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カカの天下  作者: ルシカ
832/917

カカの天下832「みんなで手作りクリスマス」

「ふあ……」


 起きました。カカです。


 ぼんやりとする私の記憶が正しければ、今日はクリスマスのはずです。


 つまり、私が目を開けて、枕元を見ればプレゼントが――


「くー……」


 サエちゃんの寝顔がありました。


 サンタ、ぐっじょぶ。


「これが私のものに……うへへ」


「ん、おはよーカカちゃん」


「うおぉ!? お、おはよサエちゃん!」


「その手はなにー?」


「や、なんでも」


 無意味にわきわき動かしてただけですよ。別にどこを揉みしだこうとか考えてはいませんでしたデスよ。


「まぁいいやー。いい夢見れた?」


「夢?」


 うん、夢を見た。


「たしか……でっかいツリーからエセ外国人の生首が大量に降ってきてソレがいつの間にかサンタの顔になって爆発したと思ったら人面魚に変身して」


「うんうん」


「その人面魚がいきなりエロいポーズをとりながら汚いお金を請求してきつつ『愛ってなんだろう』って疑問を覚えながら魚体の筋肉が急成長。さらにどこからともなくマッチョの群れが現れてサンタ人面魚をわっしょいわっしょい胴上げしてお祭り騒ぎになったら『うるさい!』とか叫ぶ裸の侍が現れてソレらをばったばったと斬り捨て『ゲロゲーロ』って説教して腹筋三千回の罰を与えたら皆が腹筋しすぎで『ゲロゲーロ』って吐いてたんだけど私もやらされそうになってなぜかお父さんに殺意がわいて」


「なんでだろねー」


「そしたら天空から巨大なお母さんが降ってきて、全てを踏み潰して助けてくれたの」


「母は偉大だねー」


「ホッとしたのも束の間、なぜか見知った人がいっぱい出てきて忘年会を始めて、そこから先は覚えてない――んだけど」


 そこまで説明することで頭がハッキリしてきたのか、私は真っ先に浮かべるはずの疑問をようやく口にできた。


「なんでサエちゃん、ここにいるの?」


 まさか本当にサンタさんに拉致されたわけでも……って、あれ。


「なんで私の部屋がスゴイことになってんの」


 そう、スゴイことになっていた。この狭い部屋に見知った顔がうじゃうじゃ居て、思い思いの格好で雑魚寝している。周りには酒瓶や空きカンや色々と喰い散らかした跡が。


「えっと、サエちゃん?」


「んとねー、なんだかよくわからないけどココで忘年会が始まったんだよ」


 説明が簡単すぎて逆にわかりません。


 そんな私の意図が伝わったのか、サエちゃんもっと細かく説明してくれた。


「私も半分寝てたんだけど、大体は薄らと覚えてるよー。たしか……あれが『おさら』と『おさる』がどうとか言い合いの果てにお酒でヒートアップして殴り合いまで発展したけど一発ダブルノックアウトで両方ぶっ倒れたサラさんとうちのお母さん」


 なにやってんの二人。


「あれが踊りまくり食べまくり飲みまくり飲ませまくり叫びまくり歌いまくり跳びはねまくりなぜか筋トレしまくり楽しくブリと遊びまくり空中浮遊まで披露してさすがに疲れたのか眠ってしまったカツコさん」


 はしゃぎすぎ。


「あれが誰よりも酒を飲んだあげくに『クリスマスイブを素敵に過ごすカップルは皆、爆発すればいい』と叫びつつシャドーボクシングしながらニヤニヤしてたらすっ転んでくたばったテンカ先生」


 いろんな意味で哀れ。


「あれが酔いに任せてカカちゃんに顔を見せようと思ってたけどやっぱり恥ずかしくて隠れ身の術を使おうとした際にテーブルに足をぶつけてしまい痛がりつつしっかり隠れたカカちゃんのお父さんの跡」


 ……結局顔は見れないままかぁ。


「あれが突然始まった忘年会に呆れつつも結局お酒を飲んで潰れたんだけど起こされてまた飲まされてまた潰されてーを八回繰り返したところでよろめき本棚に頭をぶつけて気絶したトメお兄さん」


 随分なプレゼントをもらったねトメ兄。


「あれが桜のお酒を一気飲みで十五本空けたくせに平気な顔して眠りについたクララちゃん」


 桜の妖精じゃなくてザルの妖精だったのか。


「あれが『今朝の仕込みがあるので』とそそくさと出て行く際にキリヤが少しだけ片付けていった跡」


 あ、ほんとだ。よくよく見れば皿とかグラスっていう洗わなきゃいけないものがない。あとみんな捨てるだけでいいんだ、これは楽だ。


「あれがお酒を飲んでしまって着崩れたサンタ服を異様なエロさで着こなしつつ色んな人に絡みまくった末のサユカちゃん。と、それを介抱してるうちに寝ちゃったカカちゃんのお母さん」


 二人ともサンタ服、そして二人とも服がはだけている。


「どう見ても事後」


「サエちゃん、それどういう意味?」


 さー? と笑うサエちゃん。教えてくれないらしい。今度トメ兄に聞いてみよう。


「そしてあれが」


 最後にサエちゃんが指差したのは。


「サンタさんからのプレゼントだよ」


 それは巨大でもなく、生首がなっているわけでもない、普通のクリスマスツリーだった。鈴や綿、キラキラした飾りが可愛いツリー……ちょっと変わった点は、ツリーの各所で、小さな人形が木のてっぺんを目指してよじ登ろうとしているところだ。


 普通に一生懸命登ろうとしているトメ兄人形はなぜか背中にハリセンを背負ってる。


 そのトメ兄人形を真下から危ない目線で見つめながら頬を赤らめているのはサユカン人形。


 サエちゃん人形は木の下で一休み中。登るつもりもないみたい。


 お姉だけはなぜか首だけで吊り下がっている。


 そしてそのツリーの頂上には、大きな星。


 ピカピカ光る大きな星、それを抱いて満足そうに笑っているのが、多分私の人形。


「すごい……サンタさん、すごい!」


「サンタの手柄になるのかー……」


「ん? サエちゃん何か言った?」


「喜んでくれたからいっか……んーん、なんにもー。よかったね、カカちゃん」


「うん!」


 ここまで私がほしかったイメージにぴったりなモノをくれるなんて! 巨大じゃないのが残念だけど、許す! 嬉しいから許す!


「よし! 皆を起こそう! 裁縫道具出さないと」


「え、何するのー?」


「このツリーにいない人の人形を、皆に自分で作ってもらって飾るの!」


 きっと賑やかなツリーになる。


「はいはい、起きて起きて!」


 わすれちゃった夢の続きはこの後で。


 そう。この後の素敵な時間も、もちろんプレゼントのうちに入るんだよね、サンタさん?




「ほらトメ兄、起きるのだ!」


「二日酔い……おえぇぇぇ」


 ……サンタの責任者、出てこい。




 クリスマス、皆さんはどうでしたか?


 私は仕事でした。お金のないカップルと彼氏のできない女性客集団に囲まれていて割と地獄でした笑 まぁ職場がクリスマスにカップルがゆっくりする雰囲気の店じゃないので仕方ないのですが、それにしてもちょと辛かった^^;


 カカたちのクリスマス、そこまで刺激はありませんが(多分)書いててけっこー羨ましかったり。これから皆でダラダラ人形作るんだろなー。


 しかし最近、刺激の多い話書いてませんねぇ。まーカカ天は基本的にはのほほん話なので別にいいっちゃいいんですが。

 

 もうすぐ来年。


 せめて書き残しがないようにしたいなぁ。 

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