カカの天下900「第三十二回、カカラジ!」
もしも、未だに毎日カカ天が書かれていたら。
「私、そんなに毎回おもしろいことできるかな」
「大丈夫だ、カカ。おまえは大体毎日おもしろい」
「そう? 例えば今日はどこがおもしろい?」
「まゆげ」
「そんなにほめるなよ」
まゆげについてだけで一話を書く、ありですね。
もしも、カカが中学生になったのを期にマジメになったら。
「サエちゃん」
「カカちゃん、なにー?」
「離婚しよう」
「なんでー?」
「中学生で結婚は、おかしい」
「いまさら何を言ってるの」
「だからお付き合いから始めよう!」
「女同士なのはいいの?」
「うん」
あんま変わんない。
もしも、カカ天がアネ天になったら。
「お姉の天ぷら?」
「まずそー」
「お姉の天下?」
「おう」
「今もそうじゃない?」
「……そだな」
あの人を縛るものは何もない。
もしも、カカ天を読む人がいなくなったら。
「私、泣いちゃう」
「僕も泣いちゃう」
「それはうざい」
うん。
「はい、そんなわけで久々のカカラジが始まったわけですが何だこれはー! 暗い! そして洒落にならないもしもの嵐! 一体何があったんだ! 誰だこんなの投稿したのは! これは反乱か、書くなら書くでいい加減にしやがれという読者たちの要望か! そんな動揺を隠しつつ笑顔を見せる私は香加です」
「まったく隠す気がありませんがぶっちゃけこのもしもは僕も不安です、留です」
や、驚かせちゃってすいません。実際私自身、この連載ペースはヤヴァイなーと思ってこんなこと書いちゃいましたがちゃんと書き続けますよ、何せ記念すべき900回!
「記念すべき900回に不安の影を落とすな!」
現実は見つめないとね。
「うわ後ろ向き」
違う、後ろ向いたり横向いたりしながらも歩く方向が前ならそれでいいんだ。
「なんかよさげなこと言ってるけど、ならちゃっちゃと書きなよ」
ごめんなさい。
「話がひと段落ついたところで一応恒例の文章を。えーこのカカラジは本編と別次元のお話です。ナレーションに参加している私たちはあくまで本編に出てる人とは別人ですのでご注意を」
「とはいえ、本編世界に干渉はできなくても覗くことはできる」
「留兄のえっち」
「何を覗くと思ったんだ、香加は」
「お風呂」
「誰の」
「ゲンゾウさんの」
なんてえっちな!
「ほざけ。なぜそこでその人をチョイスする」
「好きでしょ?」
「好きなわけあるか! どうせ覗くなら――」
「わくわく」
わくわく。
「さて、そんなわけで今回は皆の新年を覗いてみよう」
「留兄の初覗きは誰の裸?」
「いつも誰かの裸を覗いてるような言い方するな」
覗いてるくせに。
「作者が言うと本当っぽいからやめてくれます!?」
さて。そんなわけで今回は皆さんの新年の様子を見てみましょう。
「さりげなくスルーされると僕の言動が目立つんでやめてくれます?」
「でもさー。今さら新年の様子なんて、皆知りたいかなー?」
「無視しないでくれます?」
香加、じゃあ聞いてみるが、いろんなドラマや漫画、小説にはクリスマスのシーンが腐るほどある。しかしそのシーンをクリスマス当日に読む人がどれくらいいるだろう。
「……あんまいないと思うけど」
