カカの天下861「うっかりクララちゃん」
こんにちは、クララです。突然ですがおたよりを紹介します!
これはクララの文通相手からのお手紙なのですが……
『こんな季節に雪が降りやがった! 咲いたばかりな俺のむき出し部分が寒すぎるぜ! ヒーハー!!』
だ、そうです。相手はもちろんクララと同じ桜の木です。クララもむき出しな部分が寒いです。え、あ、はい。お花のことですよ。まだ蕾ですけど。人間でいうなら……そうですね。綺麗なピンク色の大事な部分を表に。うん。内臓をそのまま外へ公開しているのと同じなのです。だから寒さは堪えるのです。
続いて紹介します。
『私、綺麗に咲きすぎました。だからみんな、私の枝をポキポキ折って持っていくんです』
人間で言うと骨折しまくりですね。しかもその骨を持ち帰るとは、なんたる変態的な所業でしょうか。裁判でこき下ろされるべきです。
『桜の花を潰されました』
内臓破裂です!?
『枝でチャンバラされました』
人の腕でチャンバラしてるようなものです!
『次はおまえだ』
クララしょっくです!!
「ふう」
さて、意外に広いクララの交友関係を暴露したところで本題に入りたいと思います。
聞けばお姉ちゃん達が中学校へ行ったらしいです。ぶっちゃけクララは何のことやらよくわかりません。だからその中学校とやらに侵入してみることにしました。
「あ、不法侵入者」
「クララ逮捕です!?」
いきなり背後から声かけられてビックリですが、振り向いてみればどこかで見たような顔。
「床さんです」
「あーあー、サラさんの気持ちがわかるわ……えぇ、ユカさんよ」
「なんでこんなとこにいるですか?」
「取材よ。クララちゃんこそなんで? っていうかどうやって入ってきたの?」
それはクララの不思議な力でシュバッと、とか言わないほうがいいような気がします。カンですけど。とりあえず誤魔化さないと。
「愛の力です」
「なるほど」
誤魔化せました。
「おねえちゃんに会いに来たの?」
「はい。あとついでに中学校とやらを探索しようかと思ったです」
「ふーん、面白そうね。私もついていくわ、ネタになりそう」
「寿司ネタですか!? 桜寿司ですか! あぁなんだか美味しそうです!」
「今度一緒に食べる?」
「共食いです! クララしょっくです!」
何がしょっくって、頷きそうになったことがです! だって美味しそうなんですもん!
「むむ、あそこの教室から声がします!」
「子供って話題の切り替え早いわよね」
「さっそく聞き耳を立ててみます!」
クララとユカさんは揃ってその教室の壁に耳をつけました。すると聞こえてきたのは爆笑と、とある男子さんの声。
「それって緑色すぎるだろう! ふはは!」
意味不明なセリフです。
「それって緑色すぎるだろう! ふはは!」
また言ってます。
「それって緑色すぎるだろう! ふはは! それって緑色すぎるだろう! ふはは! それって緑色すぎるだろう! ふはは! それって緑色すぎるだろう! ふはは!」
もしかして壊れたラジカセでも再生してるのでしょうか。そしてそこまで緑色って一体?
「それって緑色すぎるだろう! ふはは! それって緑色すぎるだろう! ふはは! それって緑色すぎるだろう! ふはは! それって緑色すぎるだろう! ふはは! それって緑色すぎるだろう! ふはは! それって緑色すぎるだろう! ふはは! それって緑色すぎるだろう! ふはは! それって緑色すぎるだろう! ふはは! それって緑色すぎるだろう! ふは――」
「うるっさいわああああああああああ!!」
あわわ、イライラが頂点に達したユカさんが教室の扉をピシャーンと開けて怒鳴り込んでしまいました!
「……あれ」
「ど、どうしました」
一体どんな緑色が……クララもおそるおそる覗き込みます。
するとそこには――誰もいませんでした。
え、え? さっきの爆笑は? 緑色は?
「……幽霊?」
「クララしょっくです!!」
「あれ、クララちゃん? どこ行ったの? おーい!」
驚いて思わず瞬間移動してしまいました……まぁそれはいいです。ともかく事件です! この中学校に眠る謎をクララが解き明かしてみせます!
そんなわけで探索探索!
そして一ヶ月が過ぎました……
「ところでクララちゃん」
「あ、なんですか。カカ」
「今年、お花見できなかったんだけど」
「探索に夢中で花を咲かすの忘れてました!!」
クララ超しょっくです! むむむ、年に一度の楽しみがぁ。
よし、こうなったら探索が完了したら季節関係なく咲きましょう。そうしましょう。さぁ探索探索!
「咲くときは言ってね」
「はーい!」
なんかやたらとフリーダムな話になってしまいました。緑色の謎は次回に解ける、はず。ちなみに桜寿司は桜の寿司であって、某店名のことではないのであしからず。
未だに一話ずつしか投稿できてないのが我ながらじれったい……次こそは二話以上更新したいもんです。そして季節外れの花見話を!(べ、別に作者が花見話を書き忘れてたからクララが咲くのを遅れさせたってわけじゃないんだからね!)