表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
860/917

カカの天下860「学級崩壊(笑)」

 やぁ、こんにちは。え、誰かって? 俺だよ、――だよ。え、聞こえないって? わかったよ、じゃあAとでも呼べよ!


 ……のっけからすいません。そんなわけでAです。読んでるあなたの友人ではないので『友人A』とは書きません。しかも現在の俺はどちらかというと教師Aなので。うん、教師。これから中学校で担任デビューなの。ふはははは!


 とうとう僕の教師生活が幕を開けるんだ!


 目標は、まず第一に俺のことをちゃんと名前を呼んでもらうこと!


 第二に、受け持った生徒全員をまともに育てて卒業させること!


 これをトメに言ったら「そこを第二にした時点でおまえの負けは決まっている」とかわけのわからないツッコミをもらったけど、まぁ置いておこう。


 教室の前に立つ。中では楽しそうな声が聞こえてくる。


 さぁ扉を開けよう。この先には新世界が待っている。俺の顔も名前も知らない子ばかりだ。だから俺はきっと第一の目的を一瞬で達成できるだろう。名前を読んでもらうという、長年の夢を叶えることができるんだ!


 うおおお、興奮してきた! いざ行かん! 初めまして、僕の生徒達!


「あ、A先生がきた」


「A先生、おはようございます」


「教師Aって呼び方のほうがいいと思う」


 俺は、唖然とした。


「な、なんで」


「やは、Aさん」


「カカちゃん……まさか」


「馴染みやすいようにと思って皆にあらかじめ教えておきました」


「余計なことを!!」


 なぜ僕の文句に「えっへん」と胸を張るのだカカちゃんよ。


「うわぁー」


「む、なんだうわぁーって」


 ふと横を見ると、興味深そうに僕の顔を覗き込んでくる初対面の女子が。


「な、なにかな?」


「本当に特徴がありませんね」


「うるさいわ!」


「まさにA」


「どういう意味だ!?」


「怒り方も普通」


「特徴のある怒り方ってどんなんだ!?」


 はい、とそこで手を上げたのは……サエちゃんだ。何度か話したことはあるけど詳しくは知らないんだよなぁ。


「カカちゃーん、特徴のある怒り方の見本どうぞー?」


「まみむめもー!!」


「それ怒ってるの!?」


 カカちゃん。しばらく見ないうちにすっかりお姉さんに似ちゃったなぁ。どうしよう。いや、本当にどうしよう。


「でさ、呼び方は教師Aでいい?」


「カカちゃん、目上の先生に対してそれはないだろ?」


「いいじゃん、少女Aっていう有名な曲と似た呼び名なんだから」


「その曲は確かに有名だし好きだけど」


「じゃ、間をとって『少女好きの教師A』ってことで」


「それどう考えてもナニカの犯人の名前(仮)ですよね?」


「略してロリコンですねー」


 どうしよう、テンカ先生に「任せてください」と大見得を張ってきたのに初日からズダボロだ。この二人、手ごわすぎる。テンカ先生はどうやって仕切ってたんだろう? あの人っぽくマネをすれば上手くいくのかな。


 いや、待てよ? この二人ならむしろトメのほうが身近だろう。俺としてもマネやすいし。よし!


「なんでやねん!」


 俺は叫んだ。


 返ってきたのは数秒の沈黙だった。


 やがてカカちゃんが聞いてくる。


「なに。いまの」


「ツッコミ」


「何に対する?」


「……理不尽な世界に対する」


「なるほど」


 納得してもらえた!


「あっはっは! そう、俺はツッコミキャラなんだよ。トメと同じ――」


 世界がひっくり返った。


 見えるのは天井と、真上から睨みつけてくる、俺を投げ飛ばした張本人。


「トメさんと、同じ?」


 あぁ、名前は確かサユカちゃん。トメのことが大好きな子だ。


「片腹痛いわっ」


 お父さん、お母さん。お仕事って恐いです。




 クラスはまとまらず、コケにされた初日……その翌朝、職員会議。


 昨日の大騒ぎに意気消沈しながら臨んだんだけど。


「A先生、生徒からの評判よかっですよ」


「うそぉ!?」


 どう見ても学級崩壊中なんですけど!!


「どうやら生徒と同じ目線に立って接しているようですね。他のクラスのどの先生よりも」


 まぁ俺ほどいきなり生徒から下に見られている教師もいないだろうけど。


「これからも頑張ってくださいね。A先生」


「は、はい!」


 評判がいい、かぁ……そっかぁ。


 生徒が生徒だからこういう接し方もアリ、と思ってやっていくしかないか、よし。頑張ろう!


「ところで教頭」


「はい?」


「俺の名前……」


 さすがに上司にまでAとか言われたくないんですけど。


「……ああ!」


 やっとわかってくれましたか?


「教師A!」


「それはもういい!!」


 前途多難だ。絶対トメに愚痴ってやる。




 トメのツッコミ、正解でしたね。おまえはもう負けている。さて、初っ端からかましたカカたちですが、周りのクラスメイトの反応はいかがなものでしょうか。小学校のように仲良くいくのでしょうか。はてさて……

 しかしごめんクララちゃん、桜の時期に君の話を書いてあげられなかった! 今回それも書いて載せるつもりだったのに時間が! せめて次の更新はいっぱい書いてやるからなー! あーAなんか先に書くんじゃなかった(可哀想

 ではでは。また来週!

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