そうだろう。つまりはそういうことだ。
「でも毎日更新とかしてた作品でやると……って問題だよな、これは」
さてサクッと一人目いってみよう。
「あ、逃げた」
とある神社の一月一日。
「カツコさん!! カツコさーん!? もう、どこいっちゃったんでしょう!」
「ほんとにねー。珍しく神社のバイトを手伝うーなんて言ってたのにー」
「……サカイさん」
「なにー? サラさん」
「なんでいるんですか?」
「元旦に神社にいちゃいけないのー?」
「いや、そうではなく。本来ならいがみ合ってる私に、さっきからずーっとずーっとくっついてきてますよね?」
「うん」
「私のこと嫌いなんじゃないんですか?」
「大好きだよー」
「ええええええ!? な、なんというショッキングな事実! で、でもケンカするほど仲がいいとかいうけど、いや、けどそんな直球に言われるなんて思いもしなかったわ。ど、どうしよう。どんな顔すればいいのかしら、ここはやっぱり『私も』とか言って友情を深め合うべきなのか、あえていつもどおりの反応をするべきなのかしらえーっとえーっとえーっと」
「あ、巫女服着てる間だけねー」
「どうせそんなことだろうと思ったわよ!」
「おっぱいおっきい巫女もなかなか」
「オヤジおばさんは放っておいてカツコさーん! どーこーでーすーかー!?」
「ここ」
「え! どこですかー!」
「上」
「う、え? あの、そんな鳥居の上で何やってるんですか」
「人を見下している。ふはは! こいつらゴミのように見えるぜ!」
「セリフ的にカツコちゃんのほうがゴミだよー、人として」
「きつ! サカイちゃんキツ! 固いカキ投げるぞ!」
「カツコさんは何がやりたいんですか? さるかに合戦? かにが食べたいんですか? 走って北海道にでも行って捕ってきて勝手に食べてくださいよ。そして私にもお裾分けください」
「皆ひどいなぁ。あたしはちゃんと仕事してるっていうのに」
「どこがですか! ちゃんと巫女の仕事してください」
「そこだよそこ。サラちゃん、巫女の仕事とはなんぞや」
「売り子です」
「バッサリ言いすぎ」
「だってバイトですし」
「本来の巫女の仕事よ!」
「萌えさせることー」
「それもあるけどサカイちゃんは黙って!」
「えっと……神様に奉仕する?」
「そう!」
「それで?」
「あたしに奉仕しろ!」
「……自分が神様だって言いたいんですか? それがあなたの仕事だと?」
「似たようなもんでしょ」
「バイト代は出さないように言ってきます」
「それは困る! お、おーい! ねぇ! もうちょっと付き合ってよー!!」
「カツコちゃん、今のはあんまり面白くないよー」
「バイト外される上にダメだしくらうあたしって……」
「良い新年が期待できそうだねー」
「そだね」
めでたしめでたし。
「姉……たくましいな」
「頭が筋肉って言いたいの?」
「そうそう」
これだけ全員にひどい扱いされても笑い飛ばせるのはすごいですよね。
「それにしてもサカイさんは、巫女服さえ着てればライバルのサラさん相手でも許すんだな」
「バカだよね」
「それは言いすぎだろ」
「サエちゃんに巫女服着せればそれが一番なのに。何やってんだろサカイさん、母親失格だよ」
「個人的に見たいだけだろそりゃ」
私も見たい!
