表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カカの天下  作者: ルシカ
769/917

カカの天下769「金は天下の回り物、あくまでテンカのではない」

 よう、テンカだ。金くれ。


 突然すまねぇな。金ねぇんだ金。ちょっと知り合いに貸しちまってよ、給料日まで余裕だと思ってたら先週飲みに行っちまってよ。ついつい使いすぎちまってやべぇんだ。どれくらいやべぇかっていうとだな、給料日まであと一週間もあるっつうのに千円もねぇ。やばくね?


「なぁ教頭、金貸してくんねぇか?」


「断る」


「んだよ、やっぱりデストロイヤーだけに財布の中身も壊滅的なのか」


「300円もない」


 ダメだこいつ、金にならねぇ。


「なんでそんなにねぇんだよ」


「彼女に使った」


 こいつマジうぜぇ。


「んあー……」


 ダメだ、金が無さ過ぎて心が荒む。ちょっと気分転換に学校の中でも散策しよう。


 言い忘れてたが今は昼休みだ。ガキどもが騒がしく好き勝手に暴れまわっている。いつもならそれを心地よくも思うんだが、金も心も足りねぇ今のオレには苛立つ対象でしかない。


「せんせー」


「金出せ」


「ひぃ」


「あ、違った」


 つい本音が。


「なんか用か? 坊主」


 小学二年辺りにいたな、こんなガキ。


「実は今日、お母さんにお使いを頼まれてたんですけど……10円落としちゃったんです。届いてませんか?」


「うちは交番じゃねぇ。っつうか、10円くらい失くしたって買い物はできるんじゃねぇのか」


「ぼくのお母さん細かいので、消費税から1円単位まで計算して渡してくれるんです」


 そいつぁうぜぇ。


「だから10円足りないと、他のものが買えなくて……」


「あーわかったわかった。10円くらいやるよ、ほら」


 胸元から財布を取り出す。


「えっと……あんまりないですね」


「財布の中身のことを言ってんだよな。胸じゃねぇよな。あ?」


「も、もちろん財布の中身です!」


 よしよし。若いうちは命を大切にするもんだ。ほれ。


「ありがとうございます!!」


 感謝して去っていくガキ。いくら金欠とはいえ、10円くらいなら惜しむもんじゃねぇ。


「テンカ先生! 電話かけたいので10円貸してください!」


「せんせー! ともや君が僕のカードやぶったー! 80円の!」


「そういうおまえだってこないだ僕の80円切手なくしただろー!」


「ああ、糖分が足りない……あと30円あれば自販機でジュースが飲めるのに……いま飲まなければ栄養失調で死んでしまうわ!」


「テンカせんせー、200円落としたよー。一割ちょーだい」


「テンカ先生。ゆーたです。この間ジュース奢りましたよね? 返してください、120円」


「テンカ先生、カカです。なんか面白い勢いなんで77円貸してください」


「カカちゃんったら縁起がいい数字を選ぶねー。じゃあ私は44円でー」


「わたしは99円がいいわっ」


 な、なんだこれは。オレの財布の中身が地味に減っていく――地味ってレベルじゃねぇぞ!? こんなチャチな出費のくせにオレの所持金は半分以下だ! うああこっちも金欠ってレベルじゃねぇ!!


『テンカ先生。ありがとー!!』 


 そして去っていく生徒とその他。なんだったんだこれは。この学校にゃ、ふざけたやつしかいねぇのか。


「……お、そこの女子生徒! 金持ってねぇか?」


「なに言ってるんですか。学校にお金なんか持ってきちゃいけないでしょう」


 うあぁ、マジメなやつもそれはそれでうぜぇ。ガキのくせに。


「それでも教師ですか」


 半端なくうぜぇ。


 っつうか。なんだか泣きたくなってきた。




「はぁ……」


 仕事が終わり、帰宅途中。オレは深々とため息をついた。


 冗談抜きで金がない。ガキの使いもできやしない。あーくそ、トメに特売情報とか聞いとけばよかった。あんにゃろたまに「この前、特売のコロッケが一つ18円でさ!」とか自慢してやがるからな、こういうときこそ役に――


「あれ、テン」


「金出せやコラァ!!」


「なんだいきなり、そんな似合いすぎること言って」


 偶然にもトメに出会っちまったから、つい。しかし今日はこればっか言ってる気がするぜ。


「実はな……金がねぇんだよ」


「またか? あのなぁ、金は余裕をもって貯めておけっていつも言ってるだろ」


 オレは鼻で笑ってしまった。


「あのな……金ってのはな、寂しがりやなんだよ。たくさんいるほうへ皆逃げてくんだよ。そして集まった金は幸せになるんだよ。それを持ってるやつも幸せ。皆そろって幸せ。わーいわーい幸せ幸せ。オレの幸せはどこだ!?」


「お、落ち着け」


 うるせぇうるせぇ。トメもうぜぇ。世界がうぜぇ。オレに金をよこさない世界の全てがうぜぇ!


「しょうがないな……奢ってやるから飲みに行くか?」


「神様かおまえは!!」


 ちょっと泣きそうになった。


「あ、ああ。僕はおまえと違って金貯めてるしな。ちょうど飲みに誘おうと思ってたところだし、たまには」


「さっきはトメ超うぜぇとか思ってごめんな!」


「そんなこと思ってたんかい」


 おう! だが今は違うぞ! なんだかトメがいい男に見えてきた。惚れそうだ!


「ま、いいや。んじゃ行くぞ」


「おー! 今夜は飲むぞ!!」


「おい、少しは加減しろよ」


「飲み放題つけていいか?」


「はいはい」


「あとな、あとな、白子が食べたいぞ!」


「今の時期って旬じゃないから高いんじゃ」


「えー、ケチケチすんなよー」


 うしゃしゃ。終わりよければすべてよし、だぜ! 


「かんぱーい!!」


 持つべきものは友達だな!




 べ、別に私が金ないからこれを書いたわけじゃあるんですからね!!

 

 金ないです。マジで。今年の健康保険税とか払えるかヤヴァイです。ここ数年病院に一度も行ってないので無駄金にしか思えません。うがー。


 誰かお金くれません?笑


 あーあと。とてつもなく久々にあんパン更新しました。誰か覚えてる?^^;

 まぁ話忘れた方も読み直したりしてやっていただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