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カカの天下  作者: ルシカ
810/917

カカの天下810「大人の階段、まだまだ続く」

 大人に向かってまっしぐらのカカです。


 いよいよ最後、トメ兄へ意見を聞くときがやってまいりました。


「クララ参上です!!」


 その前に何かキター!!


「大人の意見が必要と聞いて、やってまいりましたです!!」


「はいはいー、おうち帰って寝まちょうねー」


「サエお姉ちゃん、クララを子供扱いしないでください!」


「サエすけをお姉ちゃんって呼ぶってことは、サエすけより年下なんでしょっ」


「それは言葉のアヤです! クララの樹齢を聞いたらビビりますよ!?」


 そっか。こんな姿だけどクララちゃんてば校長と同じくらいの歳なんだっけ。


「じゃあクララちゃんに質問。どうしたら大人になれると思う?」


「ふ、簡単な話です! 人は大切な誰かが傍にいれば、勝手に大人になるものなんです!」


 うわ、予想外にいいこと言った!?


「いい言葉だけどー、くさいねー」


「恥ずかしげもなく言えるのは子供姿の特権かしらっ」


「いいえ、クララが臭いのは仕方ないのです! 今日の肥料にもらったフンは特別で、かの有名な――」


「わたしたちこれから夕飯だからそれ以上は言わないでっ!!」


 大切な誰かが傍にいれば、かぁ。


 いすぎなんだけど。


 でもそう考えるなら、私って全然心配いらないんじゃ?


「クララちゃん、ありがとう。ちょっと自信ついたよ」


「ほんとですか!? じゃあクララの今日の肥料の話を」


「夕飯前だからそれは聞かない」


「クララしょっくです! いいですいいです、ジョーイとマイケルに聞いてもらうです」


 誰だそれ。なんか聞いたことあるような名前だ。ともかくクララちゃんはシュバッと消え去った。


「さー早くトメお兄さんに夕飯を作ってもらいに行くよー」


「今日の献立は何かしらっ」


「あれ、そんな目的だったっけ」


 首をかしげつつも我が家へ到着。


 さてさてトメ兄は……あ、帰ってる。なんだかんだやってたら遅くなっちゃったからなぁ。


「トメ兄ただいま! あのね――」


「あぁん!?」


 うわああなんかめっちゃ怒ってる!?


「と、トメお兄さんこんにちはー」


「ど、どうしたんですかっ。眉間がしわしわですよっ」


「カカ」


「はい!」


「あの留守電は何だ?」


 留守電? さっきのかな。でもなんだかんだで途中で止めたと思うんだけど、何か入ってたのかな。


「あ、れ、は、な、ん、だ!?」


 覚えてない。けどトメ兄は聞いてくる! えっと、えっと、元々言おうとしてたのは。


「カカ、あれはなんだ!?」


「告白です!」


「てめぇ僕のことをそんな風に思ってたのか!」


 私マジでなに言ったっけ!?


「あ、あの、その、トメ兄!」


「なんだ!?」


「ほ、ほんとは聞きたいことがあって電話したんだけどね、その、私ってちゃんと大人になれるかなぁって聞きたくて、その、最近悩んでて――」


「そんなもん僕がいるんだからなれるに決まってるだろうが!!」


「ひくっ!?」


 ビックリしすぎてしゃっくりでた。


「あんな非常識な留守電をいれるようなやつ、放っておけるか! 大人になるまでしっかり監督してやるから、覚悟しておけ!」


 ――人は大切な誰かが傍にいれば、勝手に大人になるものなんです!


「よ……」


「なんだ、何か文句あるのか!?」


「よ、よろしくお願いします」


「へ? あ、は、はぁ。こちらこそ」




 深々とお辞儀した私に呆気にとられ、どうやら怒気が消えたらしいトメ兄は夕飯調理中。私は居間でサエちゃんとサユカンと喋っていた。


「なんか、わかった気がする」


「ほんとー?」


「その答えはっ」


 私はハッキリと言った。


「なんか、なるようになるさってこと」


 訂正。ハッキリと曖昧に言った。


「……なにそれー」


「いろんな人の意見を聞いたけど、みんなバラバラなんだもん。答えがどれかなんてわかんないよ」


「まぁ、すぐには見つかる気がしないわねっ」


「うん、でも」


 トメ兄がいて、サエちゃんがいて、サユカンがいて、色んな人たちがいて。


 私の話を聞いてくれた。ちゃんと答えてくれた。この人たちが味方なら、恐いものは何も無いと思った。


 大人という未来も、先が見えない不安も。


 私を受け止めてくれる人たちがこんなにいるなら、自分らしい大人になっていけると思う。皆に甘えることになるかもしれないけど、それはそれで。甘えるのは嫌いじゃないし、きっと甘えられるほうも嬉しいでしょ……なんて、大人ぶってズルいことを考えてみたりしたのでした。


「さて、すっきりしたところでリハビリしないとな」


 もうすぐ見逃せないイベントがやってくる。それまでに復調しないと!




 階段はまだまだ続きますが、このお話はここでひと段落です。


 この大人の階段話。特別なことは何もありませんでした(あ、タマのがあったか)。どシリアスでもなければコメディ一直線でもない、微妙なお話だったと思います。

 でもカカにとっては得るものがあったと思いたいです。その結果は近々……

 さぁ迫る重要なイベントまでにカカは復調できるのか。

 作者の私もイベントまでにどれだけ描いてやれるのか笑

 

 大人ということをイイワケにしてないで頑張ろうと思います(いやマジで)。

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