カカの天下885「水着は好きですか?」
こんにちは、カカです。そんなわけで、前回の流れで水着になってみました。
家の中で。
三人で。
「涼しいね、サエちゃん」
「涼しいねー」
「確かに涼しいわねっ」
満足そうに頷きあう私たち。
「バカがいる……」
それを冷めた目で見つめるトメ兄。
「いっぱいいる……」
しみじみ言うトメ兄。
「そんなに見つめられたら照れちゃいますよートメお兄さん」
「や、あまりにも異様で思わず」
「エプロンつけて裸エプロン(仮)! どうだトメ兄!」
「バカか!? バカなのか!?」
「トメさん嬉しそうだわっ。わたしもやる!」
「んなこたない!!」
や、でも嬉しそうだよやっぱ。
「これはどうかなー。水着の上だから履ける超ミニスカート。フリフリでチラチラだよー」
「バッカァーカ!?」
「やっぱり嬉しそう」
「だから何度も言うが、バカなこと言うな。なんで妹の水着姿云々で喜ばなきゃならんのだ」
「でも可愛い女子中学生だよ」
「確かに」
そこは納得してくれるのね。
「さぁ次は何っ!?」
「サユカン張り切ってるね」
トメ兄の関心を引けたのが嬉しかったらしい。
「じゃあサユカちゃんは全裸でいこー」
「よしきたっ」
わ、サエちゃんってば上手いことノせちゃった! こないだ奨めたときはなんだかんだでしなかったらしいし、ついに出るのか全裸!
「ていっ」
すぽん! と脱がされるブラタイプの上の水着。
隠されていた胸が露になる。
私の。
「――っ!?」
声なき声をあげる。慌てて大事な部分を隠し、トンデモナイことをしでかしたサユカンを睨みつける前に――
「トメ兄! 見た!?」
「何を」
「胸!」
「小さくて見えなかった」
「あぁん!?」
「や、そんな凄まれても。何もなかったぞ」
「女子の胸を見といてなんたる言い草でござるか!?」
「おまえの喋り方こそなんでござるか」
「気が動転してるんだよ!」
「んなこと言ってもなぁ、おまえ。妹のそんなもん見たところでなんとも」
「じゃーサエちゃんとかサユカンならいいわけ!?」
「や、相手は子供だしな。別に」
そのとき、ずいっと前に出たのはサエちゃん。
「トメお兄さん、その言い方は失礼です」
「む」
「確かにトメお兄さんはシスコンですけどロリコンじゃありません。多分」
「多分をつけるな」
「だから中学生は興味ないのかもしれません。ですけど、だからと言って成長途中の女の子に対してその発言は許されるものじゃないと思います」
「むむ」
サエちゃんが、怒ってる。
私のため? それとも『相手は子供だし』という発言に自分の尊厳を傷つけられたから? 真意はわからない、わからないけど、いつものふんわりとした笑顔は消え、真剣な顔でトメ兄を見つめている。
格好いい。惚れなおした。
「……ごめん、サエちゃんの言うとおりだ。カカ、悪かったな」
「へ、ああ、うん」
ぶっちゃけ格好いいサエちゃんに見とれてたのでトメ兄のことはどうでもよくなってたんだけど。
「はい、サユカちゃんにも謝ってください」
「わかった。サユカちゃんごめん」
「か、顔を上げてくださいトメさんっ!」
「そうですよー。そしてサユカちゃんをしっかり見てください。ね? 子供だなんてバカにしちゃいけない成長をしてるでしょー、胸」
「ほんとだ」
納得しちゃったよ!
「私は全然だけどー……」
さっきの毅然とした態度はどこへやら、シュンとなるサエちゃん。
でも大丈夫。私を含め周りの人は絶対にこう言うよ。
サエちゃんはそれでいい。
「よし、わかった! おまえらを一丁前の女扱いしてやろう!」
「わーい」
「じゃあとりあえず言わせてもらう。年頃の娘が家の中ではしたない格好するんじゃありません!」
ですよねー。
なんだかんだでしばらくこのままでいたそうです。
とりあえず言いたいことは一つ。
サエちゃんはそれでいい。




