カカの天下872「カレーはカレー」
どうも、カカです。
「さ、カカちゃん」
私は今、インドちゃんにカレーの試食をお願いされています。
「これが私の新カレーです!」
カレーに関してだけは自信満々に響き渡る彼女の声。
そして出された、その新カレーとは……
「大根じゃん」
「カレーです」
「や、でも」
「カレーなんです」
インドちゃんは頑なに主張するけど、それはどう見ても大根だった。
「しかも、なんだか物凄い長さだし」
長すぎて端のほうまで見えないくらいだ。
「ちなみにこれは世界一長いです」
「世界一まできたかぁ」
「そう、世界一長いカレーです」
「あくまでカレーなんだ」
「そしてどこを切っても同じ模様」
「真っ白でわかんないだろうに」
「さぁ。このカレーを食べてみてください!」
そう言うとインドちゃんは大根を包丁で切り分け、皿に盛り付けてフォークと一緒に差し出してくれた。
ちなみに中身はやはり大根。カレーが入っているわけでもない。
「……これ、生で食べるの?」
「何言ってるんですか。カレーなんですから、ちゃんと火は通っています」
生の大根にしか見えないんだけど……ま、いっか。
「いただきます」
「めしあがれ!」
ぱくり。
「げ」
「どうですか」
「うんまっ」
やばいくらい美味い。しかもカレーだ。
どうしよう。
「そんな夢を見たんだ」
というわけで、サエちゃんとサユカンに話してみた。
「またよくわかんない夢見るわねっ!」
「サユカちゃんもこないだ、妙なものを食べる夢を見たって言ってたよねー」
「妙とはなによ! トメさんの形したゼリーを食べる夢なんだからねっ」
誰がどう聞いても妙だ。
「何味だったの」
「ぶどう味」
なんてツッコめばいいんだろう。教えてトメ兄。
「とりあえずカレーが食べたかったんだねー、カカちゃんは」
「そうなのかなぁ」
「あ、噂をすればインドちゃんだよー」
サエちゃんの視線を追ってみれば、確かにインドちゃんがイチョウさんと二人でカレーを食べていた。ちなみにここは中学校で今は休み時間なんだけど……いいんだろうか。太るし。
「今日のカレーはなんですの?」
「これ」
「……え」
絶句するイチョウさん。なんとなく私たちも覗きに行ってみる。
するとあらフシギ。私が夢でみたカレーがあったのだ。かなり短いけど。
「これ、大根ですわよね?」
「大根だねー」
「大根にしか見えないわっ」
常識を語る皆さん。だがしかし。
「ううん、これはカレーだよ」
「そうだよね、インドちゃん。これはカレーだよね」
互いに頷く私たちの心は繋がっていた。
「うーん、カレーってどんな意味だったっけー?」
「奇遇ねサエすけ、わたしもそう思っていたところよ」
「辛いもの=カレーという認識でいいのではないでしょうか」
この人たちは何を言ってるんだろう。
「カレーはカレーだよ」
「食べればわかる」
私たちの妙な気迫に押され、食べてみることになったサエちゃんサユカンイチョウサン。
ついでに私も一口いただく。
「うん、やっぱりカレーだ」
「うん、うまく出来てる」
頷く私とインドちゃん。
「……カレーの味だー」
「え、え、え!? カレーよこれっ! 色も形も普通に大根で、カレー要素が一切見えないのにカレー味よこれっ!?」
驚愕する私の親友二人。
「さすがかのちゃん♪」
「ありがとういっちゃん♪」
そしてなぜかラブラブな二人。
というわけで。
世の中にはフシギなカレーがありましたとさ。めでたしめでたし。
「……ねぇ、サエすけ。これって何のお話だったの?」
「さー」
サブタイトルはダジャレじゃありません。主張しただけです。どんな形をしていようとそれがカレーである限りカレーなのだと。
ええそれだけです。ちなみにこれは友達が見た夢を元に書きました。なんか料理勝負をしていて、相手が出した料理が生の大根だったのですが、それが美味すぎた、という内容だったそうです。
そんな大根食べたい。
あ、そそ。話は変わりますけどサッカー、デンマークに勝っちゃいましたね。正直サッカーは興味なかったのですが、初戦に勝っちゃったので見るようになってしまったという……ああゲンキンなワタシ。
でもあんまりサッカー盛り上がって皆さんテレビにかじりつかれると、飲食業やってる身としてはお客が減って辛いんですが……笑