「や、僕も見たいけどさ」
今度着せよう。
「よろしく作者。さて、その話を楽しみにしつつもとりあえず次のシーンにいってみよう」
とあるレストランの一月一日。
「ええと、お客様? 申し訳ありませんが。そのような品はメニューにはございません」
「一月一日だぞ! おせち料理を出して当然だろう!」
「あの、そもそもこちらは洋食中心のお店ですので」
「ここは日本だ! だからどこでもおせちを出すべきだ!」
「あの、お客様。酔っ払ってますよね?」
「俺は酔ってない! なぜなら教師だからだ! A判定のな!」
「ああ、お客様が噂の教師A様ですか」
「そうだ!」
「だったら大丈夫ですね」
「何がだー!? おせちー!!」
「いえいえ、トメ君の関係者なら遠慮しなくても良いということだなぁ、なんて。そんなわけで、迷惑だから出てけ酔っ払い」
「なんだとー!? おせちを食うまで帰らないぞ俺は!」
「もう食べたじゃないですか」
「なんだと!?」
「食べましたよ。酔っ払って覚えてないんでしょう」
「ほ、ほんとか!?」
「はい、そんなわけでお会計、一万円です」
「高くねぇ!?」
「ないはずのメニューを作らせたんです、これくらいします」
「そ、そうか……その割にはあまり食った気がしないんだが」
「さっきトイレに行ったときに吐いたんでしょう。そのあたりで記憶が戻ってきたんじゃないですかね」
「そ、そうなのか……じゃあ、はい。一万円」
「毎度ありがとうございます」
そんなわけでお年玉をゲットしたキリヤさんでした。
「これがキリヤの本気か」
「確かに全く遠慮なく容赦なくお金を奪い去っていったね」
「これ詐欺じゃないのか?」
この話はフィクションです。
「そこでそれぶっちゃけられても」
良い子はマネしないでね♪
「ほんとだよ」
「でもサエちゃんあたりやりそう」
「あー……やりそう」
さてさて、そんなサエちゃんは?
とある家の一月一日。
ごろごろ。
ごろごろ。
ぱりぱり(おせんべいを食べる音)
ぽりぽり(お尻をかく音)
ぷう(おなら)
「幸せー」
「たけだ、くさい」
「ごめん」
「タケダかよ!!」
「マジでびびったよ!」
いや、チャンネル間違えた。
「よかったーサエちゃんじゃなくて」
「そそ、そうだよ。サエちゃんがあんなことするはずがにゃいよ! バカだなぁ皆!」
「香加さんが一番動揺しております」
想定外のプライベートを映してしまったためにいろんなところでタケダの株は大暴落。
「汚いものはもういいから次いこう」
「綺麗なサエちゃんをプリーズ!」
はいはい、では今度こそ。
とある家の一月一日。
ごろごろ。
ごろごろ。
ぱりぱり(おせんべいを食べる音)
ぽりぽり(お尻をかく音)
ぷう(おなら)
「幸せー」
「たけだ、しね」
「ごめん」
「タケダはもういいよ!」
「さすがにわざとだろこれは!」
あっれー? おかしいなぁ。んじゃこっちのチャンネルか。
「たこあげしよう」
「しよー」
「でもどこでするのよっ」
「あー……いつもの三人娘集合したかと思えば外に連れ出され、何かと思えば用件はそんなことかー」
「トメ兄、なんか説明してるみたいだね」
「寝起きだからな、状況確認が必要なんだ。自分に」
「お休みだからって新年からごろごろしてたらダメですよー」
「紅白見た後におまえら連れて初詣に行って、その翌日だってのに寝ちゃいかんのか」
「新年ですからっ!」
「そうだよ」
「そうですよー」
「うぅ……笑顔が眩しい。これが若さか、妬ましい」
「はいはい、とにかくたこ上げるよ」
「だからどこでやるのよっ。ここをどこだと思ってるのっ」
「商店街」
「なるほど、あえてここでやるんだねー」
「なぜに」
「楽しそうだから」
「多分かなり迷惑だぞ」
「ウケがとれれば迷惑のうちに入らない。私を信じろっ!」
「ふーん、カカすけがそこまで言うってことは、そのたこに何か笑えるネタでも書いてあるの?」
「や、ただスピーカーがついてるだけ」
「スピーカーって、そんなもんつけて飛べるのか?」
「お姉のお墨付き。大丈夫」
