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カカの天下  作者: ルシカ
802/917

カカの天下802「サエサユカ頑張り物語」

 こんにちは、サエですー。


 今日も学校が始まりましたが、カカちゃんは相変わらず暗めです。何があったかは知らないけど、とにかく元気になってほしい、カカちゃんの笑顔を見たい! そんなわけで、私とサユカちゃんは協力してカカちゃんを笑わすことにしましたー。


 授業一限目、理科。


 サユカちゃんに白衣を着てもらい、授業中を過ごしてもらいましたー。


 実験とかではなく、普通に教室で受ける授業です。


 ……カカちゃん、反応なし。


 え、これのどこが笑えるのかってー?


 んーと、わかんない。


 あ、サユカちゃんが突然、メガネをかけた!


「エロッ!!」


 保健室の先生的な格好を見て、誰かが叫んだ! ざわめく教室。ざわ……ざわ……


 でも叫んだのはカカちゃんじゃない。チラリとこっちを見たけど無反応……次!!


 授業二限目、国語。


 サユカちゃんに殿様の格好をしてもらい、授業中を過ごしてもらいました。


 もちろん普通に教室での授業です。


 ……カカちゃん、反応なし。


 いつだったかカカ殿様について熱く語っていたあの姿はどこに……ええい、最後の手段だー! サユカちゃんはちょんまげを装着した!


「だっふんだ!」


 誰かが叫んだ!


「中の人が同じだが、それはネタが違うぞ!」


「ダメだこりゃ!」


 クラスの誰かとテンカ先生のやりとりがあったものの、カカちゃんは反応を示さない……次!


 授業三限目、算数。


 サユカちゃんの頭の上には立体的な『7』の数字が一つ、でかでかと輝いていた。手芸部にあった材料で作った『7』型ヘルメット。


 モチのロンだけど、普通に教室で座って授業してます。


「サユカちゃん、ななしゃい!!」


 クラスの阿呆が叫んだー! もちろんサユカちゃん本人が言ったわけじゃない!


 でもその阿呆は、カカちゃんでもなくて……


「あいつ何言ってんの?」


「バカじゃね?」


「きっと、ななしゃいの子が好きなんでちゅねー」


 スベってしまったその子は後ろ指さされ……


「それを言ったらあんなの被ってるサユカちゃんは?」


「あれは可愛いからいいんだよ」


「それもそだね」


 サユカちゃんの隠れた人気が明らかになりつつも、肝心のカカちゃんは反応しない……つぎー!!


 授業四限目、音楽。


 サユカちゃんにはアイドル的なドレス衣装を着てもらいました。


「よし、サユカ。歌え!」


 テンカ先生の命令!


「…………」


 サユカちゃんは音楽準備室に立て篭もった!


「おい、何してる。せっかくの衣装だろ、見せろよ」


 ドア越しにテンカ先生が説得します。


「絶対に嫌ですっ! なんですかこの衣装っ。スカート短いし、っていうか全体的に布が少ないしっ!!」


「久しぶりでしょー?」


「そんな呑気な事態じゃないわよサエすけっ! 嫌ったら嫌だからねわたし、こんなにハレンチな服っ!」


 そんなにハレンチかなぁ。ちょっと衣装がピンクで、太ももとおへそと脇と鎖骨とが見えやすいだけじゃないのー。あー、あと肋骨とか。


「わたしの肌を見ていいのはトメさんだけなのっ!」


「お、トメならいいのか」


「見放題ですよっ!!」


「ちっ、しゃあねぇな……あーあー、こほん」


 テンカ先生は咳払いした後、こんなことを言った。


「ボクの名前はトメ!」


「似てないっ!!」


「趣味はサユカちゃんさ!」


「え、ほんと――じゃなくてっ!」


「なんでやねん!!」


「トメさんはそんなツッコミなんて滅多にしない!」


「でゅみゅみゅみゅう!!」


「それカカすけのマネでしょ!」


「出てキテクダサーイ」


「誰よっ!?」


「ちっ、妙なコスプレしててもなんか楽しいから見逃してやってればいい気になりやがって」


「じゃあ脱ぎます!」


「どうせ脱ぐなら出てきてからここで脱げ!」


「あんた教師じゃなかったっけっ!?」


「知らん!!」


 そんなこんなで、音楽準備室に閉じこもったサユカちゃんを説得するだけで、この時間は終わりました。


 カカちゃんはやっぱり反応なし……そして給食の時間。


「…………」


 カカちゃんは無言でそれに箸を刺しました。


「やぁ、ぼくウィンナーですー。いま刺されていますー」


 刺したウィンナーが喋ってる、ように見えます。


「まさに、現在まさに食べられようとしておりますっ。ゆっくりと運ばれるぼく、そして近づいてくる口! あぁなんという恐怖なのでしょう、背筋が凍ります! ちなみにぼくは背筋がぴーんと張っているのが自慢です、ウィンナーですからっ!」


「背筋が凍るとは言っても、ちゃんと解凍されたウィンナーですのでご安心をー」


「ああ齧られる、齧られてしまいます! あああ、ついにっ!」


「パリっと音、ぷりっと肉。笠原ウィンナー、今ならカカちゃんの口の中ー!」


「いらないわねっ!」


「お早めにー」


「手遅れよっ」


 私とサユカちゃんの小劇場、しかしカカちゃんは黙々と食べるばかりー……


 むー、いつもの調子が出ないなー。やっぱりカカちゃんがいないと……ううん、弱気になっちゃダメ! カカちゃんに元気になってもらうために、頑張らないとー!


 次こそは!


 そして――五限目、体育。


 体育、つまり体を育てること。


 サユカちゃんのおっぱいをありえないくらい大きくしてみようかなーとか思ってたけど、サユカちゃんが手近にあったタケダ君を持って振り回し暴れてきたのでやめました。


 なのでサユカちゃんの頭部を五倍くらいに育ててみることにしました。


 ででーんと巨大な、サユカちゃん(似)の被り物。先程の『7』型ヘルメットの改良版みたいなものです。こんなのも作れるなんて、手芸部って便利だよねー。


「むご、むごご、むっごごっ!!」


 当のサユカちゃんは頭が重すぎて大変みたいだけど、私にできることは何もないしなー。 


「いくぞ、それ!」


「よっし、いいボール……カキーン!! って、やべ!」


 あ、どこからともなく飛んできた野球のボールがサユカちゃんの巨大頭部を貫いた!


「サユカちゃんの頭に穴が!!」


 あぅー、材料はそんなに頑丈じゃないからー……


「おいサユカ、頭は大丈夫か!?」


「ああ、こんなに即頭部が凹んで……なんて面白い形に……」


「サユカちゃんどうしよー。顔がすごく変だよー」


「むご、むごごごご」


「ああ、なぜかサユカちゃんの頭がふくろうみたいに横回転し始めた!」


「きっとボールの衝撃で、上手い具合に内部が滑ったんだな!」


「サユカ、てめぇおもしれぇぞ! ふははは!」


「むごごごぉっ!!」


「うあああ巨大化した頭を回転させながらサユカが襲ってきた!」


「なんという恐怖!」


 意外なまでの大騒ぎ。


 そこでカカちゃんは……あ!


 笑っ――


 サユカちゃんが転んだ。でっかい頭部が倒れる。カカちゃんが潰された。


 ん、んーっと……笑ったように見えたんだけど、大丈夫、かなー? なんだかカカちゃんの頬を張り倒す勢いでサユカちゃん頭部が激突したように見えたんだけど……


 つ、つづくー!!


 逃げたんじゃないからねー! 




 むぅん、カカたちの雲行きもあやしいですが更新速度もあやしくなってきましたねぇ。


 ようやく週末乗り切って、少しは余裕が出てきたので、更新も感想返信もなるべくできればなぁと思ってます。みんな、沢山の肩書きありがとー!!


 さてさてカカが一体どうしたのか……次辺りで大体わかります。

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