表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
812/917

カカの天下812「とあるレストランに関するレポート」

 トメです。


 皆様は覚えているでしょうか。二年前くらいの話になりますが……かつてトイレに割り箸やスプーン、フォークなどを置いていたレストランがあったことを。


 もちろん僕はアレ以来行ってないのですが、あの店に入ったことのある友人が何人かいたことが最近判明したのです。


 そのときのお話を少し、紹介したいと思います……




 ケース1、サラさんの場合。


 はい、そうです。そのレストランに間違いありません。お料理は普通だったんですけど、おトイレに入った途端にびっくりしました。


 便器の蓋が閉まってたんですけどね? その蓋の上になんと……皿が置いてあったんですよ! ええ本当に、よりによって皿ですよ。私をターゲットにしているとしか思えません。しかも『便器じゃなくてこっちに』とばかりに深皿なんです!!


 あの店は二度といきませんでしたね。トイレですか? そこでするのはなんだか嫌だったので、外のコンビニですませましたよ。




 ケース2、サエちゃんの場合。


 はいー、まだお母さんと一緒に暮らす前に、おばさんと行ったことがありますよー。


 やっぱり問題はおトイレですね。補充用のトイレットペーパーが入っているカゴの中に、袋に入った一口チョコが沢山入ってましたー。


 食べろということなのでしょうかー? それとも他の用途があるのでしょうかー?


 どちらにせよ私は無視したので、どうでもいいことですけどー。


 え、てっきり何か黒いことをするのかと思ったって? あはは。やだなー、チョコはもともと黒いじゃないですかー。




 ケース3、サユカちゃんの場合。


 はい、ありますっ! 家族みんなで行きましたっ! お食事は普通に美味しかったです。特にチョコバナナパフェは最高でしたっ!


 それでですね、デザートも食べ終わってルンルンでトイレに行ったら、なんとトイレットペーパーホルダーの横にバナナが刺さっているじゃないですかっ! 驚きましたよっ。食べろというの? それとも別の用途がっ!? どちらにせよ嫌っ! こんな便所味のバナナなんてっ! まさかさっきのパフェにこのバナナを使ってないでしょうね。そう考えると気持ち悪くなってきたわ……なんてことがありましたっ!


 とても嫌な思い出ですっ。それからは一度も行ってません……原因? そんなのわかりませんよ。




 ケース4、姉。


 んあ、行ったことあるよ。けっこー安いし。


 トイレね、うん。あたしもバナナが刺さってた。


 食べたよ? うん。デザート代が浮いたーとか喜びながら。


 ……なに、その目は。


 ……なに!?




 ケース5、キリヤ。


 はい、行ったことがあります。働いたことはさすがにありませんが、バイト仲間がいましてね。トイレについては彼も不思議だと言っていました。誰もそんなものを置いた覚えがないのに、いつの間に変なものが……


 私がトイレに行ったときはわりと普通でしたよ。単なる相合傘のラクガキがあっただけです。傘だけで誰の名前も書いてなかったので、トメ君の名前を書いておきました。無事に結ばれるといいですねぇ。


 え、相手の名前ですか? 


 サルって書いてみました。


 はっはっは! そんな怒らなくても!




 ――と、このような証言があるわけです。バイト仲間がいたというキリヤの言葉から察するに、一種の心霊現象みたいなものではないか、と僕は見ているのですが……


「トメ兄、なにしてんの」


「おうカカ。いやな? いつぞやの変なレストランについてのレポートをまとめてるんだよ」


「なんのために?」


「自己満足」


「なるほど。そりゃ大事だ」


 そうだろう?


「どれどれ、ふむふむ。相合傘かー。私も最近書いたよ」


「まさかトイレにラクガキしたんじゃないだろうな」


「そんなことしないよ。ちゃんと学校の傘立てにラクガキしたよ」


 いくら傘だからってそこに書かんでも。誰にも見つからなさそうだな。


「それで、誰と誰がくっつくように書いたんだ?」


「テナガザルとマントヒヒ」


 なぜおまえらはサルを推すんだ?


「世界のどこかにいるテナガザルとマントヒヒが許されない恋愛に苦しんでたらおまえのせいだからな」


「それを乗り越えてマントザルっていう新たな生命が誕生するんだよ」


「なんか空飛びそうなサルだな」


 まぁそんなサルはどうでもいいとして。


「しかしこのレストラン……一体なにがあったんだろうか」


「まぁ全部私がやったんだけどね」


「うぉい! マジか!?」


「さぁネ!!」


「この店潰れたんだぞ! おまえが潰したのか!?」


「さぁネ!!」


「格好いいポーズで誤魔化すな!」


「さぁネ!!」


 はっきりと「そうだ」とは言ってないし、証拠はない。だから真実は闇の中……ということにしておこう。


「そうだと言えばそうなんだけど」


「うっさい! さぁネって言っとけ!」


「さぁネ!!」


「おっけー」




 ちょいとリクエストがあったので、私としても「いいなーそれ」と思って乗っかってみました。


 真実は闇の中です。ええ。


 ええ闇の中ですとも!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