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カカの天下  作者: ルシカ
774/917

カカの天下774「蒸し者の詰め合わせ」

 朝。起きました。トメです。


 さすがは梅雨。湿度が半端ないので、ものっすご暑いです。ベッドから動きたくありません。でも動かないと。朝ご飯の支度をしないと。


「あと十秒だけ、ジッとしたら起きよう……」


 説明しよう。これは自分に制限を設けることで、だらけきった心を奮いたたせる画期的な方法なのだ! 10、9、8、7――


「ぐう」


 十秒も耐えられなかった。だって暑いもん。だるいもん。



 

 起きました。カカです。


「……蒸し料理」


 なんとなくそんな言葉が出てきた。


「あちー」


 ベッドの布団があまりに暑いので、床に落ちてみる。


「あ、ちょっとちべたい」


 床のほうがひんやりしてる。でもまだ暑い。


「んぅ、んぅ」


 もっと涼しい場所を求めて、ずりずりと身体を這って移動。たまにゴロゴロ転がって移動。


 やがて、涼しい場所を見つけた。台所、冷蔵庫だ。


「開けるとひんやりー」


 買い物してないのか、中にはほとんど何も入っていなかった。じゃあ私が入ろう。


 パタン。




 起きました。サユカです。


 暑いです。熱いです。たったいままでトメさんとちゅーする夢を見てました。いつも見てます。


「……もっかい寝るわっ」


 そしてもう一回、同じ夢をみるのよっ!


 こんなときのために、目覚ましは三度に分けて鳴るようにしてあるわ。わたしったら策士ねっ!


「ぅん……た、タケダが……タケダがわんだほー……い、いやぁ……」


 次はなぜか悪夢だった。暑苦しいタケダがわんだほー。最悪。呪われてしまえ。




 起きました。テンカです。


「さみぃ!!」


 開口一番、叫びました。


「寒い寒い寒い寒い! 寒いし! 冷たいし! 凍えるし! アイス! ブリザード! 出でよ北極!!」


 力いっぱい、叫びました。


「やっぱダメだ」


 暑いもんは暑い。誤魔化しきれねぇ。


「ビール!!」


 飲みてぇ。




 起きました。キリヤです。


 カーテンを開けます。


「はっはっは。いい朝ですね」


 今日も一日、頑張りましょう。暑さ? そんなもの、眠る前に水分補給さえ怠らなければどうということはありませんよ。はっはっは。さぁ仕事を頑張りましょう。




 起きました。ユカです。


「……すずしー」


 病室は冷房がきいてていいわね。




 起きました。タケダです。


「うむ、爽快な目覚めだ!」


 やはりクーラーで除湿したおかげだな! そう思った、そのとき。


「ぐあああ!」


 なぜかクーラーがはがれて落ちてきた。俺の上に。


「つ、潰される……なぜだ、なぜこんなことに。まるで俺を恨む世界のみんなが仕組んだかのような不幸……」


 なぜだろう、その通りのような気がした。


「とにかく誰か助けろ!」


 暑いので誰も起きていなかった。




 起きました、サエですー。


「……んー」


 目をしょぼしょぼ擦りながらベッドの周りを見渡します。なぜか布団は廊下まで飛んでます。枕は机の上です。なんでしょーこれ。暑すぎて投げまくってしまったんでしょうか。


「総理大臣のせいだー。わるいこー」


 適当に他人のせいにして納得。


「あちゅいー」


 おっけー。もっかい寝ゆー。ぐー。




 起きました、サカイですー。


 隣にはサエはいません。暑いから一緒に寝るのは嫌、なんだそうです。


 そんな私を慰めるかのように総理大臣や官房長官、ラスカルが一緒に寝ようとしてくれましたー。


「暑いから近寄るなー!」


 どうせ暑いならサエがいいー!




