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カカの天下  作者: ルシカ
823/917

カカの天下823「キリヤ店員のお話」

 こんにちはっはっは、キリヤです。


 突然ですが、今日は私の経験談、困ったお客様シリーズをご紹介しましょう。理由ですか? それはですね……私は現在ファミレス東治でバイト中なのですが、なぜかピーク中にも関わらずド暇なのです。つまりは暇つぶしですハイ。




 さて、まずはどんなお客様を紹介しましょうか……よし、まずはよくあるパターンからいきましょう。これはお客様に呼ばれ、私が駆けつけたときのこと……


「はい、お伺いいたします」


「おぅあんちゃん。アレをくれ」


「どれでございましょう」


「アレだよアレ、焼酎!」


「麦でしょうか、芋でしょうか、それとも他の」


「焼酎ならなんでもいいわ!」


 困った客シリーズその1、注文がアバウトな人。


「かしこまりました。それでは飲み方だけ、お教えいただけますか?」


「なんでもいいわ!」


「かしこまりました、ではロックでお持ちします」


 一番高いヤツを……と心の中で付け加えたのは言うまでもありません。まぁよくあることです。


 さて、次も同じく私が呼ばれたときのことです。


「はい、お伺いいたします」


 そして中年のお客様は恥も外聞もなく、こう叫びました。


「なまはちゃい!」


 地球の言語でお願いします――そう言いかけましたが、なんとか踏みとどまりました。


「申し訳ございません、もう一度お願いします」


「なまはちゃい!」


 いえ、その妙に赤ちゃんぽい言葉をリクエストしたわけじゃなくてですね。


 生野菜を可愛く言っているのでしょうか? いやしかし、こんなおっさんが……


「だから、なまはちゃいだよ!」


「申し訳ございません。お手数ですが、メニューを指していただいてもよろしいでしょうか?」


「これだよこれ、なまはちゃい!」


 お客様が指したのはドリンクのページ。


「あ、生茶ハイだった」


 困った客シリーズその2、品名を間違える人。


「早く持ってこい!」


 訂正、注文名を間違えるくせに妙に偉そうな人。照れてるだけかも。


 まぁこれもよくあることです。先日に鍋屋で働いたときは『マロニー』を『くずきり』とご注文されたお客様も沢山いらっしゃいましたし、稀に『白滝』と言う方までいました。もちろんわざわざ『それ違います』なんて野暮なこと言わずに流しますけどね。


 さてさて、お次はファミリーでご来店されたお客様の話です。


 我が物顔で店内を走りまわる子供たち。「こらー」と注意をするものの椅子から立ち上がる様子もなく、放置する両親。困ったことに結構あることなのですよ。そう、困った客シリーズその3、好き勝手ファミリー。


「お客様、他のお客様もいらっしゃいますので……」


「お客様。店内はお料理も運んでいますし、ぶつかったりすると危ないので……」


 はい、わかりました。こらー! と注意はするものの、両親はやはり自分のテーブルからは離れず、しばらくすると再び暴れだす子供たち。そしてもちろん親は放置。何回注意してもこれの繰り返し。


「キリヤさん、あれ危なすぎますよ!」


「うーん、注意しても聞いてくれませんしねぇ」


 このままでは子供は怪我をしてしまうかもしれませんし、しかもそうなった場合「自業自得」というわけにはいきません。過失はどちらに、とかいう以前に子供を危ない目に遭わせるわけには……


「こういうときに限って店長は休みですし……どうしましょう」


「仕方ありませんね。ちょっと厨房へお邪魔します」


 店長が居ないときは私が一番偉いんで、冷凍庫から勝手にアイスを拝借。


 そして走り回っていた子供たちが厨房の近くへ来たとき、


「ほらほらおいで。アイスあげますよー」


「わーい!」


 さすがは教育がなってないお子様、警戒心も見せずにあっさりとついてきました。まぁ私の笑顔を警戒する人なんかそうそういませんけどね。トメ君なんかは「完璧すぎて胡散臭い」とか言いますけど。


「美味しいですかー?」


「うん!」


「ほらほら、こぼしてますよ。アイスはこうやって食べるんです」


「こうー?」


「いいえ、こうです」


 厨房の中で始まるちょっとした食べ方講座。仕事をサボっているわけではありません、これもお客様に迷惑をかけないための立派なお仕事です。アイス一つ、従業員一人で店内が安全になるなら安いものですから。


 ――私ども店員は、店内ではとても弱い立場です。いくら店側が迷惑を被っていたとしても、お客様の家庭に強く口出しはできません。しかし他のお客様のことも考えなければなりません。なので色々と柔軟なやり方が必要となってきます。


 子供はお菓子で釣っておとなしくさせるのが一番。そして声が聞こえなくなり、姿が見えなくなってさすがに不安に思った親がやっと椅子から立ち上がり、探しにきて……自分たちがどれほど子供を危ない目に遭わせていたかをようやく自覚し、今後はおとなしくさせるように教育してくれる。とまぁ、このようなシナリオができ上がるわけです。


 もちろん毎回こんなにうまくいくとは限りませんが。迷惑と嫌ってばかりいないで「若いながらの子育てで疲れている」というのを考慮してあげるのも人情というものです。もちろん私のやり方もおせっかい、かつ傍から見れば犯罪間際かもしれませんが……そこは私の裁量でなんとでもできる自信がありますので。素人は真似しないようにお気をつけください。


 一番てっとり早いのは店の最高責任者から出入り禁止通告をしてもらうことなんですけどね。そんな経験もう嫌だーと子供を教育してくれるようになるでしょう。多分。


 さてさて、最後に私たち、従業員の困った話でもしましょうか。


「オーダー、いただきたきました!!」


「おたませいたしました!!」


 困った従業員シリーズその1、よく噛む人。


「オレンジじゅーちゅです!!」


 落ち着け。


 続いて、お客様がお呼びだと知らせるピンポンが立て続けになったとき。


「五番テーブル様がお呼びです! あぁ三番テーブル様も、あぁ三番は料理と一緒に持ってってほしいところに十番テーブル様もお呼び! しかし俺は一人しかいませんしドリンクも作らねばならないしあぁ一体どうすればいいのでしょうか!?」


「実況してないでとりあえず何かしてください」


 困った従業員シリーズその2、とにかく慌てる人。


「うがぁー!!」


「だから叫んでないで動いてくださいってば」


 慌てても動きを止めてはいけませんよね、うんうん。




 ……さて、これだけ紹介して暇つぶしをしたものの、やっぱりお客様があまり来ません。暇です、そろそろピークが過ぎてしまうのですが……そんなに外はガラガラなのでしょうか? ちょっと外へ出てみますか。


「ふむ、いつもどおりの人通りですね」


 やはり原因がわからない、首をかしげながら店へ戻ろうとした、そのとき。


「うあー」


 なんということでしょう。店の扉にかかっている札が、『準備中』のままじゃないですか。『営業中』にひっくり返してないじゃないですか! 誰ですかオープン作業したのは!


 ……困った従業員シリーズその3、肝心な作業を忘れる人。


「これは失態。今の責任者は私だから、結局は私の責任に……しかし、まぁ、うん。てい」


 シリーズその4、それを誤魔化す人。


 まぁ、バレなけりゃいいんですよ。




 ま、ぶっちゃけほとんど実話なんですがね笑


 しっかし更新がどうにも定まりませんな。忙しかったり火傷したりお腹空いたりしてたらあっというまに時間が……もうすぐカカラジだし、気合を入れねば。しかし油断したら空いた時間に即寝てしまう今日このごろ。


 誰かー、オラに元気をわけてくれー。

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