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カカの天下  作者: ルシカ
917/917

カカの天下917「たい焼きは悪くない」

 こんにちは、トメです。

 

 お久しぶりです。


 ・・・何が久しぶりなんだろう。まぁいいや。


「ただいまトメ兄」


「おかえりカカ」


 どっか行ってた妹が帰ってきた。


「たい焼き買ってきたよ。食う?」


「食う!」


「じゃ、まず手を洗いなさい」


 カカが手を洗ってる間にインスタントの緑茶も用意する。


「たい焼きくださいな」


「用意するから、座って待ってな」


「はい」


 食べ物が絡むとおとなしく言うことを聞く妹。


 準備しながら声をかける。


「外で何してたんだ?」


「サユカンが何年か先の未来予想図を語ってたから、それ聞いてた」


「へー。どんな?」


 たい焼きと緑茶を提供するとカカはすぐに飛びついた。


「むぐむぐ、んまい」


「で、どんな未来を話してたんだよ」


 カカはもぐもぐしながら答えた。


「トメ兄が無理やり(な設定で)サユカンと子供作ったんだって」


「え」


 なんかカカがもぐもぐしてて途中聞こえなかったけど。


「(トメ兄が)お酒飲んで潰れて(サユカンが)お持ち帰りして前後不覚なところを自室に連れ込んでなるべく音をたてずにふひへへって言ってた」


「どう聞いても犯罪者じゃないか・・・」


 ショックだ。


 妹の友達に無理やり手を出すようなやつだと思われてたのか。

 

 なんだ、ふひへへって。


 僕はそんな笑い方に見られていたのか。


 実はもぐもぐしてるときに()とかでカカが大事な部分を省いてるだけじゃないかと思ったけど、わからないし。


「子供は2人」


「前科2犯・・・」


「そのうち、女の子の方は姉に守られてる」


「え? え? 僕、自分の子にまで怖がられてるの? 姉が守らなきゃいけないくらい?」


「そのあと、トメ兄は私と浮気する」


「罪が多すぎる」


「タケダとも浮気する」


「大犯罪者・・・!!」


「そして捨てられる(タケダだけ」


「そりゃ捨てるだろうね! そんなやつ! ゴミの日が待ち遠しいだろうさ!」


 あぁ、僕は「ふひへへ」と笑いながら妹の友達が前後不覚なところを自室に連れ込んで無理やり手を出して2人の子供を作って子供には怯えられてその後に妹と浮気してタケダと浮気して捨てられるようなやつだと思われてたのか。情報量多いなくそ。


「何か・・・何か希望はないのか?」


「姉は結婚できない」


「いや希望がない話をしてほしいわけじゃなくて」


 僕は・・・サユカちゃんに、そんな犯罪者予備軍と思われていたのか。


「僕の何が悪かったんだ」


「(たい焼きの)頭が(好き)」


「頭か・・・」


 たい焼き食い続けてるやつにここまで言われるのが腹立つ。


「たいやき食べる?」


「・・・食べる」


 さっきから何個食ってんだこいつは。


「なぁカカ。僕、サユカちゃんに嫌われてるのかな? どうすればイメージ良くなるかな?」


「たい焼きをもっと買えばいい」


「カカが食いたいだけだろ」


 何個食うんだこいつは。


「違うよ。一緒に食べながら未来を語るんだよ。きっとあんこが沢山詰まった甘い未来になるよ!」


「じゃあ今度持っていくよ」


「私は今食べたいんだ」


 こいつ未来はデブだな。


たい焼きが食べたかっただけです。


私が。

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