カカの天下889「誕生日を祝え、そのに」
どもども、カカです。引き続き「おめでとう」と言ってもらう旅を続けようと思います。
「おう、カカちゃんではないか」
「お姉、おっす」
「誕生日おめっとさん。これでいくつになったんだ?」
「たくさん」
「そりゃめでたい。うんうん」
変な会話。
「んで、あたしに何か用かい?」
「はい、ここでお姉の『今日あった面白い話』のコーナー」
「おっとぅ、初めて聞くコーナーが始まっちまったぃ」
「さ、張り切ってどうぞ」
「これはさっきの話なんだけどね。通りがかりのスーパーで母子がいたの。よくあるじゃん? 子供が『あれ買って! あれ買って!』って駄々こねて、母さんが『はいはい、行くよ。置いてくよ。ばいばーい。じゃあねー』とか言うと『やぁーだぁー! やぁーだー!』と子供は泣きべそをかきながらも追いかけてくっていう」
うん、たまに見るね。
「あたしが見たのは『はいはい、置いてくよー。じゃあねー』の部分だったんだけど」
「ほほぅ、子供は?」
「それがなんて言ったと思う?」
「これで俺は自由だ」
「そんな子供は嫌だわさ」
「んで、なんて言ったの?」
「いや、それはダメだ! ってめっちゃ男らしく」
「そんな子供も嫌だわさ」
「あたしも思わず吹いたわ。母親のほうが更に『ばいばーい』って言うと子供は『ダメだ! おい? ダメだ!!』って繰り返してんの。全く泣きもせずに。妙に偉そうに」
「将来が楽しみだね」
「ほんっと。あいつテンちゃんの生徒にならねーかなぁ。絶対おもしろいと思うんだけどなぁ」
「うん、満足した。じゃね、姉」
「あぁ、遊びに来ただけだったのね。ばいびー」
しかし即興で作ったコーナーにあそこまで応えてくれるとは。さすがは私の姉だ。
「やっほ、サラさん」
「あれ、カカちゃん」
続いてこの人。まぁ職場に遊びに来てるわけだから、お姉がいる近くにこの人もいるわけで。
「カカちゃん……誕生日だったよね……おめでとう」
「なんでそんな、めでたくなさそうな顔で言うの」
「私ね……最近、嫌がらせされたの」
「また皿扱いされたの?」
「うん」
当たった!
「で、でも今更じゃん」
「そうだけどぉ……あまりにもひどいんだもの」
「何されたの」
「こんなの送られたの」
そう言ってサラさんは豊かな胸元から一枚の手紙を取り出した。
受け取って見てみると、そこにはまずこう書いてあった。『お皿の展示会、出展依頼』と。
「ぶはははははは!」
「カツコさんと同じ反応!?」
「出ようよサラさん! 展示されよう?」
「そこまで一緒!?」
「水着と全裸、どっちがいいかな」
「なんでその選択肢しかないの!? ていうかどんだけ同じこと言うのこの姉妹」
おぉう、まさかそこまでお姉とシンクロしていたとは。
「もうあっちいってください!」
「あ、嫌われちった」
「嫌いになんかなりません! でもあっちいって!」
律儀に否定してくれるのね。サラさんてばかーわい。
「さて、ではあっちに行ってみよう」
あっちに行ってみました。
そしたら見知った顔がまたいました。
「あれサカイさん」
「あらあらカカちゃん、誕生日おめでとー」
「何してるの? って聞く前に大体わかった私ってすごい?」
「何がわかったのー?」
「お皿の展示会の主催者あなたでしょ」
「そだよー」
やっぱりか。あんな冗談を送れるのは身内だけだしね。
「どれだけ喜んでくれてるか様子を見に来たんだけどー、大成功ねー」
「若干泣いてたよ」
「泣くほど喜んでくれるなんてー」
本気で嬉しそうだこの人。
「カカちゃんも来る? 展示会」
「参加するのかなぁ。そもそも参加するとしたら……どうなるんだろう」
「ふふふー、カカちゃん? お皿は動く?」
「動かない」
「服は?」
「着ない」
「そゆことー」
この人すげぇ恐ろしい。
「その展示会の招待状を誕生日プレゼントにしてあげるー」
「超ありがとう」
ぶっちゃけ超見たいし。
「じゃ、私はおめでとうって言ってもらうのに忙しいからこれで」
「またねーカカちゃん」
次はどこ行こうかなぁ……そうだ。学校の方へ行ってみよう。
雑談話が続きます。あんまり誕生日が関係ないところがミソです。
しかし最近寒いですねぇ。風邪が二週間くらい続いてます。栄養とって治そうと良いもん食べ続けてたら太りました。おのれ風邪め。
皆さんも気をつけてねー。