 起きました、ゆーたです。


 いまだに鳴っている目覚ましに耳を済ませる。


『今すぐ起きなさーい! 今すぐ立ちなさーい! そして顔を洗いなさーい!』


 サカイミエ様の声です。


『さっさとしないと踏むよー』


 サエ様の声です。


「いえ、むしろ踏んでください!!」


 感極まって叫びました。おかげで目が覚めました。


「今日も素晴らしい朝だ!」


 お二人の声を目覚まし時計に録音させていただいたおかげで、暑さも湿気もまったく気にならん! こうなれば絶対に俺のほうが暑苦しいからな! ふははは!


「よし、顔を洗おう!」




 起きました、ニシカワです。


「なんで東から昇る太陽にここまで苦しめられないといけないんだ」


 でもいずれ西に沈むから許す。あー暑いな、それにしても。




 起きました、アヤです。


 普通に愚痴りながら、普通にゆっくり起きて、普通に顔を洗って、普通に朝ごはんを食べて普通に慌てて学校へ向かいます。


 普通で何が悪い!?




 起きました。校長です、おほほ。


 暑い? ええ、暑いですね。


 私が起きて仕事を始めた辺りの時間はまだ涼しかったのですが。外? もちろん暗かったですよ。おほほ。さて、次のお仕事は……




 起きました、サラです。


「暑いからって、あっちゃんじゃないですよ……サラさんですよ……」


「お姉様、何を仰っているのですか?」


「えへへー」


「あ、もう! せっかく起きたのにベッドに倒れないでください! 朝ご飯ができてますよ!」


 夏用のお布団きもちいー! さらりとした感触がー。えへへー。


「ふとん姉様!」


「サラですってば!!」




 起きてます、お姉様と違って。イチョウです。


 いくら暑くても頑張れば起きられるものなのです。今日はわたくしが朝食当番でしたし。


 そう、十回くらい目覚ましを鳴らせばいくらなんでも起きるのです。


「お姉様! 起きてください!」


「あと五本!」


「何がですか!?」


 ……お姉様を起こす作業だけでも、重労働で目が覚める気もしますが。




 起きました、インドことノゾミです。


「今日のねかせたカレーは……」


 てってってーと台所へ向かいます。朝ご飯のカレーが楽しみなので、暑さなんて気になりません。むしろ暑いときのカレーも乙なのです。


「の、ノゾミ?」


「お母さん、おはよう」


「私、もうカレーは飽き――」


「だめ」


「ここまで暑いのにカレーは嫌――」


「だめ」


 さ、カレーカレー。




 起きました。トメ父です。


「……父の日」


「パパ君、もう過ぎてるよ」


「……くすん」


「はいはい、こっちいらっしゃいな」


 いろんな意味で熱いです。




 起きました、ユイナです。


 いま私の胸には、年がいもなく泣きついているパパ君が。


 正直、ものすごく暑苦しい。


 でも我慢です。それが愛ですから。




 起きました。クララです!!


「学校も仕事もないので、寝ます!!」


 だって暑いですから! 地下水吸収、ごっくんごっくん! っぷはー! 




 おきました、タマでしゅ。


「しゅー」


「はい、扇いでますよ」


「しゅー」


「はい、もっと扇ぎますよ」


 すずしいでしゅ。




 起きてます、シューです。


 うちわを扇ぐために寝れません。

 



 起きた、カツコだ!


「おし、今日も一日暴れるかー!!」


 暑さ? え。今日って暑いの?




 今度こそ本当に起きました。トメです。


「朝ごはん作ろ……」


 あーでも買い物してなかったよなぁ。そう思いながら冷蔵庫を開けた。


「…………」


 なんかいた。


 とりあえず閉めた。


「今日はパンでいいや」


 暑くて食欲なくても、朝ご飯はしっかり食べましょう。




 蒸し蒸し、どうにも寝苦しい日が続いてるのでこんなん書きました。


 次はカカラジ。そしてあと二話で777話です。ラッキー7です。ぜひともラッキーな話を書こうと思いつつ、実は一番悩んでいるのは776話だったりする私です。何書こう。

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