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カカの天下  作者: ルシカ
814/917

カカの天下814「ちょっと遅めの運動会」

 どうも、カカです。今日はなんと運動会です。ずいぶんと遅めですが、なんだか台風のせいで遅れたそうですよん。台風すごかったらしいね。私がちょうど寝てる時間に過ぎてったからあんまり実感ないけど。


『それでは、入場行進です!』


 えっほえっほ、行進行進。それにしてもなんで皆そわそわしてるんだろう。


『それでは、開会式です!』


 なんで皆キョロキョロするんだろう。


『それでは、校長先生からのお言葉です』


 なんで校長まで注意深く辺りを見回しながら話してるんだろう。なんで他の先生はあんなに厳しい目を光らせているんだろう。


『優勝旗の返還です』


 なんで旗まで不安げに揺れているんだろう。


『選手宣誓!』


 なんでタケダはあんなに挙動不審なんだろう。っていつもか。


『教頭先生から諸注意です』


 なんで教頭はちらちらと私を見てるんだろう。


「――というわけで、怪我にはくれぐれも注意するように。それとカカ君にも注意するように」


『はーい』


 え、もしかして皆、私が何かやると思ってソワソワしてたの?


「それでは、私からは以上」


 や、教頭。そんな勢いよく後ろを振り返っても何もないってば。


『それではこれで、開会式を終わります』


 ざわざわ、ざわざわ。


 や、だから皆。今回は私なにもしてないよ?




「どうしたのよカカすけっ」


 開会式が終わって早々に、なぜかサユカンが突進してきた。


「何もなかったじゃないっ!」


「何をせなあかんの」


「だってカカちゃん、去年言ってたじゃないのー。次はもっとでかいことしてやるってー」


 遅れて登場してきたサエちゃんがそんなことを言ってきた。そっか、あんま覚えてないから当時の勢いで言ったんだろうなぁ、きっと。


「ま、事情が変わったってことで」


 忘れてただけだけど、これも嘘じゃない。


「今日は普通に頑張るよ」


「えっ」


「えー」


 なんで残念そうなのさ。




『それでは、女子50M走です』


 走る。もちろん一位。超楽勝。


「カカさん、一位おめでとうございます!」


「へ? あ、ありがと」


 なぜか放送委員の人に声をかけられた。


「勝利の一言をどうぞ!」


 マイクを突き出された。


「え、いや別に何もないけど」


「遠慮なさらず!」


 そんなに私に何かしてほしいのか、皆の者。ええい仕方あるまい、このカカ様がありがたい言葉をくれてやろう!


『じゃあ、一言だけ』


 私の声がグラウンドに響く。全員が静まった。


『あんたら遅い』


 ものすごく微妙な雰囲気になった。




『それでは、男子女子混合の騎馬戦です』


 私はもちろん乗馬する方。突進突進突進! ハチマキを取りまくる。


 私以外の騎馬は全員潰した。ヤナツがなかなか強かった。


「か、カカさん! 勝利の一言を」


 またかぁ。仕方ないなぁ。


『じゃあ一言』


 再び静まるグラウンド。


『弱い』


 一部でなんか泣きそうな雰囲気になった。主に男子。




 そして昼食タイム。


「トメ兄、おべんと!」


「はいはい、好きなもんいっぱい入れてきたぞー」


「からあげは!?」


「もちろん入れた」


「そしてあたしが全部食った!」


「お姉コロス!」


「ふはは! あたしは日本の騎馬全部よりつえぇぞ!」


「はいはいバカども、座ってさっさと食え。鶏のからあげはまだ全部あるから」


「へ? じゃーあたしがさっき食ったのは何のからあげ?」


「おまえがこないだ捕ってきたワニ」


「ワニうめえええ!」


 お母さんとお父さんは来れないけど、家族三人で和やかに団欒。でもそれで終わらないのが私たちの仲間うち。


「トメさんっ! 聞いてくださいよっ!」


「おやサユカちゃん。どしたの?」


「カカすけが普通なんです! おかしなことをしないんです! 見たでしょう、今日の競技!」


「や、あんだけ競技荒らしてズバズバ一言で切り捨てるやつは充分に変だと思うが」


 そんなに褒めるなよ。


「ほらほら、お母さん。こっちー」


「やーんサエったら、愛の逃避行? わたしはどこまでも付いていくわよー。おまけつきで」


 ぶもーぶもーわんわんにゃんにゃん!!


「サカイさん、おまけつきすぎ。首に紐くらいつけて連れてきなさいその動物団」


「あらあらトメさん。逃げないから平気ですよー」


 お、さらにもう一人来た。


「ほんと非常識です。迷惑をかけたお詫びとして、その動物団を今日の昼食にしてくださいよ」


「あらあらサラちゃん。相変わらず残酷で人でなしねぇ」


「サカイさんも周りが見えないくらいに厚化粧するのは変わってないんですねぇ」


 この二人のケンカも変わんないねぇ。


「ほらほらアサカ、ヤナツ! こっちでご飯食べるよ!」


「げ、ちょっと気がすすまねぇな……タケダ、おまえも来い!」


「うわ! 待て、俺はいま新たな家族問題がいろいろとあってだな……」


「おにーちゃん、いくでしゅ!」


「ほら、かのちゃん。タケダ君がいますよ、一緒に行きましょう」


「う、うん……」


 なんだろう、得体の知れない勢いで集まってくるこのメンバーは。


 普通普通と言われることが多い今日だけど、私をどうこう言う前にあんたらが普通になってみろと言いたい。けどま、楽しいからいいんだけどね。




 最後のリレー。


 アンカーは私とヤナツの一騎打ちだった。


 去年は色々あったけど、今年は正々堂々と勝負して、清々しい終わり方をしたと思う。


 もちろん私が全部勝ったしね。


「ぜんっぜん清々しくねぇぇぇぇ! 一回ぐらい勝たせろぉぉぉぉ!」


「か、カカさん。一言……」


『ちょーきもちいー』


「くそぉぉぉぉぉぉぉ!」


 ふ、負け犬の遠吠えが聞こえるぜ。




 ――そして、閉会式。


 去年ほど阿呆みたいに競技に参加しまくってはいないけど、全て一位をとったので大満足だ。特に仕掛けとか小細工しなくても、実は普通に楽しいんだよねぇ運動会って。


「――私、教頭からは以上である。それでは最後に、カカ君に一言いただきたいと思う」


 ま、た、か。


「ささ、カカ君」


 なんか私、教頭とかと同列扱いになってない? いいけどさ。


『えーと、じゃ最後に一言』


 注目を一身に浴びて、私は言った。


『おつかれ』


『お疲れ様でしたああああああああああああああああああああああ!!』


 なぜか湧き上がる皆。どうやらツボを当てたらしい。


 うん、楽しかったぁ!!


 え、なんで特別なことを何もしなかったかって?


 ふっふっふ、それはね?


 もうすぐわかるよ。




 時期はずれかなーとも思ったのですが、実際知り合いの子供の学校が台風で三週間、運動会が遅れたらしいし、まぁいっかーと思って運動会書いてしまいました。


 去年に比べて随分とあっさりしてますが、前のドロドロ具合を考えるとこれくらいでいっかなーと思います。運動の後は清々しくないとね!


 さて、ここにきてようやく溜まっていた感想を返信できました。一ヶ月くらい返信ないままだった方もいらっしゃって、本当に申し訳なく思ってたのですが……書くのにも体力いるもんで、最近プライベートで体力消耗激しかったんで、どうかご勘弁を^^;


 さて、もっと色々がんばるぞー! いっそ運動会とかしたいわぁ。


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