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カカの天下  作者: ルシカ
805/917

カカの天下805「大人の階段、二段目」

 カカです。


 学校の保健室で悩みを打ち明けた私、そしてそれを解決するため、サエちゃんとサユカンに連れられて大人を訪ねることになりました。


「手近なところだと、職員室だねー」


「テンカ先生、いるかしらっ」


 そのとき、予想していなかった人物が現れた!


「おお、カカ君! 大丈夫か!?」


「タケダか」


「タケダねっ」


「ほらほら、大人ぶってるだけのやつに用はないよー、いこー」


「待て待て待て待て!」


 爽やかに無視して去ろうとする私たちの前に立ちはだかるタケダ。


「俺を大人ぶってるだけのガキだと思うなよ!?」


「…………」


 三人の冷たい視線が突き刺さる。


「ああそうさ! 大人ぶってるだけのガキさ! 悪いか!」


「さて、みんないこうかー」


「だから待てと!」


「じゃあ聞くけどー。大人ぶってるって言うけどさ、タケダ君はどうやって大人になったつもりになってるの?」


 ふむ、意見を沢山聞くに越したことはないか。


「おう。我思う、故に我あり。そんな言葉があってだな」


「勝手に割れてれば?」


「割れじゃない!! ええぃ、つまり。自分が望む大人になれるよう常に意識していれば、おのずとそうなれるのだ!」


「その言葉って、そんな意味なのっ?」


「知らん!」


「……タケダ。いつも思うんだけどさ、恥ずかしくない?」


「何がだぁ! 俺は俺の信じる道を行く、疑念などない!」


「そうかーそうかーよかったねー。さぁ行こうかー」


「ああああ、なぜそんなにツレないのだぁぁ」


 だって結局はまだ大人になってない人の意見だし。それでちゃんと思う通りの大人になれたっていうんなら聞くけど。


 でも……自分が望む大人、かぁ。私の場合は、一体どんなだろう? よくわかんないけど、前まではタケダみたいに、なんの疑念も抱いてなかったような……


 ちょっと考えているうちに、辿りつきました職員室。


「テンカ先生っ」


「おお、でかい顔のサユカじゃねぇか」


「もうでかくないです」


「顔がでかかったサユカじゃねぇか」


「うがーっ!」


「声もでかいな。尻もでかいが」


 適当にサユカンで遊んだテンカ先生は満足したらしく、きちんと話を聞いてくれた。


「はぁ、どうやって大人になったか、ねぇ」


「はい」


「飯食ってクソして寝てたら、いつのまにかなってたぞ」


「テンカせんせー、仮にも女性がそんなこと言ったらー」


「仮だからいいじゃねぇか」


 つくづく男らしい大人だ。


「ま、そうだな……オレだってそれなりに経験してきたぞ? ガキのころはもっとおとなしかったしな」


「じゃあいつ頃から本性を出したんですか」


「カカ、てめぇ仮にも落ち込んでたんならもっと――」


「仮だからいいじゃないですか」


「ちっ」


 や、仮でもないんだけどね。


「ともかく、だ。元々オレは、周りの目ばっか気にしておどおどして、格好の苛められ役だったんだよ」


「嘘だ!」


「嘘じゃねぇよ。そういうときもあったんだ」


 信じられない。でも「周りの目ばっか気にして」っていうのは、今の私と同じ?


「だが、オレにゃ憧れの人がいてな。その人のようになりたいってずっと思ってたのが、今みたいな大人になった理由としちゃ一番大きいかな」


 誰かのようになりたい、かぁ。さっきタケダが言ってた「なりたい自分」っていうのに近いかも。


「そういう指針で行こう、っていうのはあったけどな。実際はそう簡単にはいかねぇぞ? 人生なんざ予想外の連続だ。いくら『こうだ!』と決めたモンがあっても、ふとした事態で簡単に揺らぎやがる。迷うことなんざしょっちゅうだったな。特におまえらぐらいの時期は」


 迷う。そんな言葉もテンカ先生には似合わない気がする。でも『そうなる』までには、やっぱり色んなことがあったんだろうか。


「だからな、カカ? オレがてめぇを『心配だ』って言ったのが、大人に関して考えるきっかけになったと言ってたがな。そりゃてめぇに問題があるわけじゃない。いや、問題はあるかもしれんが。カカだし」


 どっち。


「とにかく、心配して当然ってことだ。オレたち大人は『未来が読めない』ことを身に染みて知ってるからな。姐さんくらいの規格外じゃないかぎり、誰が相手でも『心配する必要がねぇ』なんて思えねぇよ」


「……言われてみれば。サエちゃんは黒いし、サユカンは暴走するし、心配なのは私だけじゃないかも」


「あれー? 私たちって今回はサポート的なポジションじゃなかったっけー?」


「な、なんかわたしたちも真剣に考えないといけないのかしらっ」


 むむむ……心配されるのは当然、かぁ。


「じゃあ、あまり気にしなくていいのかな?」


「いんや、気にしてみろ」


 どうすればいいのか、こんがらがってくるんですけど。


「いくら未来が読めねぇって言ってもな、考えてみるに越したこたぁねぇんだ。いい機会だ、じっくり考えてみな。『大人』の定義は知らねぇが、少なくとも何も考えてねぇやつは大人扱いされねぇからな」


 考える、考えるかぁ。何を?


 えぇと、自分がどういう大人になりたいか、とか。


 あれ、それって――『自分がこのままでいいのか』っていう最初の疑問と繋がるかも!


 私はこのままでいたいのか。いれるのか。どうなりたいのか。どうなるのか。


「私、もっと色んな人に話を聞いてみます」


「おぉ、そうしな。ちょうどそこに教頭もいるし」


 あ、デストロイヤー教頭! 早速聞いてみよう!


「教頭! 大人になるにはどうすればいいと思いますか!?」


「なんとハレンチな質問だ!」


「……オイ」


「テンカ君!? 何を個人授業しとるのだお主は!」


「何を言っとるのだおっさん」


 そうか、大人ってハレンチでもあるんだ。勉強になった。私もそうなるのかな? わからない。


 さぁ次は誰に聞こうか。




 シルバーウィーク、皆さんいかがでしたでしょうか。


 早くカカたちも休ませてあげたいものです。なので早く続きを書いてあげなければ! 頑張ります!

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