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カカの天下  作者: ルシカ
93/917

カカの天下93「テレビを見よう」

「トメ兄、ニコラシカってなに」


 トメでーす。


 居間に座って二人でテレビを見ていると、カカがそんなことを聞いてきました。


 CMに出てきたから聞いてきたんだろうけど、見てわからなかったのかな。


「お酒の一種だよ」


「なんだ、私はてっきり『ニコニコしてるらしい蚊』の略かと」


 してるらしいってなんだよ。血を吸ってニコニコしてる蚊も気色悪いが。


「トメ兄、育毛剤の宣伝してるよ」


「なんで僕に言うの」


「将来ハゲそうだから」


「なぜにそないな風に思うんや」


「私とか姉の面倒見てるから。ストレスでハゲそうじゃん」


「おまえ、自分のことよくわかってるなぁ」


「まぁね」


「……僕に気遣って自分を直そうとかは思わないの?」


「個性って大事だよね」


「……そだね」


 ええ、わかってますよ……ハゲる、のかなぁ。今の世の中二十代でも油断ならないらしいし……ちょっと真剣に考えとこうかな。


「トメ兄、このお笑い芸人つまらないね」


「そだな」


「多分私たちのほうがおもしろいよ」


「私たちって誰だ。おまえらカカサエサユカのトリオか?」


「欠かさずおかゆ? なにそれ」


「トリオ名、勝手につけただけだけど」


「欠かさずおかゆ食べるトリオ?」


「平和そうなトリオだな」


「おかゆのCMにしか使われなさそう」


 さて、つまらないのでチャンネルを変えよう。ポチっとな。


 出てきた画面は野球中継。


「ねえトメ兄。野球ってなんで延長するんだろうね。他の番組に迷惑なのに」


「んー、やっぱ人気あるからさ。延びたんなら少しでも多く見せたいんじゃないか?」


「ならさ、時間切れで一旦試合やめて、別の日にもっかい再戦したほうが見る人多くなるんじゃない?」


 ……たしかに。


「そうすればもっかいお金とれるし。延長で他の番組迷惑しないし」


「んじゃその提案言ってこいよ」


「誰に言えばいいの?」


「えっと……ナガシマ監督?」


「そんなに偉いのナガシマさん」


「さぁ……でもなんとかできそうじゃないか? なんとなく」


「わかった。あとで手紙送ってみる」


「好きにしろ……」


 僕もカカもスポーツは見ないので、ポチっと再びチャンネルを変える。


 なんか恋愛系のドラマをやっていた。


 内容は……なんか兄と妹の禁断の愛だとか。


「トメ兄ってさ、妹に欲情とかするの?」


「そんな言葉どっから覚えてくるんだおまえは!?」


「姉」


「聞くまでもないよな……はぁ」


 どうせ言葉の意味は「好き」の別の言い方、くらいにしか思ってないだろうが……


「で、するの?」


「するわけなかろう。んな心配するならたまに風呂場から部屋まで素っ裸で戻るのやめろ」


「えっちー」


「そう思うんならやめろ。別に僕はどうも思いはしないが、はしたない。前から言ってるだろうが……あと、そもそも小学生なんか女として見るわけないだろ」


「かわいそーサユカン」


「……聞こえなかったんだが。誰が可哀想って言った?」


「誰でしょう。はてさて」


 はてさて?


「お、キスシーン」


「トメ兄、誰かとキスしたことある?」


「おまえとか」


「……ぅはひぃ!?」


 なんかものすごい声で驚いたな。


「なんだよ。幼稚園のころはおまえ僕にべったりでさ、しつこくねだりまくってきたじゃないか。寝てる間とか勝手にするし」


 まぁそれはほんの一時期の話で、なんかヤバイっぽいからと途中で僕がやめるように言い聞かせたんだけど。


「………………う、嘘だっ!?」


「そう思うなら思い出してみろよ」


 あ、思い出したのかな。


 なんか顔が爆発した。


 カカはそのまま立ち上がり、ダッシュで自分の部屋へ戻っていった。


「……かわいーなーあいつ」


 シスコンとか言うな、そこのやつ。


 さて……テレビテレビ。おお、ちょうどお子様には見せられないシーンが。


 カカは帰ってこないけど……ま、どうせ明日の朝には元通りだろ。


 いつも通りいつも通り。


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