カカの天下903「おいもやさん」
こんにちは、カカです。トメ兄が大変なことになっている中、なんなんですけど……ぶっちゃけ私にはそんなに関係ないので先ほど会った面白いおっさんの話をしようと思います。
皆さんはおっさんは好きですか? 私は好きです。
へんなの多いから。
「ぬぅ……」
しかめっ面で道端に佇むおっさん。渋い。
「ぬ」
そのとき。
おっさんの目が、くわっと開いた!
「はぁっ!!」
裂帛の気合と共に!
すさまじい音が!
ぷっひゅううううううううううううううう!!
おならだった。
かつてない音だった。
「ふっ」
勝ち誇るおっさん。
「む」
また何かに気づいた!
「てりゃあああああああああああ!!」
ぶっしゅうううううううううううう!!
とてつもないおならだった。
きっとダイナマイトにも負けない。
「ふはは」
なんか笑ってる。
「ぬ?」
あ。
ずっと見てた私に気づいた。
「ふふん」
なんか勝ち誇られた。
「負けない!」
「ほほう?」
私もおなら出す!
あのおっさんに勝てるくらいの!
「ちょっと待ってて!」
まずはおならの補充だ! 私は焼き芋屋さんを探して走った!
すぐに見つかった! なんてご都合設定!
「すいません!」
「へいらっしゃい」
寿司屋のようなおっちゃんだ。
「おならを三本ください」
違った焼き芋だ。
ぷっぷっぷー。
かと思ったら、おっちゃんのおならをもらってしまった。
「どうでぃ」
しかも勝ち誇られた。
「三百円」
しかも請求された。でも一芸を見た気分なので払ってあげた。
「え、そう? 俺、すごい? そっか……へへ、これもってけよ」
芸を褒められたのが嬉しかったらしい。五本もくれた。いいおっちゃんだ。
そして焼き芋入れた袋を片手にダッシュ! さっきの場所へ!
おならじじい発見!
「待たせたね!」
「お買い上げありがとうございます」
「へ?」
「実はわし、そこの焼き芋屋の兄。ふ、全ては『わしのおならに対抗しようとした人間に焼き芋を買わせる』という作戦だったのだ! まんまと引っかかったな!?」
「もうちょっとマシな作戦なかったの?」
「言うな! この一年でひっかかったのはお主だけだ!」
「もっと早くやめればよかったのに」
「言うな! ここまできたら意地だ! 誰か一人でも引っ掛けなければ負け犬になるじゃないか!」
男の意地って大変だね。
「小娘!」
「なんじゃいジジイ」
「引っかかってくれてありがとう!」
「え、あ、うん。どういたしまして」
「おこづかいをあげよう」
千円もらった。
「あの、これじゃそっち儲かってないんじゃ」
「おぬしはわしらの心を満たしてくれた。それで充分じゃ」
焼き芋もらったうえにお金までもらっちゃった。
だからおっさんって好き。なんか色々くれるもん。
帰った後、そんな話をトメ兄にしてみた。
「援助交際とかお兄さん許しませんからね!!」
なんか錯乱した。説明のしかたが悪かったらしい。
このお話は、おならじじいだけノンフィクションです。
え、マジで?