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カカの天下  作者: ルシカ
770/917

カカの天下770「なんかイロイロ止まらない」

 こんばんは、カカです。夕ご飯を食べながらテレビを見てます。


「トメ兄。今日の海老フライなんだけどさ」


「なんだよ」


「ぷりぷりで美味しい」


「そりゃどうも」


「トメ兄を褒めたわけじゃないよ。海老を褒めたんだよ」


「あーそういうことですか」


「トメ兄なんかブリブリだよ」


「あーどういうことですか?」


「トイレで――」


「食事中にやめなさい」


 ちぇ。まぁこんな感じでいつもどおりにご飯食べてます。


「あれ」


「どうしたカカ?」


「海老フライだよね、これ」


「他に何に見える」


「ブリブリ」


「眼科いけ」


「肛門科だよ」


 あ、お兄ちゃん黙った。


「や、冗談だけど。フライって、飛ぶって意味の英語だよね」


「そういう意味もあるな」


「じゃあ海老フライって、海老が飛んでるの?」


 妄想する。


 天高く飛び上がる海老。龍のように身体をうねらせながら……ってほど胴体は長くないか。えーと、海老はなんかピクピク痙攣しながら空を飛んでいる。横にはなぜかタケダ。


「あ、死んだ」


 タケダも。


「そりゃ水のないとこ行けばな」


「でも私も空飛びたいなぁ。カカフライにならないかな」


「カキフライで我慢しておけ」


 うん、わかった。もぐもぐ。テレビを見る。


「あ、お母さん新しいドラマやるんだ」


「本当だな。どんなタイトルだろ」


 『枝毛が止まらない』


 変な沈黙が私たち兄妹を包んだ。


「お母さん、最近は髪、長いし、ね」


「ぴったり、なのか? ていうかそもそも、どんな話だ」


「んー……枝毛が伸びすぎて網状になって、それで犯人を捕まえる話とか?」


「恐怖が止まらなくなりそうなんだけど」


 もしくは……またもや妄想シーン突入。


 シリアス場面。お母さんが怒る。「いいかげんにしなさい!」お母さんの枝毛が伸びる。まだ伸びる。無数に枝分かれしながら伸び続ける。それはやがて世界を覆いつくす。なんとかしなければ世界は暗黒に染まってしまう! あの毛を焼き払え! ダメです、燃えません! なんたる剛毛、こうなったらミサイルで……なに、毛が、俺にも毛が……うわああ、俺の身体中の毛が枝分かれしながら伸び続け――ウイルスだ! 新種のウイルスだ! みんな近寄るな、気持ち悪いぞ! うわぁこんな場所の毛まで! ズボンがもっこりだ!! 横にはなぜかタケダ。


「恐すぎる! っていうかお母さんバケモノじゃん! 悪役じゃん! ダメだよそんなの!」


「じゃあモデルを姉にしとけ」


「わぁピッタリ」


 一件落着。


「僕には話の内容が想像もつかないけど……ほら、髪の毛とは限らないだろ」


 妄想シーン突入。


 枝毛で伸び続けるのがすね毛だったら。


 爆発的に増えるすね毛。


 その勢いでロケットのように噴射されるお姉(あまりにピッタリなので女優は修正されました)。


 横にはなぜかタケダ。


「アネフライ!!」


「まずそー」


「私もカカフライになるかな!」


「すね毛が止まらないぞ?」


「……そんなのはお姉だけで充分だね」


 妄想シーン突入。


 枝毛で伸び続けるのがまつ毛だったら。


 お姉の目から発射される黒いビーム!! 鉄でも貫通! 今なら1980円!


「似合いすぎる」


 あ、タケダが買った。


 それは置いといて妄想を続ける。


 枝毛で伸び続けるのが鼻毛だったら。


 お姉の鼻からビームがボーン!!


「こっちのほうが似合うな」


 妄想シーン突入。


 お姉のひげが伸びたら。


「……なんかお姉にもじゃもじゃのひげがあっても違和感ないなぁ」


「なんか仙人っぽくなるからだろ」


「あー、似合う」


 タケダはひげが似合わないからどっか行った。


 数分後。


「ねぇトメ兄。お姉のイメージがえらいことになってるんだけど」


「説明してみなさい」


「髪はふえるワカメのように世界を覆い、目からのビームと鼻毛ビームで敵を鬱、じゃなくて撃つ。すね毛ロケット噴射で自在に空を飛びまわり、ひげだけは普通に生えていてダンディ。どんな攻撃も毛がガード、ミサイルも核兵器も効かない。その姿やまさに暗黒の魔王。いったいどんなシャンプーを使ってるのかと話題沸騰中」


「同じシャンプーを使うために?」


「や、絶対使わないために」


「だよねー」


「で、横にはなぜかタケダ」


「なぜ」


「ドラマの主人公がタケダって名前らしいから」


「影薄いなー主人公」


「きっと髪も薄いんだよ」


「そりゃタイトル負けで主人公失格だ」


 あっはっは、なんて笑いながらもぐもぐと最後のおかずをいただいて、二人そろって手を合わせて「ご馳走様」とぺこり。


「あ、しまった! 夕飯逃したか、あたしとしたことが!」


 そのとき、唐突にお姉が乱入してき――お姉?


「どちら様で?」


「は? なに言ってんのさ弟よ妹よ!」


「や、私たちのお姉は……トメ兄。ねぇ?」


「カカ。なぁ?」


『もっと剛毛なはず』


「よし歯ぁくいしばれ」


 私たちは鼻毛ビームをくらうことになった。




 ただ夕飯を食べながらダラダラ喋るだけの話です。剛毛。


 『枝毛は止まらない』実はちょっと執筆中。公開の予定はありません。

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