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カカの天下  作者: ルシカ
797/917

カカの天下797「小学校最後の夏詰め合わせ、そのいち」

 ――サエとサユカのとある夏。


『まんごおおおおおおおおおーっ』


 マンゴーシロップのカキ氷を一心不乱にかきこむ私たち。


『おうーっ』


 同時に頭をキーンとさせる私たち。


『いちごおおおおおおおおおおーっ!』


 新しくきたカキ氷をまたもやかきこむ私たち。


『とれびあーんっ』


 意味がわからないことを言いながらキーンとなる私たち。


『ちょこばななああああああああああーっ』


 これもれっきとしたカキ氷です、なんて心で解説しながらかきこむ私たち。


『カキゅみゅみゅみゅう!!』


 でゅみゅみゅみゅうのカキ氷版を叫んでしまうくらいに楽しかったこの日。私とサユカちゃんはその店のカキ氷を制覇した!


 理由。


 なんとなくいっぱい食べたかったから。あるよね、そういうとき。




 ――カツコとタマのとある夏。


「海だよ、タマちゃん!」


「海でしゅね、カツコしゃん!」


 ざざざ、ざっぱぁぁんと波が鳴る崖っぷちにいる親子っぽい二人。


 その内、親っぽい人が叫んだ。


「やっほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 子っぽい人が答えた。


「まぁぁぁだだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 ざざざ、ざっぱぁぁぁん、という波の音が「ななな、なんでやねぇぇぇん」に聞こえたのはきっと気のせいだ。


「次へ行こう!」


「はいでしゅ!」


 彼女たちが一体何をしたいのか。それは誰にもわからない。




 ――シューのとある夏。


「暑い……」


 交番で。


「ぷしゅー」


 溶けました。




 ――ゆうたのとある夏。


 我が名はゆうた。ただいま貴桜小学校のプールの監視員を頼まれし者なり。


「むぅぅぅぅ」


 我が目つきは鷹よりも鋭く、けして事故などを見逃しはしない。


 全ての水着を視界に入れるこの術、誰にマネできようか。


「ふはは、女子の安全は任せろ」


「あ、あのぅ」


「なんだ名も無き男子生徒よ」


「その、男子の安全は」


「男とは怪我してなんぼだ」


「勉強になります!」


 む、変質者? たわけ。俺は彼女たちを守る。それだけだ。


 俺が変質者となるのはサカイ親子に対してだけである!!




 ――サカイさんのとある夏。


「あつー……」


 太陽さんが働いている中、私はお休みですよー。


「ふー……」


 クーラーの利いている部屋に戻り、私はごろんと横になりましたー。


「お休みって……らく……」


 そのとき、会社から電話が!


 面倒くさいけど私は通話ボタンを押した。そしてハッキリと言ったのだ!


「休日出勤は嫌ですよー!!」


『え、あの、今日、出勤日……』


「なちゅやしゅみ!」


『あるわけねぇだろバカタレ!! 今すぐ来い!!』


「えへへ、かんじゃいました」


『患者がいました? そりゃおまえだ、頭のな! さっさと来い!』


「ふぁーい」


 お母さんてば忙しいよぅ。サエ、構ってあげられなくてごめんねー。よよよ。


「……んしょ」


 ごろん。


 もちょっと涼んでからいこっと。


「……ぐー」




 ――サラとキリヤのとある夏。


「疲れましたね、キリヤさん……」


「はい……しばらく仕事したくないです……」


 フリーターにとっては激動のお盆を超え、私たち二人は燃え尽きていました。


「でも、キリヤさんはまだまだシフト入ってますよね……」


「ええ、お盆に頑張った人たちがここぞと休みをとるので……」


「キリヤさんは休まないんですか?」


「はっはっは、私まで休んだら誰も店にいなくなるじゃないですか」


「……手伝います」


「サラさんも疲れているでしょう? 花屋の仕事もあるのに」


「女は強いんです。シフト入れておいてください」


「はっは、では男も負けてられませんね」


「ところで彼女さんはいいんですか? そんなに働いてばかりじゃかまえないんじゃ」


「ええ、ユカさんもお仕事が忙しいようなんで。都合がいいと言えば、あれなんですけど」


「何のお仕事を?」


 私はそれを聞いて、かなり驚いた。


「え、え? ええ!?」


 道理であんなに自由なはずだ……


「でも、彼女さんが仕事している中、こうやってお食事してると、なんだか浮気みたいですね」


 実際には単なる『お盆お疲れ様会』なんだけど。


「はっはっは、嫉妬してくれたら楽しいですね」


「キリヤさんって逞しいですよね……」


 最近は草食男子というものが増えているらしいけど、キリヤさんは当てはまらない……かな? いや、でも肉食って感じもしないなぁ。


「はっはっは、強さの秘訣は寝る前のお風呂です」


「意外と普通ですね」


 でも大事ですよねぇなんて言いつつ、私たちは焼肉を食べるのだった。




 ――テンカ先生のとある夏。


「……ふう」


 寝苦しい夜。暑さにうんざりして寝返りをうつと、棚に足がぶつかった。


「いて」


 ひらりと落ちる、一枚の手紙。


 眠気がいまいちこないオレはなんとなくそれを手に取った。


 それは、トメからの手紙。


 ホワイトデイにもらったものだ。今も大事に取ってあるその内容は――トメからの告白だった。


 付き合ってほしいと。もちろんオレはOKした。そして今も皆に隠れて付き合っている。


 関係は良好だ。


 なんてな。うっそーん。暑いから変なこと考えただけだよーん。


 オレは今度こそ寝た。




 ――クララのとある夏。


「なぜかみんなしゃっくりしてます。クララ不思議です」


 悔しいのでクララもしてみました。


「ひっくらら!!」


 予想通りすぎますか? クララしょっくです!


「しゃっくらら!」


 借金したクララみたいです。


「びっくらら!」


 あ、これいいです。びっくりしたときに使うです。


「ぽっくらら!」


 これはぽっくり逝ったときに使うです。


「いっくらら!」


 いくら食べたいです。


 そんな風に遊んで過ごしました。




 ――校長のとある夏。


 Inサバンナ。


 遠すぎて実況できません。




 ――タケダのとある夏。


 略。




 ――ニシカワとアヤのとある夏。


「アヤ坊、旅行に行こう!」


「え、ええ!? どうしたのよいきなり」


「この間さ、うちに行列できたじゃん」


「あ、ああ。なぜか皆のトイレが壊れて、ニッシーの家だけ無事だったときね」


「あまりにうざいから料金制にしたら、けっこう儲かったんだよね」


「ニッシーって、意外と……」


「さぁ行こう! せっかくの夏休みだし!」


「どこへ?」


「西へ!」


「そうよね。やっぱそうよね。はいはい付き合ってあげるわよ」


「告白?」


「ちゃう!!」


 そして二人の旅が始まった…… 


 つづく。




 ――インドちゃんとイチョウさんのとある夏。


 場所は図書館。


 一緒に宿題をしながらカレーを食べました。


「何をやってるんですか、あなたたちは!?」


 職員さんに怒られました。


「ええと……何を、しているんですか、あなたたちは」


 なぜか二回言われました。


「かのちゃん。怒られてしまいましたね」


「うん……す、すいません。お詫びにこのカレーをどうぞ!」


「おーいすぃぃぃぃぃ!」


 てーれってれー! とカレーのCMが出来上がりました。



 

 ――トメとカカのとある夏。


 ……は、また今度。




 というわけで詰め合わせでした。


 次も詰め合わせです!


 次の次も詰め合わせです!


 ……だ、だめかな笑

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