カカの天下904「愚痴を肴に進んだ話」
こんばんは、かんぱーい。
「んぐんぐ、くはぁー! 飲まなきゃやってられないよ」
「……そうか」
「彼女を選べって? そんなこと急に言われても困るっての。なぁ?」
「……まぁな」
「僕は僕のペースで考えたいんだからさぁ」
「……そう」
「あぁ、ごめんな愚痴ばっかで」
「……うん」
「でもこんなこと愚痴れるのって中々いなくてさ」
「……そうか」
だからって。
「その選択肢のうちの一人に愚痴りまくるのもどうかと思うんだが」
「そか? いいじゃん。テンだし」
そうです、私がテンなんです。
なんか昔の~なおじさん風に言ってみたが(わかんないか)、見ての通り読んでの通り。なぜかトメの「彼女選び」に対する愚痴を正面から受けているオレ。
『話がある。いつものところで』
そう呼び出されてきたんだが……
「ちょっと驚いたんだがな」
「なんだ、ドキッとしたか?」
「ぎくっとした」
「何わるいことしたおまえ」
「るっせぇな、いろいろだよ」
「したのかよ」
「ったりめぇよ。オレ様だぜ」
「そんな自信満々に何をした。犯罪か」
「なんだと思う?」
「こわい」
「言えよ!!」
「犯罪者!!」
「決め付けるな!」
「じゃあ何したか言えよ!」
「オレがトメに言えっつってんだろ!」
「テンこそ言えよ!」
「なんだよこのケンカ!」
「わかんねーよ!」
「カンパイ!」
「カンパイ!」
なんだかんだで、とりあえず愚痴とは思わなかった。てっきり、いやなんでもねぇ。
「ったく、こんな場面をあいつらが見たら何を言うやら」
「あぁ、今回のイベント関係者か」
上手いこと言うなコイツ。
「見つかったらめんどくせぇぞ」
「いいじゃん、おまえと飲みたかったんだよ。親友だろ?」
「む……そうか」
イベントがイベントだけに複雑な気分がしないでもない。
「あー、しかしなー、どうしよっかなぁ。カカで逃げられないのが痛いよなぁ」
律儀にルール守って悩むあたりクソマジメだよなコイツ。
「好きなやつを彼女にすればいーじゃねーか」
「みんな好きだし」
「ハーレム希望か恐れいったぜ。カンパイ」
「そういう意味じゃないわい! 恋愛とかしばらく考えてなかったし、急に言われても」
「乙女チックなセリフだ、カンパイ」
「うるさいカンパイ」
んぐんぐ、酒は美味い。
「とりあえず無難なヤツを選んで付き合ってみたらどうだ?」
「無難な人間が僕の周りにいるのか」
「んー……サラさんとか」
「確かに一番普通だけど」
「一番エロいし。身体が」
「たしかに」
「なー」
「カンパイ」
「カンパイ」
同士で交わす盃はいいねぇ。
「でもサラさんはなぁ」
「問題でもあんのか」
「なんというか……もし一緒になったとしたら」
「ふむ」
「妹が増えたようにしか思わなさそうなんだよな」
「所詮はシスコンか」
「そうじゃなくてさ、あの人ってドジじゃん」
「確かにいろいろと無能だな」
「だからカカに加えて、世話する人間が増えるだけって感じになりそう」
「なるほど、トメとしては対等な相手が良いってことか」
「んー、そうなのかな」
「役立たずは却下と」
「そこまで言わないけど」
「そうだな。夜はめちゃくちゃ役に立ちそうだし」
「そだね」
「あっさり頷く辺り、酔いが回ってるな」
「テンこそ結構ペース速いじゃん」
「そか? おーい、おかわり二つ!」
久々の酒だから美味いぜぃ。
ふむ、話を戻すと。じゃあ候補者で一番役に立ちそうなのは……
「サエとか、役に立ちまくりじゃねぇか」
「それはどういう方面で」
「とりあえず金には困らなさそうだぞ。あの手この手で」
「恐いので勘弁。いつか捕まりそう」
「心配すんな。あいつは上手くやる。そして莫大な財産を」
「何の話をしている」
「じゃやっぱサユカでいいじゃねぇか。自分好みに育てろよ」
「うーん、どうしても犯罪に思えて」
確かに。
「んじゃオレと付き合うか」
「そだな」
ん。
あれ?
「あ、メール。カカからか……あー、すぐに戻んなきゃ。悪いなテン、愚痴に付き合わせて。今日は奢る」
「おう、奢りなら文句はねぇ」
「ありがとな。じゃ!」
何を急いでいるのやら。トメは早々に店を出ていった。
やれやれ。
……ん。
あれ?
「なんか暑いな。日本酒の冷でも飲むか」
んー。
さっき、何かハテナマークが飛んだような。
まぁいいや。酔っててわかんねぇし。
しかしまた久々になってしまった更新ですが、読んでの通りお話は進みます。いや、忙しいです。余裕ができたら書くと思いつつ余裕ができやしない。それでも山場はちゃんと書いてやらないとキャラが可哀想なので(特にサユカとか)頑張りまっせ。
や、今回の話みるとサユカが可哀想な展開になるかも? だけど。わからんよ! まだわからんよ! なにせカカ天だからね! 予想の斜め上とか普通だからね! でもたまに真っ直ぐいくからね!
さてどうなるやら。




