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カカの天下  作者: ルシカ
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カカの天下796「はてなぷーる」

 こんにちは、サユカよっ。


 ようやく夏らしく暑くなってきたから、学校のプールへ通う率も上がってきたわ。もちろん一緒に行くのはカカすけとサエすけ。去年わたしが泳げるようになってから苛められる機会も減ったし、快適この上ないわっ。


「……ぷはぁっ! はぁ、はぁ」


「ぷはー。また私の勝ちだねー」


「むぅっ、サエすけ強すぎ」


 勝負していたのは潜りっこ。どっちが長く潜っていられるかを競う定番の遊び。わたしは限界まで息を止めてたからすごく苦しいのに、サエすけは何事もなかったかのように笑顔だ。この子ってば本当にいつも涼しい顔してるわよね。


「なんでそんなに息を止めていられるのよっ」


「えとねー、水の中が心地よくて全然苦しくないのー」


「なるほど。確かに水中って気持ちいいわよねっ! 真っ青で、別の世界に来ちゃったみたいで」


「そんな幻想ばっかり見てるからトメお兄さんを奪えないんだよー」


「むっ! じゃあサエすけは何を見てるのよっ」


「みんなのお尻」


「幻想を見てたほうがマシよっ」


「大丈夫だよー、サユカちゃんのお尻に敵う人はいないから」


「何を比べてんのよっ」


「はみ出てるよ」


「出てないわよっ!」


 まったくもうっ。これでカカすけと出会う前はおとなしかったって言うんだから驚きだわ。


「ところでカカちゃんなんだけど」


「なによ、カカすけのお尻がどうしたの」


「またお尻の話? サユカちゃんのえっち」


「話の流れ的にそっちの話と思うじゃないのっ」


「全然違うよー。そんなに煩悩ばっかりだからトメお兄さんを奪えないんだよー」


「大きなお世話よっ。大体さっきから『奪う』とか言ってるけど、それだとトメさんがもう誰かのモノみたいじゃないのっ」


「私のモノだよー」


「……蹴るわよ?」


「お尻で?」


「わたしってばすごい器用な人ねっ」


「それだけのお尻してれば当然だよ」


「照れるわ」


 ふふん、最近、話を流すってことを覚えたわ。泳げるようになったことといい、わたしって大人になったわよね。


「サユカちゃんのえっちー」


「なんでよっ!?」


 でも脈絡のない不意打ちはまだ流せないわ……


「ところで話は戻るけど、カカちゃんって最近おかしいよねー」


「あの子は生まれたときからおかしいわよ」


 生まれたときは知らないけど絶対そうに違いない。「おぎゃー」じゃなくて「ゆでたまご!」とか言って生まれてそうよね。


「違うの。おかしくないからおかしいの。見て、今も」


 わたしはサエすけの指す方向……カカすけの方を見た。

 

 そこはプールの中心。


「カカちゃんてば、ここに着いてからずーっと泳ぎ続けてるんだよ。25Mを行ったり来たり。面白いことを全くしてないのー」


「ちゃんと他の人とのすれ違いざまに潜って、こっそりとわき腹を突いたりしてるわよ?」


「黙々と泳いでるしー」


「飛び込むときに『えびぴらふ!』って叫んでたわよ」


「最近、ふと真顔になるし」


「ちゃんとさっきビックリ箱から飛び出てきそうな顔してたわよ。なぜかトイレから出てきたときに」


「ふしぎな踊りも踊らないしー」


「ふしぎな呪文なら唱えてるでしょ。ケロリンのポーズと一緒に」


「宿題をちゃんとやってたし」


「あの子、何気にいつも宿題はやるじゃないの」


「私に抱きついてこないしー」


「暑いからでしょ」


「恐い話を自分から振るし」


「それは……変だったわね」


「夏祭りにアレだったし」


「それは……」


 何も言えなかった。そこについてだけは、何も。


「やっぱりカカちゃん、何か変だよ」


 サエすけがそう言った、そのとき!


「ひゃん!」


「やんっ!」


 わきばらに しょうげきが はしった!


「んふふ、やーらかい」


 なんかRPG風に言ったけど、ようはカカすけにわき腹を突かれたのだった。今の話、聞かれてないわよね。


「もー、カカちゃん!」


「わ、なにサエちゃん。怒った?」


「サユカちゃんを突くならわきじゃなくてお尻でしょー!?」


「そっか! ごめん、ほんとごめん!」


「罰としてカカちゃんのお尻たたくよー」


「わーい。やってやって」


 この阿呆な会話……カカすけってば全然変わってないように見えるんだけどなぁ。


「ん、どしたのサユカン」


 首を傾げる、きょとんとした瞳。


 やっぱりいつものカカすけよね。


「サユカンも私のお尻たたく?」


「遠慮しとくわ」


「サユカンのえっち!」


「なんでよっ!」


 うん、カカすけだ。


 この子が自分から恐い話を振ってきたのは単なる思い付きだったんだろう。いつものように。


 でも、今年の夏祭り。


 去年は漫才で大いに盛り上がったステージイベントは再び開催され、出店も惜しげなく商売根性を振りかざし、誰もが楽しんでいたその時間――カカすけは何もしなかったのだ。


 そう、何も。祭りに参加することすらしなかった。本人とトメさん曰く「体調が悪かった」とのことだけど、あのカカすけが少し体調を崩したくらいでお祭りに行かないとは思えない。


 一体何があったんだろう。なんでもないように振舞うカカすけを見ている限りじゃわからない。




 お盆終わった〜と思って油断したせいで見事に体調崩しました〜あはは。


 しかしちゃんと復活しました。カカたちの夏をもっと書かねば。

 しかし夏休みはあとわずか。


 ……やっぱ恒例のあれしかないのか。


 あ、夏祭りを楽しみにされていた方いましたらごめんなさい。

 書かなかったのにも理由があるので、その辺もふまえて今後を読んでいただけたら嬉しいです。

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