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カカの天下  作者: ルシカ
909/917

カカの天下909「()」

 こんにちは、トメです。


 今日は隣町まで少し遠出して、カカと二人で大きなデパートへ来てみました。それというのも春休みで暇をしていたカカがどこかへ連れて行けと煩かったからです。


 カカも少し背が伸びたので女性服売り場をいくつか回り、しばらくしてカカは言いました。


「小腹が空いたぜベイビー」


「そうかいベイビー」


 そうらしいぜベイビー。


 幸いこういう大きなデパートには飲食関係の店は沢山ある。


「何が食べたい?」


「なんだろう。トメ兄が決めて」


 ふむ。とりあえず周囲にある店を見渡す。


「あ、から揚げ屋さんがあるぞ。若鶏のから揚げ」


「わかどり……」


 カカはいきなり遠い目をしながら語り始めた。


「その鶏は若かった。若すぎた。若さという力の勢いに任せて、色んな人から金を巻き上げた」


「若鶏のかつあげって言いたいの?」


「そんなダジャレを言うためだけに生きた若鶏(38歳)住所不定、無職……そんな彼がカラッと揚がって、そちらに」


「別のものを食べよう」


 食う気を無くした。


「へぇ、珍しい。鮭の塩焼きなんか店内に売ってるんだな。どうだカカ」


「鮭……」


 カカの背景から、ひゅるりらーという謎の効果音が聞こえた。


「鮭(38歳)バツイチ」


 なぜ38歳にこだわるのか。


「海をふらふらしていた彼が、ようやく仕事を見つけて、今度こそ女房と息子と一緒に暮らそうと、家に帰ろうと川を登っているところを捕まった」


 鮭が海を旅した後に生まれた川へ戻ることを言ってるのか。よく知ってるね。


「そして焼かれる」


 えぐい。


「そんな彼を食べるなんてできない!」


「はいはい、次は何にしよーねー。たこ焼きなんてどう」


「たこさん(38歳)無職。趣味はところかまわず誰にでもチューすること」


 どう見ても犯罪者。


「だからチューが上手い」


 どうでもいい。


「カカ、たい焼きは?」


「タイ」


 カカの目がくわっと開く。


「国」


「や、うん。そうだね」


「国を焼くだと? 戦争か!」


 こいつ元気だなぁ


「お好み焼きは」


「このみちゃん(38歳)独身を焼きます」


 怖いわ!!


「ねぇ、さっきから無職とか独身とか、なんなの? なんでそんなあまり報われてなさそうな設定ばっかなの? や、その人たちを非難するつもりはないけどね、でもこう並べられるとね?」


「ハンバーガーがある」


「聞いてくれないねーはいはい。あるけどそれが? 食べるのか?」


「ハンバーガー。ハンニバル・ガートロイドさん(3しゃい)の略。趣味はパンツをかぶる事」


 なにから突っ込めばいいのもう。


「趣味はパンツをかぶる事」


「二回言うことの意味がわからない」


「さんしゃい」


「わかったわかった。あ、メロンパンだ」


「メロンパンダちゃん(8歳)必殺技はメロンパンダちゃんのメロメロパンダ」


「具体的に何するのそれ」


「焼きます」


「何をさ」


「ぱんだ」


「パンダを焼くの? パンを焼くの? ねぇどっち?」


「8歳」


「会話しようよ、ねぇ」


「おなかすいた」


 中学生って難しい年頃だ。あれ、いつもだっけ。


「じゃーオムライスは」


「とてもよいね」


 ようやく食べたいものがヒットしたらしい。



 

 オムライスをいただいた後。


 ご馳走様を言おうとしたカカの口が止まり、メニューの端を見て瞳を輝かせた。


「クリームあんみ――」


「トメさん(永遠の22歳)よく食べる妹がいる。趣味は貯金。なので高い、太る、高いの三拍子そろったデザートを妹に食べさせたりしない」


「……ご馳走様」


「よろしい」


「けちー」


「さっき服買っただろ」


「はーい、と言いつつ納得いかないカカちゃん(永遠の2才)」


「も少し成長しとこうよ」


「ばぶー」


「よーし2才児。明日から三食ともミルクな」


「そんなことしたら永遠におもらししてやる」


「おまえの人生それでいいのか」


「いい歳して妹のおもらしした布団を洗うことになるトメ兄(精神年齢38歳)」


「そんなに老けてない僕(肌年齢はたち!)」


「そう思ってるのは自分だけなトメ兄(周りから見たら30代の落ち着き)」


「見た目は若く中身は落ち着いているゆくゆくはナイスミドル


「つまらないからずっと彼女できない(83歳で死ぬまでずっと)」


「痛いところつくんじゃない(カカは若いからって調子のりすぎ)」


「えへへ(あんみつ食べたい)」


「あはは(だめー)」


「ねぇトメ兄(この()ってもう意味なくない?)」


「そうかもしれない(何に使っているのかわからなくなってきた)」


「もう(やめよっか)」


「そう(だな)」


 兄妹でくだらないことを相変わらずあーだこーだ言う一日でしたとさ。




変なサブタイトルでしたが、まー久々になんでもないトメカカ話です。ほんとになんでもない話ですね(ダラダラ感がカカ天らしさ)。

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