カカの天下880「サユカの任務、勝負服編」
「どうしよう」
どうも、困ってるサユカです。
「どうしようカカすけ」
「なにがさ」
そしてわたしの目の前にいるのは、その困った事情を理解してくれない友人です。でもわたしには友人が少ないので、仕方なく問いかけます。
「トメさんにデートに誘われちゃった!」
「そら『くたばれ』とか言っちゃったらお詫びしようって気にもなるさね」
「何を着てこう!?」
「服でしょ」
「どんな!?」
「エロい」
「なんで!?」
「や、むしろなんで私が怒られてるのかわかんない」
だって真面目に相談に乗ってくれないんだものっ。
「とりあえず、うすぎになりたい」
「うなぎになりたい?」
「どんな耳してんのよっ」
「こんな耳だにょろ」
「それ、うなぎになったつもり?」
「そうだにょろ」
「まぁいいにょろ」
話を聞いてくれただけマシだわっ。
「そんなわけで、どんな格好でデートに行けばいいと思う?」
「全裸」
「ふざけんなにょろっ!!」
「にょろとか言ってる人にふざけんなとか言われても」
確かにそうだわっ!
「もういい、カカすけに聞いたわたしがバカだった」
「やーいバーカ。バユカちゃんって呼んでいい?」
「ニョローッ!!」
カカすけにもう相談なんてしないんだからっ。
そんなわけで数少ない友人パート2、サエすけのところにやってきたのだった。
「どんな格好して会えばいいと思う?」
「全裸」
「以心伝心か君らはっ!」
なんで打ち合わせたかのように同じことを言うのかっ。
「確かにわたしは薄着にするつもりだけどっ」
「全裸、薄いじゃーん」
「薄いどころか無いじゃないのっ!!」
「皮膚があるよー」
「もういいっ、他の友達のとこいくもんっ!!」
カカすけとサエすけはダメだった。
他の友達は……
「いないしっ!!」
ガーン。
「あれー。サユカちゃん、他に友達いないのー?」
「自慢じゃないけどいないわっ」
「イチョウさんとかー、アヤちゃんとかー、ニシカワ君とかー」
「腹を割るほどの友達じゃないわ、君らと違って」
「サユカちゃん……そんなに私たちのことを親友と思ってくれてたんだねー」
「まぁ、そうね」
「じゃあ親友の言うとおりに全裸になるしか」
「だからそれだけは嫌だって言ってるでしょっ」
「いずれは全部見せるんでしょー?」
「そうよっ!」
「じ、自信満々に答えられちゃったー」
ふふん、この気持ちには偽りもためらいも無いわ。
「じゃあもう全部見せてもいいんじゃー」
「もっとスタイル良くなってから見せるの」
「勢いよく答えてる割にその辺は冷静だねー」
当たり前よ。本気の恋愛なんだもの、妥協は許されないわっ。
「というわけで、わたしの未発達な身体でも絶妙にトメさんの心をくすぐる衣装がいいのっ。全裸はまだダメッ」
「なんかお母さんと会話してる気がしてきたー」
サカイさん、家で娘とどんな会話してるんだろ。
「うん、お母さんとの会話で思い出した。私たちくらいの歳の子の武器は、鎖骨と肩と太ももだって」
「わかったわっ。服貸してっ!」
「サユカちゃんって意外と図々しいねー」
「親友に遠慮してどうするのっ」
「そ、そう言われると弱いなー。もー」
ふ、伊達に付き合い長くないのよサエすけ。君は友情とかを表に出されるのをかなり恥ずかしがり、かつ嬉しくなって言うこと聞いてくれちゃうのよねっ!
口には出さないけど本当可愛いわこの子。わたしが男子だったらメロメロだわ。
……いや、どうだろう。男子でもトメさんの方に行ってたかな。
「じゃー衣装あわせにいこー」
「おーっ!」
この後、決めた衣装でトメさんとデートしたわっ。
トメさんは悩殺!
……されたかどうかは、本人のみぞ知るわ。
って、え? もう終わり? デートの描写は? え、ちょっとっ! 前回のトイレ行ってる話だけで終わるつもりっ! まさかそんなちょ――
完!
「にょろーっ!?」
この後どうなったかは皆さんの想像にお任せします(ぇ
まぁ書いてほしいっていう声が多かったら書きますが。んー、でもこの子らのデートもしばらく書いてないしなぁ。書いたら書いただなぁ、どしよっかなぁ。