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カカの天下  作者: ルシカ
799/917

カカの天下799「小学生最後の夏詰め合わせ、そのさん」

 ――ニシカワとアヤのとある夏、続きの続き。


「着いたのね、ニッシー」


「ああ、アヤ坊」


「ここは」


「そう、ここは西の果てだ」


 時刻は夕方、目の前には海。


 燃えるような空の色とは裏腹に、暑かった空気はすっかり冷めていた。心地よい海風が私たちの身体を撫でる。


「西の、果て」


「ああ、僕たちの財力で行ける限りの、な」


「そっか……」


「うん……」


「帰り賃は?」


「ない」


「ばかああああああああああああああああああああ!!」


「海のばかやろー!!」


「あんただあああああ!」」


 結局、親に電話して迎えにきてもらいました。


 すごく無茶な旅だったけど、その……いい思い出だったと、いえなくもないかも。ちょっと楽しかったし……あは。




 ――カツコとタマのとある夏、続きの続き。


「着いたよ、タマ」


「カツコしゃん、ここは」


「そう、サバンナだ」


 生い茂るジャングル。不気味な鳴き声が木霊する、明らかに未開の土地っぽい所にあたしたちは立っていた。


「そ、そこに、なにかいましゅよ!」


 そして草むらから、一つの影が!


「あ、校長だ」


「おほほ、奇遇ですねぇ」


「そだね。あたしたちは修行に来たの。そっちは狩り?」


「はい。ワニ美味しいですよ」


「じゃ一緒に行こか」


「ええ、ぜひ」


「わにたべるでしゅ」


 あたしたちの熱い夏は、それからもしばらく続いた。


  


 ――ジョーイ&マイケルのとある夏。


「ヘイ、聞いてくれよジョーイ」


「オゥ、どうしたんだいマイケル」


「うちのワイフが暑い暑いとうるさいんだよ!」


「うーん、それは夏の風物詩だねぇ」


「ノゥノゥ。それが風鈴のような優しい音ならいいんだけど、まるでブルドーザーのようなダミ声さ! そこで僕は我慢ならなくて言ってやったんだよ!」


「オゥ、なんて言ったんだい?」


「そんなに暑いのが嫌なら死ねばいい、ってね!」


「ワァオ、なんてストレィトなんだろう!」


「そうしたらワイフがなんて言ったと思う?」


「殺される前に殺してやる、とでも言ったのかい?」


「HAHAHA! それは恐いね!」


「HAHAHA! 冗談が過ぎたよ!」


「正解さ!」


「正解なのかい!?」


「おかげで死んでまったよ! 実は僕、幽霊なのサ!」


「そいつはビックリだ! でも実は僕、死神なのサ!」


「ワァオ、じゃあピッタリのコンビじゃないか! じゃあ案内してくれるのかい?」


「地獄の底まで付き合うZE!」


「そいつはいい。天国へ向かうと太陽が近くて暑そうだからネ。そっちのほうが涼しそうだZE!」


「イェーイ!」


「イェーイ!」


 このお話はフィクションです。




 ――ユカのとある夏。


「…………きゅー」


 仕事のし過ぎで伸びているようです。




 ――シューのとある夏、続きの続き。


「…………にゅー」


 仕事のしなさすぎで伸びているようです。


 しかし、そのとき!


「シュー、事件ですよ!!」


「な、なんだってー!」


 がばっと起きるシュー。さすがに事件は見逃せないようです。


「あ、クララちゃん」


「はい、クララ事件見つけました!」


「どこで何が起こったんだい!?」


「ここで職務怠慢してる人がいます!!」


 シューは沈黙しました。


 そして考えました。大人の必殺技、イイワケを!


「ごめんなさい」


 思いつかずに普通に謝りました。やはり素直が一番ですね。


「クララ許さないです!」


「許さないの!?」


 しかし世の中、素直なだけじゃ渡れません。


「今度、クララの言うことを一つ聞いてくれるなら見逃してあげます」


「あの、それこそ脅迫っていう罪……」


「職務怠慢罪のほうが大きいです!! いずれは駄目人間罪に発展するんですよ!」


「ごめんなさい!」


 注・この問答はお子様VS気弱警官のものです。細かいことは気にしないでください。




 ――サカイ動物団のとある夏。


 暑くてバーベキューに。


 以上!!




 ――デストロイヤー教頭のとある夏。


「夏は暑い、という概念を破壊するため、北海道の最北端へ海水浴に来てみた!!」


 海パン一丁で。


「ぬおお、寒すぎて身体が破壊されるわ!!」


 ざざざ、ざっぱぁぁん! と波打つ辺り、実はカツコとタマが通った道だったりする。


「うむ、帰って仕事をしよう」


 そして北海道限定のメロン系お菓子を買うのは忘れない教頭でしたとさ。




 ――タケなんとかのとある夏。


「おい!! 俺の名ま」


 暑くて忘れました。暑くて聞こえません。




 ――トメとカカのとある夏。


「トメ兄、私さ」


「なんだ? まさか夏休みの宿題を手伝えってんじゃないだろうな。もう明日から始業式だぞ」


「んや……なんでもない」


「どうした。暑さでやられたか?」


「そうかも。でも」


 もう夏が終わるのに、なんでまだこんなに暑いんだろう。


 うだるような熱気の中でカカは呟く。


 らしくない、表情で。


 そして、二学期へ……




 詰め合わせ三連続でしたん。


 明日から9月! 学生がんば!


 ついでに次はカカラジですよ!

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