「何も大丈夫な点が見当たらないけど、スピーカーなら別にいっか」
「よし、それ!!」
「おぉ、あっというまに上がった」
「カカちゃん、たこあげうまーい」
「ほんと、こういうことは上手いわよねっ! でも広場とはいえ商店街の中でやったら邪魔じゃないかしら」
「ま、ここは人あんまりいないし動かなければいいだろ」
『あーあー、テストテスト』
「うわーおっきい声」
「カカすけ、いつの間にかマイク持ってる」
「たこのスピーカーから聞こえるのか」
『さぁ飛び立ちました、たこ。これからたこの冒険が始まります。題して、たこの天下、です。果たしてこのたこにどんな出会いがあるのでしょうか』
「……トメさん、なにやらあの子、動き回ること前提らしいですよっ」
「……止めるか」
「あー、カカちゃん逃げたー」
『さぁさぁ! たこ様は突き進んでいきます! ちょっと通行中の皆様ごめんなさい、たこが通ります。たこにやられたくない方はどいてください』
「たこで何をやるのか知らんが迷惑だからやめろカカ!」
「サエすけ、わたしたちもトメさんと一緒に追うわよっ!」
「だるーい」
「いくわよっ!!」
『おっと、たこが何かに絡まりました! これは……ブラジャー! なんとたこ様、ブラジャーを手に入れました!』
「それどっかの二階に干してあったやつだろ!!」
『おぉっと、またもや何か絡まりました! これは……ふんどし! なんとたこ様、上にブラジャー、下にふんどしを装備しました!』
「そんなたこ嫌だ」
『ブラジャーとふんどしが絡みあう! ねっとりとしつこく巻きつくふんどし、それに抗えば抗うほどにふんどしが! ふんどしがー!!』
「公共の場でなんちゅーこと言っとるのだおまえは!」
『そのとき、ブラジャーとふんどしは一つとなった』
「ブラジャーの持ち主絶対現れないなこれ」
「ふんどしの持ち主も現れないでしょ普通っ」
「いやいやー、男としては嬉しいかもよー。自分のふんどしに女性の」
「サエちゃん。その続き言わないで。なんか言うだけで汚れそう」
「ていうか、なんでふんどし?」
「それは誰もが聞きたいよ」
『楽しー!』
「おまえだけな」
『皆、笑ってるー?』
「おまえしか笑ってねぇよ」
『合体』
「しみじみ言うな」
『そのとき、ふんどしとブラジャーの愛の結晶が生まれた!』
だそうです。
「え、続きは!?」
「愛の結晶ってなんなの!?」
さぁ。だってVTR終わっちゃったし。
「いやもっかいチャンネル合わせろよ、気になる!」
「そうだよ。ふんどしとブラジャーがラブラブ合体して一体何が生まれるのさ!?」
「香加、改めて言うな。なんかヤダ」
嫌だそうですし、この話はここまでということで。
「うぅ、気になる」
じゃあ募集しますか。ふんどしとブラジャーが合体して、一体何が生まれたと思いますか?
「いくらなんでもその募集はひどい」
そだね。
「なんだか空回りしたね、新年早々」
「張り切りすぎたんだろ。いつもどおりでいりゃいいのに」
「でも楽しそうだよね、あれ」
「やるなよ。さて、じゃあ新年特集はおしまいかな。次のカカラジの募集を」
あ、それですがね。
「なんじゃらほい」
ずっと読んでくださっている読者の方はわかると思いますが、去年から随分と更新が滞ってます。書いていただいた感想どころか投稿してくれたネタにも触れる余裕がない次第、今後こそはと頑張ろうとしているものの余裕の目処は立ちません。
なので、もし投稿してくださる方がいましたらなるべく「そろそろカカラジの話数」というタイミングでお願いします。
「おお、カカラジ終了宣言じゃないのね」
はい、確かに現実が阿呆みたいに忙しいんですが、やはりこの作品だけは続けていきたいと思います。中学編になってから中々盛り上がりを見せていませんが、どうか今後もお付き合い願いたいと思います。誠心誠意、楽しく書かせていただきます。
「そんなわけで」
「今後の作者にカカラジチョップ!」
刺激を糧に頑張ります!!
ようやくこの子らの新年が明けました。
よき中学生活を!!
書こう!!