて欲しい。

それは嬉しいなあ、とシュウちゃんは緩やかに笑った。









読んで頂きありがとうございます。

何だかパッと浮かんで書いてしまいました。前半会話文のみなのは仕様です。

今月中に、今度は穏やかな話を投稿したいです。



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