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カカの天下  作者: ルシカ
836/917

カカの天下836「早く終わって始めてください」

 あけましておめでとうございます、サエですー。


 そう、新年が始まりました。なのに私は未だに大掃除の真っ最中、まだ初詣にも行けていないのですー。それというのも……


「さぁ、今日は二階を片付けるわよー!」


「どこまでもお供します、ミエ様!」


 この二人が去年からずっと頑張っているからなのですー……


「ねー二人とも、もう充分に掃除したじゃないのー」


「いえ、まだよ! 甘いわねサエ」


「そうです! 年末大掃除を完璧に終わらせてこそ、本当の新年が始まるのです」


「よく言ったわゆーた」


 困ったことに、こんな風に言い張って聞かないのですー。私の新年が始まらないのですー。


「なんでそんなに頑張るのー……」


「ふ、知れたことを」


 うん、知ってる。何度も聞いたー。


「私がたまたまネットでハウスダストに関するホームページを見たときにちょうどサエがくしゃみしたから『もしかしてウチってヤバイ?』と思ったのよー」


 そして聞くたびに言いたくなる。それだけ? って。


「考えてみればウチって、清潔に躾けてあるとはいえ動物が闊歩してるし、やたらと広いから少しくらい散らかってても気にならないし、だから掃除とかしないし、そのわりに私もサエもインドア派だから家に居ること多いしー」


「あぁ、ゾッとします。サエさまがハウスダストのせいで事あるごとに『くちゅん、くちゅん』とくしゃみする光景を想像すると……萌える!」


「じゃーいーじゃん」


「何を言うのです! 萌えにも限度があるのです! ねぇミエ様!」


「サエが、くちゅん、くちゅん……萌え死ぬ!」


「ええ! 世界中の人間が萌え死ぬことでしょう!」


「これは世界の危機! いくわよーゆうた!」


「お供します!」


 おおげさなことを叫びながら掃除を始める二人。でもこの二人の掃除はねー……


「さ、ミエ様。ここの棚をどかしますぞ」


「お願いー。やっぱり力持ちがいると便利ねー」


 身体のおっきいゆーたが重い家具などをズラして、お母さんが掃除をする。そういう役割分担で、一見は適材適所に見えるんだけど。


「おっと」


 バサバサバサ!! ゆーたの肘が、机の上に積み上げられていた本や書類をなぎ払う。その紙々はまるで吸い込まれるかのように掃除中のお母さんの手元へダイブした。


「あー! 汚くなったー!」


「す、すいません!」


 まずゆーたの欠点。身体が大きすぎて不器用だから、物を動かす以外でことごとく邪魔になる。


「もー、仕事を増やしてー! えっほ、えっほ」


 そして、ぶちぶち言いながら拭き掃除をする、お母さんの欠点は……


「ふー……ふー……はぁ、はぁ……ぜー、ぜー。疲れた。やすもー」


 体力がとことん無いのです。でも拭き掃除って結構疲れるよねー。


「おっと」


 バサバサバサ! またやった。


「こらゆーた!」


「すいません!」


 えっと、ともかく、そんなわけです。ハッキリ言ってものっすごく効率が悪いのです。掃除の才能が皆無なのです。この数日で一階の掃除が終わったのが奇跡です。


「あれー、そういえばお母さん」


「へっきし!!」


「そんな返事やだー」


「ミエ様、もっと可愛く! ミエ様ならできます! 元が可愛いから! 腹ではどう思おうと上っ面を綺麗に取り繕うのは何より得意なはずです! サエ様と同じです! さぁ!」


「ゆーた、ちょっと黙って」


「ハイ喜んで」


「ねーお母さん。最近掃除ばっかりしてるよねー?」


「ええ、命かけてるわ」


 体力的にね。


「それでさ、思ったんだけどー。仕事は?」


「あ」


 ……なに、その「あ」って。


「忘れてたー。てへ」


「本当に命かけてたのー!?」


 もちろん生活的な意味で!


「だ、大丈夫よー。お正月休みっていうのがあるしー。いつからいつまでだったか忘れちゃったけどー」


「調べて! いますぐー!」


「そんなに慌ててもー。もう遅いんだから結果は変わらないよー」


「いいからー!」


 ほんっとにもー、お母さんは一つのことに熱中しすぎるんだよねー。まぁ、それが私のため、っていうのはわかってるんだけど。


「……んー、仕方ない。私もお掃除やるかー」


 私も体力が無いから、手伝っても邪魔になると思って手を出さなかったんだけどー。


 実は面倒くさかっただけなんだけどー。


 このままじゃいつまで経っても終わらないしねー。よいしょっ、バケツに水を入れてっと。


 えっほ、えっほー。運び運び。


 よし。まずはここからだ。


「さーパコちゃん。綺麗にしましょうねー」


 とりあえずバケツいっぱいの水を、パソコンのパコちゃんにぶっかけ――


「サエェェェェェェェェェェェェ!」


 あまりに切迫した声が聞こえたので思わず踏みとどまる。


「何してるの!?」


「え、パコちゃんの掃除だよー」


「ダメよ水なんかをかけたら!」


「そうなのー?」


「ええ、よーく考えてみて!」


 よーく考える。


 そして気づく。


「そっか」


「わかってくれたのねー」


「お湯じゃないと」


「関係ない!!」


「あ、お風呂場じゃないとー!」


「根本的に違うのー! なんでサエは機械が関わるとおバカになるのー!」


 む。おバカって……そこまで言わなくてもー。


「ミエ様、私は大変なことに気づいてしまいました」


「どうしたの、ゆーた」


「おバカなサエ様……萌えませんか!?」


「ハッ……! 私としたことが! 確かに! 普段とのギャップ萌え!」


 ぷー。またバカって言った。


「あぁ見てくださいミエ様! サエ様が! サエ様が拗ねてぷーっと頬を膨らませています!」


「きゃー!! 可愛すぎるぅー!」


「ミエ様! 鼻血! 大量の鼻血がショットガンのごとく発射されてます!」


 ……結局、その日は鼻血の掃除をして力つきましたとさ。


 ねー、私の新年いつ始まるのー?




 私事ですが、ようやく引越しが終わりました。


 この年末年始……仕事場では激闘、その後に引越し作業&掃除、というのを繰り返し、もう疲労困憊でヒーハー! って感じです。新年始まっても掃除掃除……で、なんかやさぐれたのでサカイ家も同じようにしてやりました(鬼


 でもまぁ、飲食店が忙しい時期は過ぎました。引越し先の荷物整理も落ち着いたら、少しは執筆ペースもあげれると思います。


 この子たちみたいに新年が始まっていないキャラもいますし、なるべく早く初書きしてあげたいと思ってます。またよろしくです^^


 とりあえず次は誰の話かこっかなー。

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