カカの天下914「何か変なような気がする日常の始まり」
懐かしい。
そう感じた。
「あれ、なにが懐かしいんだろ」
いきなりよくわかんないカカです。
寝起きの頭でボヘーっと考える。眠い。布団気持ちいい。もっかい寝たい。
「あれ、なんか夢見てたっけ」
こういうふわふわした寝起きは結構好き。でも夢ってすぐ忘れるからもったいない。
「なんかトメ兄が出てきたな」
私の夢には大体トメ兄が出てくる。物心ついたときからずっといるからね。夢でも大体隣にいる。たまにうざい。
「うーん? なんかウイルスが流行ったり戦争が起きてたり物価が上がったりした夢を見たような」
まぁいいや。そんな物騒な夢は楽しくない。起きよう。
きっとトメ兄が美味しい朝ご飯を用意しているはずだ。
軽く伸びをして部屋を出る。ごはんごはん。
「あれ、トメ兄おらぬ」
代わりにテーブルに朝ご飯だけ置いてあった。
「お、だし巻きたまご」
やるなおぬし。なにやらベーコンときのこを炒めたものもある。
「んー、一人食べるのやだな」
夢見が悪かったのだろう。寂しい。
そう思った私は食べる前に外に出た。
んで、そこに歩いていた人に声をかけた。
「そこの人。朝ご飯、一緒に食べません?」
「は?」
「や、ご飯。一人で食べるの寂しくて」
「ええと」
「あ、初めまして」
「初めまして、だよね?」
「そうだよ。何言ってんの」
「こっちのセリフ……」
「だし巻きたまごあるよ?」
「え、それはいいね」
「でしょ。だし巻きたまごなら仕方ないでしょ」
「それは確かに仕方ないけど、今のご時世は難しいよ」
「ん? なにそれ」
「あんまり急に声かけちゃダメだよ。あとマスクはしたほうがいい」
「どゆこと。あれ、いっちゃうの?」
おかしい。だし巻きたまごで釣れないとは。別の餌のほうがいいかな。ベーコンよりたまごの方が好きなんだけど。
「あ、そこの人」
「はい?」
「朝ご飯一緒に」
「マスクしなさいよあなた」
いってしもうた。
なんか変。
「あ、タケダ! 朝ご飯一緒に食べよ! タケダ、おーい」
おかしい。珍しくこちらから声をかけたというのに。去っていった。
なんか咳してた。
「どゆこと」
寂しい。
なにこの世界。
みんなマスクしてる。
顔が見えない。
一緒にご飯を食べることもできないの?
「という夢を見たのさ!」
「そうか、それでだし巻きたまご作らされてんのか僕は」
「そうだわかったか」
「なにもわからん」
「ふはは、バカめ。このようなこともわからんか。いいからもっと作って一緒に食べるがいい」
「よーわからん寂しがり方するなぁ」
「トメ兄」
「なに」
「相手の顔見てご飯が食べれるって大事だよね」
「当たり前じゃん」
ここがあんな世界じゃなくて良かった。
あの世界も、相手の顔見て、安心してご飯を食べられる世界になればいいのにな。
「ウイルスが蔓延した世界の夢見たんだろ? もっと他にないのか」
「ないでしょ。難しいこと私わからんもん。ご飯食べよ」
「難しくするのは人の悪い癖だし、それくらいで丁度良いのかね」
「出たなじじトメ」
確かに、なんか色々難しそうだったなぁ、あの世界。
やだやだ。美味しいご飯食べて過ごそ。
「ご飯は大事」
「それは同意する」
さて、ご飯食べたら久々に暴れるのもありかね。
……久々?
とてもとても久しぶりですね。毎回書いてますが(汗)
もはや久しぶりすぎて覚えてる方もいらっしゃらないかもしれませんね。
でもなんだか最近書きたくなって、書き始めてしまいました。
ちょいと思わせぶりなことも書きつつ、ただの日常です。ブランクあるからはっちゃけてないのは許してね。
ご飯って大事です。
一緒に食べる人はもっと大事。皆さん、美味しいご飯食べましょうね。
今のご時世、特にね。
コロナなんかに負けないで。美味しいご飯食べて生きていこう。
ちょっと続きますよー。