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カカの天下  作者: ルシカ
888/917

カカの天下888「誕生日を祝え、そのいち」

 こんにちは、カカです。今日はなんと私の誕生日!


 でもパーティとかはありません。なぜかというと、皆が空気を読んでくれたからです。代表のトメ兄の言葉を借りると「どうせお祝いは去年サエちゃんとプチ結婚式した日のほうがいいんだろ?」だそうです。まさにその通り。さすがは私が生まれたときから付き合ってるだけはある。


 そんなわけで、今日は何にもなし……というのもちょっと寂しいので、「誕生日おめでとう」と言われるためだけに色んなところに行ってみようと思います。


「じゃ、いってきます」


「待てカカ」


「なにトメ兄」


「誕生日おめでとう」


「今朝おはようと一緒に聞いたけど」


「なんとなくもう一度言っておかないと出番がない気がしたんだ」


「トメ兄は何を言ってるの?」


「自分でもよくわからん」


 生まれたときから付き合ってるけどトメ兄はたまにわけがわからない。これが大人の謎というものか。


「今日はどこ行くんだ?」


「皆におめでとうって言ってもらいに」


「あつかましいやつだな」


「正直と言ってよ」


「そうとも言う」


「じゃね、トメ兄」


「まてカカ」


「なにさ」


「誕生日おめでとう」


「だからそれは何度も聞いたってば。どしたのトメ兄」


「むぅ……不満なんだよ」


「なにがさ」


「毎年祝ってる日に何もできないのが!」


 ……あぁ、そだよね。私が生まれたときから毎年欠かさず祝ってくれてたんだもんねぇ。


「じゃ今夜はごちそう作ってよ。それでオッケーじゃん」


「それは結婚記念日(仮)にとっておく」


「今日もその日もご馳走でいいじゃん」


「そしたらありがたみが無くなるだろ」


「融通の利かない男だなぁ。じゃ今夜は魚料理、記念日は肉料理ってことでどうよ」


「それだ! カカ頭いいな!」


 私はたまにトメ兄ほんとは頭悪いんじゃないかと思うときがあるよ。


「じゃ買出し行かないと。いってきまーす! さぁー祝うぞー」


 嬉しいような恥ずかしいような……あれがトメ兄のいいところなんだろうけど。


「さて、気を取り直して行きますか」


 まずはサエちゃんちへ。




「こんちは、あれどしたのサエちゃん。なんかくらーい」


「今日カカちゃんのことを祝えないー、ストレスがー」


 どんだけ幸せ者なんだ私は。


「私はとりあえずおめでとうとさえ言ってもらえれば」


「おめでとー!」


「ありがとー!」


「あと何万回言えばいい?」


 ええい、トメ兄と似たようなことを。


「あー! せめて誕生日プレゼントを検索……あー! ぱこちゃんまだ修理中だったー」


「ぱこちゃんどしたの?」


「ういるすとかいうのにやられたのー」


 コンピューターウィルスか、噂には聞いたことがある。パソコンの中身を病気にするんだよね。


「くそー、ういるすめー! ぶち殺すー!」


「サエちゃんがそんな言葉を使ったらダメ!」


「じゃーぷち殺すー?」


「ぷち……も、もうちょっと可愛くいこうか」


「ぷちころーす」


 ぷちころされたい!!


「もう一声!」


「ぷちころーしゅ」


 可愛すぎる。


「ぷちころしゅんだにゃー」


 私はサエちゃんの頭に黒い猫耳を見た。神様、この子をメチャクチャにしたいです。それを誕生日プレゼントということにしてはいけませんか。


「カカちゃんどったのー?」


「い、いや。私、他にも行くとこあるから。それじゃ」


 これ以上ここにいたらサエちゃんを抱きしめてその先までいってしまう。


「プレゼントはー?」


「充分すぎるものをもらったよ」




 続いてサユカちゃん。


「お、カカすけ。おめー」


「サユカンは軽いねぇ。ま、ありがと」


「なによ、熱烈に祝ってあげたほうがよかった?」


「や、サユカンにはすでに熱烈なプレゼントもらったから、これ以上は悪いよ」


「わたし、何かあげたっけ?」


「海に行ったときの水着は、とてもいい目の保養になりました。あれぞ熱烈」


「ぶっ殺すっ!!」


「ダメ!」


「なにがっ!」


「サユカンもサエちゃんを見習いなさい! ぶち殺す、なんて言ったらダメ! もっと可愛く!」


「くたばれっ」


「可愛くないよ!? もっとこう、好きな言葉をつけ加えるとか」


「トメさんっ!」


「それ好きな人言っただけだよね」


「うんっ」


「いい笑顔しやがって」


「好きな人を想うだけで幸せになれるのっ」


「どうしよう。私がおめでとうと言われるはずなのに、この人の方がめでたいよ」


 頭が。


「いいよいいよ。どうせサユカンはトメ兄のことしか頭にないんだ。私の誕生日なんかどうでもいいんだ」


「なによぅ、だから結婚記念日(仮)にしっかり祝ってあげるって言ってんじゃないのっ」


「いいよ、無理しなくても」


「仕方ないなぁ……カカすけ、本音を言ってあげるわ」


「なにさ」


「カカ、愛してるぜっ」


「……!」


「えへ、びっくりした?」


「ししししししてないもん!」


「してるじゃないの」


「してないってば!!」


 ごめんなさい本当はドキっとしました!!


「この私がサユカンにからかわれることがあるなんて……屈辱!」


「結構長い付き合いなんだからたまにあったでしょうがっ!」


「サユカンは皆に身体を弄ばれてればいいんだよ!」


「あれ、さっき文句言ってたくせに君の方こそわたしのことどうでもいいみたいな発言してないっ!?」


「私はいいの!」


「なんでよっ!」


「誕生日だから!」


「毎日そんな感じじゃないのっ!」


「毎日が誕生日なの!」


「じゃあ君何歳よっ」


「それくらい自分で数えなよ!」


「何なのよこの変なケンカッ!?」


「長い付き合いならこんなこともあるんだよ!」


「そっかぁっ! じゃあ今後ともよろしくっ」


「こちらこそ! じゃあばいばい!」


「ばいばいっ」


 さて、次に行こう。




 作中で話したとおり、お祝い話はまだ先。ですので最近ご無沙汰な雑談をひたすらさせてみようと思います。

 あまり山とか谷とかありませんが、これもカカ天と思ってほのぼのしてくださいなー。

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