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カカの天下  作者: ルシカ
830/917

カカの天下830「よ、ば、い♪」

 ふあぁ……どうも、トメです。


 映画なんて見てたらいつの間にやら深夜になってしまいました。いつもならもう寝てる時間、カカもとっくに自室でぐーすかぴーです。そろそろ僕も寝るか……と思ったそのとき。


 玄関で音がしました。なんだかドアに何かがぶつかったような。


「……なんだ、酔っ払った父さんがフラフラになりながら土産片手に帰ってきたりでもしたのか?」


 どっかの漫画じゃあるまいに、と思いながら玄関へ向かってみる。


 そしてドアを開けてみると、そこには――


「うぃー、かえったどー」


「…………」


 酔っ払ったテンが寝そべっていた。


「惜しい!」


 父さんじゃなかったかぁ。まぁ些細な違いだけど無意味に悔しがってみた。


「んあぁ? なんでオレんちにトメがいるんら?」


「ここは僕の家だ」


「うそつけよぉ。どっからどう見てもオレんちだろが」


「や、そこに『笠原』って表札が」


「ウチの表札は今、壊れててなぁ」


「うお壊れてる! 割れてる!」


「だからここはウチらぁ」


「てめぇ今壊したな!?」


 けけけ、と笑うテンは完全に出来上がっている。どこをどうしたのか、ここを自分ちと勘違いしているらしい。


「ともかく、ここは僕のウチなんだ」


「んなわけねぇだろ」


「おまえは酔ってるんだよ!」


「酔ってらいもん!!」


 それで酔ってなかったら人としてお前ヤバイぞ。


「ぅい……んー」


「あ、こら。こんなとこで寝るな、風邪ひくぞ」


 冬の夜は冷えまくる。仕方ない、ウチに入れるか。


「ほら、立て! あぁいいや、引き摺ってこう」


 両脇を抱え、うんしょ、うんしょと中へ引き込む。


「おー……ずるずるだおー……ブルドーザーのようだおー……雪かき機のようだおー……いけー、すすめー、雪をかけー」


 どうでもいいけど酔っ払いの言うことって面白いよな。


 ――脱力した人間を動かすのは骨が折れる。が、なんとかこやつを居間のコタツの中へと突っ込むことに成功。


「おー、あたたかいおー、春がきたおー」


「なんでいちいち比喩表現なんだ」


「ツッコミだおー、細かい男みたいだお」


「悪かったな!」


「くけけけけ」


 あー、どうしてくれようこの酔っ払い。


「とめー」


「なんだよ」


「とめとめー」


「なんだよ」


「夜這いみたいだ」


「僕か? 僕のことか!? ふざけんな!」


 どっちかというとテンが夜這いをかけてきた形だろが。


「んじゃオレが夜這いするかぁ」


「……は?」


 今まで脱力しきっていたくせに、いきなりコタツから抜け出し、体のばねを使って跳ね上がるテンの身体。


 そして僕は何やら柔道っぽい技で投げ飛ばされ――気がつけば押し倒された形になっていた。柔らかい重み、近づいてくるテンの顔。


「ふへへぇ、襲ってやった」


 テンの唇が、僕の唇へと迫る。


 こいつ……まさか!


 まさか!!


 まさか僕の口からゲロを流し込む気か!? あぁわかる、酒に慣れているからわかるんだ。こいつの酔い方は吐く寸前、酔っている当人が気を緩めるだけで瞬時にゲロってしまえる状態なんだ! しかしそれを僕の口へ――なんと恐ろしい発想なのだろう! 酔っ払い相手に油断すべきではなかったのだ、しかしもう遅い。


 僕の唇に、触れる! 触れてしまう!


 その寸前――


「ぉえ」


「顔面に吐く気かぁぁぁぁぁ! 誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 その声を聞いたのか――


「っきゃああああああああああっ!!」


 奇声を発しながら飛び込んできた影が、おもっきしテンの身体を蹴り飛ばした。


「大丈夫ですか、トメさんっ!?」


「さ、サユカちゃん!? ありがとう、助かったけど、なんでここに、こんな時間に!?」


「えへへ、用事で夜更かししてたんですけど、なんとなく嫌な予感がして来てみたんです」


「さ、サユカちゃん超能力でもあるの?」


「愛の力です」


 自分で言ってて恥ずかしかったのか、サユカちゃんの顔が一気に燃え上がった。


「あ、いや、あのっ、そうじゃなくて、あぁっ、そうじゃないわけじゃ、ないんですけど、あの」


「おぇぇぇぇぇぇぇ」


「きぃやあああああああああああああ」


 サユカちゃんの赤くなっていた顔が一気に青ざめた。背後からゾンビのようなテンが襲いかかってきたからだ。不吉な声と共に。


「な、なにをするんですかぁっ」


「そりゃーこっちのセリフじゃ……人をサッカーボールみたいに蹴り飛ばしやがって……ゴールインしたお祝いだ、飲めや」


「な、なにをっ!?」


「ぅおええぇ」


「そんな返事はいやああああああああああっ!!」


 あー……


 あーあー……


 うん、サユカちゃん。クリスマスプレゼントはなんか奮発してあげよう。だから許せ。


「とめにー?」


「あれ、カカ。起きちゃったか」


「さみゅい」


「じゃあ毛布にくるまってな」


「くしゃい」


「あー、うん。くさいな。今から僕はそのくさいものを片付けるから、おまえはおとなしく寝てな」


「うん」


 寝ぼけて下りてきただけなのか、カカは素直に自室へと戻っていった。


 さて……片付けるかぁ。




 最悪の夜這いです。

 忘年会シーズンですね、皆さんも気をつけましょう? もちろんお酒大好きな私もですけど、飲食業としては稼ぎ時であり、自分らの忘年やってる暇がありません。

 どちらかというと今回のテンカ先生みたいな人たちの面倒を見るほうですね。まぁ慣れてます。危ない客がいたらポッケに袋を常備し、いざというときサッと出す、我ながらいい店員です。


 あと話は変わりますが、話題の映画ワンピース見ました。感動しました。面白すぎです。さすが作者ですわ……いやぁ、見て損はないですよ。皆さんもぜひ^^

 よかった点は多々あれど、個人的にはブルックの面白さとロビンの色っぽさがポイント高かったり笑

 個人的な話、失礼しました。

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