~第十話~ードンガグールと火のクリスタルエレメントー
ドンガの恐ろしい声は精神に語りかけられているようだった。
『お前がドンガグール…………』ルーンは剣を鞘から抜いて構えた
『ほぅオマエ、ワタシを倒そうなどと思ってはいないだろうな?』
やはり、ドンガグールは人の心を、思考を読みその先の行動までも見抜いてしまう
『お前がボクの父さんと母さんを』
『ぁあ、確かにオマエに似ていた夫婦が来たが、あれはオマエの産みの親だったか、とてつもない魔力の持ち主だった』
ドンガグールは真っ赤に染まる眼を細めた
『だからっ…………だから喰らったのか!』
『フフさすがにあの様な魔力で封印され…………』
ーー次の瞬間ドンガグールの漆黒に輝く鱗が凛と散った。それと同時に地面へ足を滑らせたのは
ルーンだった
『お前が殺したんだな、火のエレメントごと仇をとってやる』
ルーンは腰のバッグから岩石丸に貰った森のクリスタルを剣と共に握りしめ、大声を上げた。
『飛竜丸!』
『おおう!』
ルーンの言葉に圧倒され、見いっていた飛竜丸はルーンの声に反応した
『見事だなその剣さばき……その小さな身体でどこまで戦えるか試してやろう』
ドンガグールの目の色が変わりルーンをにらむ
『ルーン!火のクリスタル・エレメントはあいつの腹の中にあるはずだ!俺様はいつでも準備万端だゼ~!』
飛竜丸は足で地面をならし、ルーンに合図をした
ルーンは頷き剣を天にむけて叫んだ
『森よ………僕に力を!』
するとルーンの周りに緑色をした光が集まりだし、ルーンの身体に吸い込まれていった
『行くぞ!飛竜丸!』
ルーンは助走をつけ、飛竜丸に飛び乗った
『卑劣なちょこまかと』
飛竜丸に乗ったルーンはドンガグールの周りをとびまわって、攻撃の機会をうかがっていた
『ルーン。ここから一気に身体に宿った森の力を解放して、剣に力をためろ。剣をあいつの首から腹へ一線で斬れ』
そうルーンに伝えると飛竜丸は急降下して、ドンガグールの頭上へ飛んでいく
『今だ!』
『やぁあああああっ!!!』ルーンは飛竜丸から飛び降りると一気にドンガグールを真っ二つにきりさいてしまった。
『そんなバカなこと………がこんな…ガキに』
ドンガグールの身体は砂のように天へと消えてしまった。
『や…ったのか?』
ーードンガグールの消えていく姿を見て
仇はとれたと喜びに道溢れていた時だった
『ルーン!あれを』
『…………』
そこにはドンガグールの腹の中で眠っていた
火のクリスタル・エレメントが光を帯びルーンの下へ舞い降りてきた
『雲が……晴れていく』
火のクリスタル・エレメントにルーンが触れた瞬間
雲で覆われていた空は光を通し
何事もなかったように晴れた空へと変わっていった
『これが火のクリスタル・エレメント…暖かい』
火のクリスタル・エレメントはルーンによっておさめられた
これで2個目のクリスタル・エレメントがルーンのもとに集まったのだった