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カカの天下  作者: ルシカ
902/917

カカの天下902「マジマジバレンタインデー」

 こんにちは、トメです。


 今日はバレンタインデーです。それが理由でしょうか、こんなところに呼び出されたのは。


「第一回、トメ兄に本気でチョコをあげようのコーナー」


 「どんどんぱふぱふー」と口で音を出すのは、なんかいっぱい集まった知り合いたち。


「第一回って、何回ももらってるけど」


「おっと色男発言きました」


「や、僕だって色々と恩売ってるし。義理チョコくらいもらったっていいじゃん」


「本命チョコもらってるくせに」


「それは……まぁ、うん」


 恥ずかしながら。


 って、さっきからカカとばっか喋ってるな。ちなみにここはサカイ邸。家主のサカイさんはもちろん、姉、カカサエサユカ、サラさんとテンがいる。こんなにいるのに皆どんどんぱふぱふーしか言ってない。変なやつら。


「でも今回は本気だよ。本気と書いてマジコロスだよ」


「逃げていいですか」


「ダメだよ」


「え、だって。僕コロサレルんじゃないの」


「ハートを射止めてノックダウンって意味だよ」


「おまえいつの時代の人間だよ」


「台本はサカイさん」


「それなら納得、歳相応だ」


「女性に歳の話すると本当にコロサレルよ」


「そですね。気をつけます」


「特にあの年頃は。曲がり角だから」


「おまえも気をつけないとコロサレルぞ」


「そですね。気をつけます」


「で?」


「なにが?」


「続きは」


「なんだっけ」


「知らねーよ」


 こいつの本気は随分とユルい。


「あーそうそう。今からチョコくれる人の中から彼女選んでね。ホワイトデーに告白する感じで」


「どういう感じかさっぱりわからん」


「え。トメ兄って頭悪い?」


「や、そういう問題でなく」


「じゃあ耳に問題があるのか」


「そじゃなくて。なんで告白とかいう展開になるの」


「いいかげんトメ兄の八方美人っぷりに全世界がイラだってます」


「スケールでけー」


「なのでハッキリしてください」


「そんなこと言われても」


「それでは皆さん、チョコの贈呈と共にアピールたーいむ」


「聞けよ」


 しかし聞く耳持たず、なんか恋愛番組で流れそうな音楽がかかり、照明が薄らとピンク色になった。そして僕の前に踏み出したのは……


「一番、サラ、いきます!」


「カラオケでも歌うようなノリですね」


「トメさん! 私のおっぱいに溺れてください!」


「そのとてつもないセリフは誰が考えた!?」


「以上です! はいチョコ」


「え、終わり!?」


「続きましてー」


「続くのかー」


「サユカちゃん。どうぞ」


「はいっ! トメさんっ!」


「な、なんでしょうか」


「ち、ちちち、チョコと一緒にわたしも舐めて!」


「おいサカイてめぇどんな台本をどこまで根回ししやがった!?」


「違った! わたしも食べて!」


 今の、天然の間違いか。恐ろしい子。


「え、えぇと。保留で」


「はいっ。ホワイトデーまで身体を洗って待ってます」


 どこを舐めろとおっしゃるのですか。あれですよね、首を洗って待ってます、ってのと言い間違えただけだよね。


「続きまして。テンカ先生」


 まさかテンまで変なことは言わないだろう。


「トメ」


「おう」


「やる」


「ありがと」


「ん」


 ……これはこれで寂しい、とか思ってないんだからな。


「続きまして、サエちゃん。え、サエちゃんも!?」


「トメお兄さん、私に告白してくれたらー」


「くれたら?」


「莫大な財産があなたの手に」


「生々しいなぁオイ」


「待ってます」


 この子こあい。


「続きまして、大本命!」


 え、誰。


「サカイさん」


「人妻は好きですかー。ふふふー」


「論外です」


「このロリコン!」


「極論です」


 ここでカカが仕切るようにパンパンと手を叩いた。


「はい、告白タイム終わり! そしてトメ兄にはこの中の誰かに、ホワイトデーに告白してもらいます! された人は見事に彼女に!」


 え、え、え!?


「ちょっと待て。それ本気だったの!?」


「私が冗談を言うと思う?」


「てっきりいつもの冗談かと」


「本気って言ったじゃん。ホワイトデーのお返しは告白だよ」


 しまった。さっきはさらりと言ってたからギャグだと思って流したけど、この目はマジだ。全員マジだ。


「え、と、それじゃ全員に返せないし」


「他の人には『フラれる気持ち』をプレゼント」


 なんて嫌なやつなんだ僕は。


「……カカは、僕にチョコくれないの?」


「もぐもぐ」


「なに食べてる!? それ僕にくれるチョコじゃないの!?」


「私に逃げるな」


 バレたか。くそぅ、いつもの兄妹愛オチが使えないだと。これはピンチだ。


「はいはい、トメ兄がとやかく言う前におひらき! じっくり考えてもらいましょ!」


 再び「どんどんぱふぱふー」と口に言いながら去っていく女性陣。


「えー……マジか」


 や、えらいことになった。


「どうしよ」


 ほんと、どうしよう。


 誰かを彼女に、するのか?




「……ねぇ、サカイちゃん」


「どしたのーカツコちゃん」


「あたし、マジでどんどんぱふぱふーしか言ってないうえに誰にも触れられなかったんだけど」


「あ、チョコ用意してたんだ」


「姉弟愛オチとか考えつかないのかな、あいつ」


「考えつかないんじゃない?」


「考えつかないかー」


「日ごろの行いでー」


「そっかー」


「うんー」


「サカイちゃんあげるよ」


「ありがとー」


「……別に寂しくないんだからね!」


「はいはい、よしよし」




 まずは感想欄やメッセージで色々とコメントしてくださった方々に御礼を。こんなに祝ってくれたりなんだりしていただいて恐縮してますでも嬉しいです。いろいろ頑張る気力が湧いてきます。更新ペースは相変わらずですが笑 ありがとおおおおおお!

 さて本編。時期はズレますが、かねてから考えてた展開となりました。果たしてトメは彼女を作るんでしょうか。それともいつものようにヘタレな展開に逃げるのでしょうか。でもいい加減900話まで来たんだからそろそろハッキリしても……ねぇ?

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