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カカの天下  作者: ルシカ
821/917

カカの天下821「サユカの任務、久しぶり編」

 こんにちは、サユカですっ!


 現在トメさんとお茶してます! 今日はちょっと洋風にレモンティーとモンブランケーキなんかをいただいてます。


「ん、美味くて甘くて、そして栗だ。とても栗だ」


「はいっ、とっても栗です!」


 でも栗よりも甘いのが――こ、の、じ、か、ん。きゃっ、わたしったらバカみたい。他人から見たら絶対にバカね。でもそれがいいっ!!


「お茶も美味しいし、いい店に入ったな」


「でもトメさんのほうが美味しいですっ」


「……味見したことあんの?」


「きゃーっ!」


「どういう返事? ねぇそれどういう意味の返事っ!?」


 味見……えへ、えへへへ。


「ところでサユカちゃん」


「なんでしゅかぁとめしゃん」


「うおおっ!? どしたのサユカちゃん、さっきからなんか変だよ!」


 だってだってー、こうやって二人でお茶なんて久しぶりなんですもんっ。そりゃ幸せすぎて溶けますよ、ふにゃふにゃにもなりますよ。


「らんれもないれふよー、きにしないでつかぁさい」


「どこの方言だ。酔っ払ってるの?」


「はいっ、トメさんに酔ってますっ!」


「そんな言葉、どっから仕入れてきた」


「タケダです」


「あのマセガキめ」


 あの子ってば何故かいろんな言葉よく知ってるのよね。


「あー、もっかい言うけど、ところでサユカちゃん」


 仕切り直しですねっ!


「わんっ!」


「なんで返事が犬の鳴き声!?」


 だってだってー、こうやって二人でお茶なんて久しぶりなんですもんっ。そりゃ幸せすぎて犬にもなりますよ。ご主人様のためならなんでもしますよ。


「わぅわぅ」


「お手」


「わぅっ」


 わーいトメさんの手に触れたっ! 今日はこの手洗わないっ! お風呂のときも濡れないように頑張るっ! この手を抱きながら寝るんだっ! 翌朝つぶれて血が止まってそうだけどっ。そして起きたときに止まってた血がじんわり流れてしびしびになって、「これがトメさんの愛のパワーねっ」って実感するの。なんてバカみたいな話っ! でもやっぱりそれがいいっ!


「よし、お手の次は……おかわり!」


「すいません店員さんっ! モンブランおかわりっ!」


「おぉ、なかなか良い切り返しだ。その技に免じてもう一個くらい奢ってあげようじゃないか」


「トメさんもおかわりっ!」


「いつの間に召し上がった?」


 この間、トメさんがお昼寝してる間に……ペロっと味見……なんてできればいいなぁなんて妄想っ!! できればいいなぁっ! いや今度やっちゃおうかなぁっ! うわ想像しただけで恥ずかしいっ! 燃えるっ! 萌えるっ! 溶けるっ! あぁわたしってば今日溶けてる! 最近寒くなってきたっていうのにっ! 


「ところでサユカちゃん」


「ふぁいあああああああああああっ!!」


「なんで燃えてんの!?」


 だってだってー以下略。そりゃ瞳の奥に炎も宿しますよ。外は寒いですけどわたしは灼熱ですよ。だから寒いときには抱きしめて♪ なんて言えたらいいのにっ! なんちゃってなんちゃって! とことんバカなわたしっ! でもとことんそれがいいっ!!


「おぅ、奇遇だな。てめぇら」


 そしてこんなときに必ず現れるテンカ先生っ! なんでっ、なんでいつも出てくるのっ! わたしとトメさんに嫉妬してるのっ? だったら敵ね、恋の炎で燃やしてやるわっ! なんて言ってるとものっすごいバカみたいよね、わたし。わかってる、わかってるの。だから実際にするときはちゃんとライターを使うわ。


「へっへっへ、お二人さん。どっからどうみてもラブラブカップルじゃねぇか」


「おまえはどっからどう見てもオヤジだぞ、テン」


「そうですよっ!! もっと言ってくださいっ!」


「サユカちゃん……今日はなんか本当にぶっ飛んでるな」


 だってだっ以下略。そりゃ空も飛べますよ。そして天国へ行ってトメさんと結婚するの。でも結婚式はきっと寂しいものになるわ。だってわたしの周りで天国に行けそうな人、他に居ないもの。


「あ、サユカちゃん。ケーキがきたよ」


「ケーキ、入刀っ!!」


「……確かに今日のサユカは変だな。カカみたいだ」


 ふ、カカすけとは違うわ。あの子と違ってわたしは恋する乙女、必要以上に妄想しすぎて脳みそが疲労気味なのよ。正直やりすぎたと思ってる、でも後悔はしていないわ。疲労回復のために糖分補給もぐもぐっ。次の妄想のために充電よ、そして実行できそうなものは脳内にストックしておくのっ。


 こんなわたしは、大人? 子供?


 カカすけに触発されて考えてみたけど、やっぱり答えは出なかった。でも、今は幸せだから、このまま突っ走ることにするわっ!


「ところでサユカちゃん。前にも言ったような気がするけど……君、自分が思ってること口に出してることが結構あるから気をつけたほうがいいよ」


「オレ、燃やされないように気をつけねぇとな。トメも天国連れてかれないように気をつけろよ」


「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」


 とりあえず、胸の内に秘めておくべきことは口にしないよう気をつけよう。それが何よりの大人の第一歩に違いない。




 サブタイトルに「久しぶり編ってなんだよ」とツッコみつつ、どうもこんにちは。いやまぁそのまんま久しぶりにサユカちゃん話なわけです、ええ。


 なんか久々すぎてぶっ飛んでます。何をどれだけ口にしてしまったかは皆さんの想像にお任せします。にしても最近寒いのに、確かにこの子は熱い。抱きしめたいと思いませんか? 思う人は正直に言いなさい。


 いや、でも。トメが抱きしめるのを見たいと言う人のほうが多いのだろうか。

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