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カカの天下  作者: ルシカ
842/917

カカの天下842「だっしゅ」

 どどどどどどどどど!


 こんにちは、カカです! ただいま街の中を爆走中です。別に車やバイクに乗っているわけではありません。ただ単に走っているんです。


「急がなきゃ、急がなきゃ」


 両手をチョップの形にして空気を切り、軽快にだっしゅだーっしゅ。


「あ、カカすけやっほー。どしたのそんなに急いで――」


 通りすがりのサユカンに声をかけられたものの、それどころじゃないので素通り。


「えっ、ちょっと!? そんなに急いでどこ行くのよっ! ちょっとくらい立ち止まってかまってよ!」


 なんかムカついたらしく、サユカンが追いかけてきた。


「あー、カカちゃんにサユカちゃん。なにしてるのー?」


 今度は前方にサエちゃん発見。でも止まるわけにはいかないの!


 そんな私の様子を察したのか、サエちゃんはポツリとつぶやいた。


「ゆーたー」


「ここに」


 どこからともなく、でっかいのが現れた。


「おんぶ」


「喜んで」


 本当に至福な顔してる。


「そのままカカちゃん追ってー」


「御意」


 なんか天使を背負ったデカブツが追っかけてくる。


 そんな二人(あ、三人か)を連れて商店街に突入した。


「あ、ねぇねぇカツコさん! カカちゃんたちですよ」


「ん、何してんの?」


「なんか……爆走してます」


「よしサラちゃん、おんぶしてやろう」


「きゃ! なんですか急に」


「カカちゃんたちがいるってことは、きっと何か面白いことがあるのだ!」


「え、でも仕事はどうす――きゃあああぁぁぁはやいいいいいぃぃぃ!!」


 二人の花屋さんも追っかけてきた。


「――というわけで、私が作る今日の夕飯はですね?」


「あーあーキリヤ、すとっぷ。アレなんだろう」


「むぅ? 私とユカさんの素晴らしき献立タイムを邪魔するとはどこのどやつ……はて? アレはあそこのあちらさん達ではありませんか」


「面白そうね、追っかけましょう」


「はっはっは、野次馬根性は置いといて夕飯について語るべきでは」


「仕事柄ほっとけないの。いくわよ!」


「え、ちょっと! ユカさんやっぱり最近冷たくないですか!?」


 バカップルも追っかけてきた。


「むむ!! アヤ坊、あれは!」


「どしたのニッシー? あ、カカたちだ」


「西へ向かって走っている……いかねば!」


「あ、待ってよニッシー!!」


 バカップル2も追っかけてきた。


「うし、カレーの材料はこれで全部だな」


「くあー、楽しみだなぁトメカレー」


「テン、食ってくなら少しくらい材料費だせよ――あ?」


「あそこ走ってるのはカカたちだよな。また何かやらかしてんのか」


「あんなに大勢で走って……何やってんだあいつは!」


「おーおー、ただツッコむためだけによく走るねぇ。そんなにツッコむのが好きなのかねぇ。男だねぇ。ナニをドコにツッコむのか知らんが、なかなか楽しそうだ。オレもいこ」


「テン、下品!」


「やっぱツッコむの好きじゃねぇか」


「まぁな!」


 バカップル3――って言ったらサユカンに殺されるから、とにかくお馴染みの二人も追っかけてきた。


「いっちゃん、カレーの材料があそこを走ってます!」


「わ、わかるのですか、かのちゃん!」


「きっとあの先に商店街で噂の『トメカレー』が待っているのです!」


「ああ、そんなに走ると転びますよかのちゃん!」


 なんかクラスメイトも追っかけてきた。


「むむ、カカ君ではないか! ゆくぞタマ!」


「ごー!!」


 なんだかよくわからないコンビも追っかけてきた。


「校長、あれは」


「いきますよ教頭」


「なぜ?」


「そこに生徒がいるからです」


「なるほど」


 ノリだけでなんか追っかけてきた。


「クララ参上です! なんだか参上しなければならない気がしたので参上です! そして流されるままに走ってみます!」


 ものすごく楽しそうな女の子も追っかけてきた。


「くそぅ、姉貴のやつめ。つまみ食い程度で両手に包丁持って襲いかかってくることはないだろうに!」


「トウジ! あそこに爆走してる団体がいるぞ!」


「ありがてぇ、アレに紛れれば姉貴を撒ける!」


 ドサクサに紛れてどこぞの店長二人も追っかけてきた。


「さんぽーさんぽーさんぽっぽー。あら? どうしたのおまえたち。え、血が騒ぐ? え、ちょ、ちょっとそんなに引っ張らないでよきゃああああー!」


 散歩してた動物軍団と共にサカイさんまで追っかけてきた。


 ――結果、ものすごい人数が商店街を爆走することに。私が右へとカーブすると皆もそれに倣い、まるで大蛇がうねるよう。土煙を上げながら、周囲の人々の視線を集めながらも、誰しも構わず走り続ける。


 走る、走る、走る、走る。


 見ていた誰かが通報したのか、警察の姿がチラッと見えたけど、それを必死に説得するシュー君らしき姿もチラッと見えた。


 それはともかく足を動かす。


 ただひたすらに。


 速度を緩めることなく。


 頭はまっしろ、ただし息は規則正しく、だが速く。限界など知らぬと身をもって証明する。


 やがて、辿りつく。


 目的の場所に。


 そこは馴染みのある場所。


 私んち。


「んでさ。私ランニングしてるだけなのに、なんでこんなについてくんの?」


 なんか皆、崩れ落ちた。




 ――はるか遠くの地。


「ということがあったらしい」


 トメ父の報告を受けて。


「ママも参加したかった……!」


 崩れ落ちる人がここにも。




 疾走感のある曲を聴いていたら、なぜかこいつらが爆走する映像が浮かんだので書いてみました。


 まぁ、なんか楽しかったです笑

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