カカの天下801「二学期が始まった、けど?」
こんにちは、サエですー。
ついに始まりました二学期、終わりました夏休み。悲しいです、寂しいです、でもこれから学校でのカカちゃんワールドを見られると思うとウキウキにもなったりするのですー。
というか、してたのですがー……
「よぅ、てめぇら。夏休みは楽しんだか?」
夏休み中に何度かは会ったけど、テンカ先生が教壇に立つのを見るのも懐かしい感じがするなー。
「例えばニシアキ」
「いくら秋が近いとはいえ、そんな名前はないでしょう」
「じゃあ今はなんて名前だ?」
「ニシンです」
魚類かー。私は秋刀魚のほうが好きだなぁ。
「んで、ニシンの夏休みはどうだった?」
「アヤと旅行に行きました」
「ちょ!! ニッシー!? バラさないでよ!」
「今の僕はニシンだ!」
「じゃあ二ッシン!」
後に『サラダオイル』とか続きそうだけど、ツッコまないほうがいいよねー。
「別にいいじゃん。お金が続く限り西に向かって力尽きて、親に迎えにきてもらったってだけの旅だったんだから」
「そ、そぉだけどぉ、恥ずかしいというか、その……」
「なんでもありませんよね? テンカ先生」
「バカップルは死ね」
「ド直球っ!? ちょっとテンカ先生っ、教師がそんなこと言っちゃダメでしょうっ!」
いきり立つ常識人サユカちゃん。でも本来もっと常識人であるはずのテンカ先生は揺るぎもしない。
「っせぇ! オレの生徒に『死ね』と言われて『ハイ死にます』なんてヤワなやつはいねぇ! どいつもこいつも『むしろおまえが死ね』と言い返す猛者ばかりだ!」
「一体どういう教育してるんですかっ!?」
「英才教育だ!」
「嘘よっ!」
「鋭砕教育だ!」
「正解よっ!」
鋭く砕く、なんて強そうな教育なんだろー。
「……じゃあテンカ先生、いいですか?」
「おぅ、なんだサユカ」
「むしろおまえが死ねっ!」
あ、ほんとに言った。
「んだとコラァ!!」
先生怒った! 理不尽だー!!
「ったく、教育がなっちゃいねぇ!」
ほんとにねー。
「オイこらイチョウ、てめぇはどう思う!?」
「むしろおまえが死ね♪」
にっこりと笑うイチョウさん、あまりに意外なお言葉に凍りつく教室。
「あ、あらわたくしったら……恥ずかしい」
ポッと頬を赤らめるイチョウさん。傍から見れば『普段マジメな子がちょっと頑張って恥ずかしがっている』風に見えるけど、セリフがセリフなだけに可愛いとは全く思えない、ていうか恐い。
「じゃ、じゃあインド! てめぇはどう思う!?」
「ぁむ?」
「カレー食ってるし!」
自由だこの子。
「食べますか?」
そしてカレーが絡むと強い。
「あとでな!」
食べるんだ。
「じゃあ――カカはどう思う!?」
ようやくテンカ先生は振った。
いつもなら真っ先に会話に入ってくるのに、今日に限ってずっと黙り込んでいたカカちゃんに。
「ん」
ずっと窓の外を眺めていたカカちゃんは、ようやくこちらを向いて。
「別に」
そんな素っ気無いことを言った。
「……おいカカ、どうしたんだよ。元気ねぇじゃんかよぉ、てめぇがそんなだと調子狂うぜ」
それはクラス全員の総意だったかもしれない。なんだかんだでカカちゃんは目立つし、カカちゃんの変な雰囲気がこの教室の色と言っても過言ではないくらいだった。
そんなカカちゃんの元気がない。みんな気になりつつも聞くことができず、代表としてテンカ先生が聞いたみたいな形になったんだと思う。
「なに、私って面白いことしか言っちゃいけないの?」
「い、いや。そういうわけじゃねぇけどよ」
「じゃ、ほっといてください」
カカちゃんは再び外に顔を向けた。
今朝からずっとこんな感じ。私やサユカちゃんが何を聞いても「別に」としか答えてくれない。
最近なんだか変だなーとは思ってたけど……一体なにがあったんだろう。
気になる、けど、すぐに聞いちゃいけない。なんでもかんでも突っ込めばいいものじゃないって、私たちは今までで学んできた。
こういうときは、本人が悩みを打ち明けやすい雰囲気を作るのが大事……だと、思う。たぶん。実際はわからない。親友だからこそ、考えすぎて踏み込めない。
だから、いざというときはトメお兄さんに聞こう。きっとそれが一番。
ども、予想を大幅に上回る勢いでカオスな肩書き投稿が溢れる中、ちょっと元気のないカカのお話をお届けします。
とてつもない肩書きがつきまくってる最中にこんな話もなんなのですが、カカも人の子。悩むこともあるのです。姉とは違うのです。アレが何の子なのかはわかりませんが。
なかなか更新速度が戻りませんが、また頑張りますのでカカを見守っていただければ嬉しいです。
801話だし、ヤオイ話にしようとか思ったのはナイショ。