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カカの天下  作者: ルシカ
864/917

カカの天下864「楽しい楽しい罠タイム、後」

 どうも、まだまだ中学生かけだしのカカです。


 先程イタズラを終えて5限、6限と授業をこなし、楽しい放課後の時間がやってきました。さすがにもう背中にサユカンは乗っていません。


「あのイタズラ、誰か聞いたかな?」


「情報を集めてみたけどー、気づかれてないっぽいよー」


「うーん、イタズラの是非をツッコむべきか、早々にどんな情報網を持ってるのかツッコむべきか、どっちかしら。教えてトメさんっ! メールメール」


 携帯を握り締めるサユカンの首根っこを捕まえて、とりあえずラジカセを回収に向かう。


「あれ、教室の戸が開いてる」


「誰か入ったのかしら」


「その割には情報なかったけどなー。学校関係者以外かなー?」


 それを断言できるサエちゃんはすごい。憧れる。大好き。


 のろけはさておき、回収回収。おーおー、いまだに緑色がどうとか言ってるよ。ポチッと再生ストップ。


「次はどうしよう?」


「元の場所に戻しておくのが一番だと思うわ」


 つまんない。却下。


「とりあえずインパクトが薄かった気がするので、何か恐い感じのセリフを募集しよう」


「さんせー」


「はんたーいっ」


「よし行こう」


「わたしの意見聞いてよっ!?」


「賛成が私とサエちゃんで二人、反対が一人。多数決だよ」


「わたし不利じゃないっ!? それじゃあ大抵の言い分が通っちゃうじゃないっ」


「今までずっとそんなもんだったじゃん」


「それもそうねっ」


 サユカンも中学生になってからすっかり物分りがよくなった。私たちのおかげだね。


「お。あそこを歩くのはー、うちのお母さんと教師Aのはからいで皆同じクラスになったにも関わらずなぜか一人だけ別のクラスになったタケダ君だー」


「ほんとだわっ。ほらカカすけ、いいカモよ!」


「タケダって誰だっけー」


「中学生になったのが嬉しすぎて忘れちゃったのかもだけど、いくらなんでも可哀想だから本人に言っちゃダメだよー」


 む、そっか。わかった気をつける。


「おお! なぜか俺とは別のクラスになったカカ君たちではないか!」


「……タケダ君、気にしてるのー?」


「当たり前だ!」


 誰だか忘れたけど正直な人だ。


「ところで何用だ。まさかサエ君の母上の力で俺のクラス替えが決定か?」


「そんな無駄なことはしないよー」


「いいじゃないの、またヤナツ君と同じクラスなんだから。親友なんでしょっ」


「そんなわけないだろう!」


 そこで私はポンと手を打った。


「ああ、ヤナツ君の友達か」


「カカちゃん、ヤナツ君は覚えてるのになんでタケダ君は忘れるのー?」


「さぁ」


「……何の話だ?」


 ここのやりとりはコッソリしたので当のタケダ君には聞こえていません。いくら私でもそれくらいの配慮はあるよ。えっへん。


「とりあえずタケダ君、だっけ?」


「なぜ自信なさげなのだ、カカ君」


「変な言葉をお願い」


「うむ、その発言がすでに変だぞ」


「つべこべうるさい、言え」


「……カカ君、こんなに冷たかったっけ」


 知らない人には厳しいのだ。


「はい、もう録音ボタン押すよ。よくわからなくて意味不明で、それでいてどことなく恐いセリフをお願い」


「注文が複雑だな!!」


「はい、ごー」


 ポチッとな。


「ありえない抜け毛だ!!」


 録音終了。


「これはたしかに恐い」


「なかなかやるねー」


「合格っ! もう行っていいわよ。しっし」


「な、なんだよぅ……俺にも出番よこせよぅ……」


 なんか寂しそうに去っていくタケダ君。


「よし、なかなか楽しいセリフをくれたもんだ。ご褒美に思い出してあげよう」


「あ、やっぱり覚えてたのねー」


「まね」


 さすがにね。


「録音はこれでおしまいなのー?」


「それじゃつまんないわよねっ……ん、む」


 なんだかムズムズしてる様子のサユカン。よし、ポチっとな。


「ごほ」


 録音終了。


「……ちょっと待ってカカすけ。いま、何した?」


「録音した」


 再生&リピート。


『ごほごほごほごほごほごほごほごほごほ!』


 むせすぎ。


『五歩五歩五歩五歩』


 なんとなく皆で五歩、歩いちゃった。


「なかなか面白くなったね」


「それだけでいいのー?」


「充分じゃないの……ん、んん」


 サユカンの調子がおかしい。今だ!


「うぇ」


 くしゃみが出そうで出なかったらしい。録音終了。


『うぇうぇうぇうぇうぇうぇうぇうぇうぇうぇ』


「なんだか某掲示板とか某動画サイトが頭に浮かんだー」


 サエちゃんが何を言ってるのかわからないけど、これで完成だ。


「恥ずかしいから消してっ!」


「ヤ」


 さて、どうしてくれようか。




 結論。


 給食中に放送してみた。


『ありえない抜け毛だ!!』


 食事中のクラスメイト全員が吹き出した。そして恐ろしげな表情で給食を見る。まるでその全てが抜け毛で出来ているとでも感じたかのように。


『ごほごほごほごほ!!』


 誰かが言った。「え、この人、まさかその抜け毛を食べたの? そしてむせたの!?」と。


『うぇうぇうぇうぇうぇうぇうぇうぇうぇ』


 誰かが言った。「あ、頭がおかしくなったんだ」と。


 そしてその後、給食に手をつける人はいなかった。


 お残しがいっぱいでた。


 そしたら給食のミナミおばちゃんが乗り込んできて説教された。皆、ごめんなさい。やりすぎました。


「さっきの、サユカちゃんの声だよね?」


「きゃあああああああああああああああっ!」


 そしてクラスメイトにあれこれ言われることになったサユカン、ごめん。中学生になったからってはしゃぎすぎた。自重しよう。




 後編です。なんか汚い話になりました。食事中の方は気にしないでください(って言い方も変ですが)

 退屈気味なカカたちですが、今度は何をやらかしてくれるのでしょうか。はてさて……

 話は変わりますが、実はもう一話書きたかったのは母の日の話です。過ぎましたが。でも今度載せます。しかし他にも重要な話が控えていますね。カカねば。

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