カカの天下891「誕生日を祝え、そのよん」
おめでとうといわれるだけなのに長い道だぜ。どうもカカです。
「あ、タケダ」
「カカ君ではないか!」
学校のほうへ向かっている途中でこんなのに出会いました。
「帰り遅いね。部活?」
「いや、勉強していた」
「くそマジメだね。吐き気がする」
「そ、そこまで言わなくても良いではないか!」
「そうかもね、ところで今日、私に言うことは?」
「好きだ!」
「……ほかは?」
「結婚してくれ!」
「……ほかは?」
「む、もっと細かく要望を伝えればいいのか? では初デートの予定から」
「くたばれ」
「え!? ちょ、カカ君!!」
「あんた私のこと好きなんじゃないの」
「その通りだ!」
「今日は何の日?」
「平日だ」
「地獄へ落ちろ」
「な、なぜ!? おいカカ君?」
「追いかけてくんな」
ふん、所詮は口だけの男よ。
「さて、音楽室なわけだが」
「あらカカ」
アヤちゃん発見。
「コーラス部はいる?」
「やーだ」
「にゃにおー。そんなキッパリ断る子には恥ずかしい想いさせてあげるんだから。みんな!」
突然集結したコーラス部の面々+ニシカワ君!?
『ハッピバースデートゥーユー!!』
全員で誕生日の歌を歌われた。確かに恥ずかしいけどかなり嬉しい。
「ふぅ、どうよ!」
「ありがとう」
「ふ、普通にお礼言わないでよ! 照れるじゃない!」
愛いヤツよ。
「それにしてもニシカワ君、アヤちゃんが呼んだらすぐ来るんだね」
「まぁ西に住んでる幼馴染だから」
「それだけの理由で私と仲良くしてたの!?」
「それもある」
それもあるんだ。
「ま、まぁいいわ。サエとの結婚記念日にはちゃんと結婚ソングを歌ってあげるからね」
「うん。じゃあ君らの結婚式では私が歌ってあげるね」
「ちょ!?」
「カカ」
「何、ニシカワ君」
「楽しみにしてるよ」
「おっけ」
「に、ニッシー。それってどういう意味で言ってるの!?」
「ノリで」
「ノリなのかよ!!」
「アヤ坊が好きだから」
「え……」
「これもノリ」
「ふがー!!」
誕生日に夫婦漫才いただきましたー。
「続きましてイチョウさんの登場です」
「こんにちは、カカさん。お誕生日おめでとうございます」
「ありがとう。それじゃイチョウさん、何か面白い話を」
「特にございません」
「……え、マジで?」
「はい」
「お姉ちゃんのほうはあんなに」
「姉とわたくしは違いますから」
「それはそうだけど」
「それではごきげんよう」
おしとやかに去っていくイチョウさん。くそー、いつかイチョウ並木に招待してやる。
「あ、ヤナツ」
「お、カカか」
「イチョウさんならあっち」
「さんきゅ。あ、カカおめでと」
「ヤナツって、やなやつじゃなくなったよね」
「照れるぜ」
改心したのは私のおかげだよね。プレゼントが楽しみだ。
……くれるよね?
「あれインドちゃん」
「ん」
「え、くれるの」
「ん」
「あ、ありが――いっちゃった」
メルちゃんとしてならともかくカカとしてはそこまで仲良くなってないからなぁ。
でももらったカレーパンに「おめでと」って書いてあった。可愛いしイイやつだ、あの子は。
食べてみた。
うまっ。
「自分までカレーになりそう」
「カレーとカレーパンは違う!!」
「うわびっくりした!! い、インドちゃんまだいたの」
「違うんだからね!」
「はい! すいませんでした!」
「よし」
満足そうに頷いて、てってってーと駆けていくインドちゃん。
ほんとギャップの激しい子である。
「むぐむぐ……次どこいこかな」
それにしても美味いなコレ。
ここ数日、仕事する時間と寝る時間しかなかったので更新が滞ってました……サエちゃんの誕生日までには何とかこの辺の話を書くぞ!
と気合を入れつつ書くのはダラダラした話……
和む。