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カカの天下  作者: ルシカ
780/917

カカの天下780「サユカの任務、負けるな攻めろ編」

 こんにちは、カカです。最近暑いっすね。学校が終わって帰り道、サエちゃんサユカンと歩いてるのですが、ここの話題も結構熱いです。


「サラさんがトメ兄とデートするって!?」


「うん、確かな情報だよー」


 どっから聞いたのかすごく気になるけど、それは置いといて。


「大変だよサユカン、対抗しないとっ!」


 しかし、一番慌てると思われたサユカンは落ち着いていた。


「大丈夫でしょっ。サラさんは恋愛する気なさそうだったし、トメさんはその……わたしと約束、してるし」


 指輪を見て「えへ」なんて笑うサユカン。甘い、甘すぎる。


「サユカン――」


「サユカちゃんは甘いよー!」


 おお、サエちゃんに先越された。


「女なんてすぐにコロっと変わるし、男なんてすぐにおっぱい大きい人についてくんだよー! あのサラさん相手にそんな悠長なこと言ってたらダメだよー」


 確かにあのおっぱいは侮れない。


「わ、わたしはトメさんを信じてるもんっ」


「いやいやー、サユカちゃんはおっぱいの攻撃力をわかってないよー」


「サラさんくらいになるとおっぱいビーム出そうだよね」


「きっと出るよー。だってスーパーおっぱいとか言ってたらしいもん。よくわかんないけど」


 スーパーおっぱい。なんて強そうなんだろう。


「んじゃおっぱいバズーカか」


「つよそー! サユカちゃんピンチだよー」


「うう……バズーカなら仕方ないわねっ! 対抗するわ!」


 お、納得させた。さすがバズーカ。無闇に攻撃力が高い。


「じゃあどんな衣装を着るー?」


「なんでそうなるのっ」


「胸も背も敵わないんだから肌色で攻めるしかないでしょー」


 サエちゃん、最初からそれ言いたいだけでしょ。でも、もっと手っ取り早く……


「もう全裸で風呂場に突っ込めば?」


「ちょっ!!」


「カカちゃん! それは最後だよー!」


「最後ってなによっ!?」


「ちょっとずつ布を減らして、最後にやるのー」


 なるほど! その通りだ。


「や、うっかりうっかり。めんごめんご」


「ほんとにもー、しっかりしてよー」


 気をつけマス。


「そんなわけで、サユカちゃんの大人を演出する衣装を考えよー」


「ちょっと待ってよ! 衣装以外に大人は演出できないわけっ!?」


 むぅ、他に大人といえば……あ。


「じゃあ化粧とかは?」


「化粧……確かに大人っぽいねー」


「でもそんなの持ってないわよ?」


「や、持ってそうな人があそこにいたから」


 私の視線の先。商店街の本屋さんでイチョウさんがイチョイチョしていた。委員長っぽく本を見ているという意味だ。イチョってるとも言う。


「やっほ、イチョウさん」


「あらカカさん、サエ様、サユカさん。こんにちは」


 相変わらずなぜかサエちゃんだけ様づけだ。


「何か御用でしょうか?」


「うん、実はさ。お化粧を貸してほしいんだけど」


「また妙な顔で周囲を驚かして回るんですか?」


 またって……確かにいつかの年始めにそんなことしたけどさ、あれはあくまで福笑いだったんだよ。私なりの。


「や、サユカンがね? ええと――」


 事情を説明すると、イチョウさんはイチョっと難しい顔をした。


「わたくしの意見としましては……子供の化粧というのは受け入れられにくいものです。そのトメさんとわたくし自身はあまり交流はありませんけど、聞いた話と遠くから見た限りでは生真面目そうな感じでしたし、そのような常識に反することは逆にマイナスイメージではないでしょうか」


 なるほど。あるかもしれない。


「トメ兄、考え古いしね」


「おばあちゃんみたいな名前してるだけはあるしねー」


「そこがいいのよっ!」


 あんたトメ兄ならなんでもいいんでしょ。


「となると、大人を演出するにはやっぱ服装かねぇ?」


「あら、それでしたらブレザーやセーラー服などの制服がムラムラくると」


「誰が言ってたのー?」


「ヤナツという愚兄が」


 やーねー男って。私ら三人は揃ってそんな顔をした。


「でもいいチョイスかもー」


「それなら普通っぽいから着てもいいけど、そんなの持ってないわよっ!」


「お姉さんのお古でも借りてはいかがでしょう」


「お姉がセーラー服? あんたあの人をどれだけバケモノにする気? 世界制服でもする気じゃないだろうね」


「似合わないのは確かだけど、そこまで言うことないでしょー」


 だってあのお姉がセーラー服だよ? そんなもん着たらおっぱいバズーカの比じゃない破壊力だよ。想像だけでも核兵器だよ。世界がゲロ吐いて滅んじゃうよ。


「ちょっと二人とも、そんな顔したらダメよっ! いくら現在が『ああ』でも、お義姉さんだってピチピチした若い時代はあったんだから」


「ムキムキした時代しか想像できないんだけど」


「ていうかサユカちゃん、今さりげなく『義』とかいれなかったー?」


 ともかく、方針は決まった。まずは我が家だ。


 みんな一旦帰ってから集合、家捜し開始となった。元お姉の部屋とか、元開かずの間(お父さんの部屋)とか、いろいろと漁ってみる。


「なに、このお義母さんグッズだらけの部屋」


「前に片付けたはずなんだけどね、いつの間にかお父さんが元に戻したみたい。壁も天井もポスターだらけ、すごいっしょ」


「ねーねーサユカちゃん、いま『義』を……」


 ともかく家捜し!


 やがて、セーラー服とかは見つからなかったけどトメ兄の学ランが見つかった。予備もあわせて二着も。


「とりあえず着てみたわっ!」


 トメ兄のもんだと着るの早いなサユカン。


「わ、サユカン学ラン似合う!」


「私も着てみたー」


「サエちゃんも長髪にすごく合ってる!! うわぁ、それで運動会の応援団長とかしてほしい! よし、私も着てみよっかな」


 そうして私が狂喜乱舞しながら服を脱ぎ始めたそのとき、玄関から声が!


「ただいまー」


「げ、トメ兄が帰ってきた。こんな面白い姿を見られるわけにはいかないよ、急いで脱いで!」


「ちょっとカカすけ、そんな強引にやると逆に脱ぎにく――きゃっ!」


「わー!!」


 どたんこばたんこ。


「カカ、ここにいるのか?」


 ドアが開く。


 トメ兄は見た。男装してるサエちゃんとサユカンが押し倒され、それを半裸の私が無理やり脱がそうとしている光景を。


「……そっかぁ」


 パタンと閉まるドア。


「そっかぁ」


 もっかい聞こえた。


「――って、ちょっとトメ兄!? 何を理解した気になってるの!!」


「ほどほどにしとけよー」


「なにが!?」


「大人になったなぁ」


「違う! そんな意味でそう思ってほしいんじゃなくて!!」


 漫画みたいな展開が予想外に恥ずかしくて、思わず大慌てしちゃったけど……トメ兄はわかっててからかってるだけだった。なんとなくトメ兄のほうが大人に思えて負けた気分。


 悔しい。だから今度は復讐だ、トメ兄をからかってやる。


 サユカンで。 




 さぁさ、サユカ対サラさん勃発か!


 トメくたばれ。

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