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カカの天下  作者: ルシカ
763/917

カカの天下763「ことの真相」

 急げ急げと走るカカです!


 トメ兄とユカさんが? それともキリヤンとサラさんが!? ちゅーしてたって、どっちの二人が!? クララちゃんとタマの案内で走る私とサエちゃん、そしてテンカ先生!


「クララ見つけました! あそこの喫茶店!!」


 クララちゃんが叫んで指さした! あそこにトメ兄たちがいるの!?


「美味しそうです!」


「だからどうした!!」


 マジメに案内しろや! とテンカ先生に怒られて、クララちゃんは反省しながら走り出す。ていうかマジメなのねテンカ先生。ふへへへ。


「クララ見つけました! あそこの二人!」


「いたか!?」


「二人ともブサイクです!」


「失礼だろが!!」


 テンカ先生に教育的指導を受けたクララちゃんは再び反省しつつ案内を再会。


 やがて。


「クララ見つけました! あの二人!」


「今度こそいたか!?」


「そろって屁をこきました!」


「耳いいなー、って知らねぇよ!!」


 トメ兄の代わりにテンカ先生がツッコんでます。お疲れ様です。


「まってくださいでしゅ!」


 タマちゃんが叫んだ! 足を止める私たち! 今度の今度こそ見つけた!?


「つかれたでしゅ」


「うがー!!」


 本当にお疲れ様です。


 事件を急いで持ってきたわりにはマイペース極まりない子供二人に吼える先生。ていうか先生だよね? 小学校の。こんくらいでイライラしてたら勤まんないよ?


「それだけトメお兄さんのことが気になってるんだよー」


 おお、私の心を読んだサエちゃんが応えてくれた。さすがは私の嫁。


「ところでタマちゃん? その『でしゅ』ってなに」


「萌え狙いー?」


「はいでしゅ」


 肯定するんだ。


「あいでんててーがだいじだから、くららとかぶったらだめって、かっちゃんにいわれたんでしゅ」


 かっちゃんってお姉のことか。なんか可愛いな。呼び方だけは。


「オラ! 呑気に喋ってねぇでさっさと行くぞ」


「焦ってますねーテンカ先生」


「ふん! オレは単にさっさと見届けてトイレに行きたいだけだ!」


 初めて聞いたよそんないいわけ。


「それで、クララ? タマ? てめぇらが目指してる場所ってのはどこなんだ」


「さっき通り過ぎた喫茶店です」


「早く言えやああああああ!」


「ていうかー、なんで通り過ぎたのー?」


「美味しそうって言ったら怒られたからです!」


 墓穴を掘ったねテンカ先生。


「とにかく戻れ!!」


 はーい、と先生の号令に素直に返事をして引き返す。だっしゅだっしゅ。しばらくして見えてくるさっきの喫茶店。急ぐ足を少しずつ遅めて、そーっと入り口から中を伺う。


「「「……あれ」」」


 首を傾げる私、サエちゃん、テンカ先生。


「クララちゃん……トメ兄とユカさんを見たんだよね」


「見ました!」


「タマちゃん。キリヤとサラさんを見たんだよねー?」


「見ましたでしゅ」


「なるほどな……その二人の組み合わせ同士で一緒にいる、とは言ってねぇわな」


「融通利かないねー」


「ま、子供だしね」


 テンカ先生の言葉に納得して店内を見る。確かにその四人がいた。ただし組み合わせは――壁側の席にキリヤンとユカさん。そこから隠れるような席でトメ兄とサラさん。


「何してんだろ。特にトメ兄とサラさん」


「なんかコソコソしてるねー」


「見た感じ、オレたちと似たようなことしてるっぽいな。いくぞ」


 テンカ先生は何かを察したのか、静かにしつつもトメ兄たちの席へと近づいていった。私たちも慌てて後を追う。


「よ、トメ」


「ん? テン! それにおまえら、何を」


「ダメですトメさん! バレちゃいますから静かに……あなたたちもほら、こっちへ!」


 慌てるサラさんに手招きされて、私たちはわけもわからず案内された席へと移動した。ちょうど、キリヤンとユカさんの席から見えない位置だ。


「で、何やってんだてめぇら」


「それは僕のセリフだけど先に答えてやろう。実はな」


「あーそうそう。てめぇらがちゅーしてたって本当か?」


「実はなーって説明する気になってんのに質問かぶせんなよ。ちゅーってこれか?」


 トメ兄とサラさんはテーブルにあったデザートを摘まんだ。すっぱー!! と唇がすぼんだ。ちゅーちゅータコかいなって感じの口だ。


「やっぱそんなオチか……ちっ」


「あ、本当にちゅーしたー」


「サエちゃん、そんな慰めは無用だよ。そんなことあるわけ」


「んーん、キリヤとユカさんがー」


「「「は!?」」」


 みんな仲良く首が取れそうなくらいの勢いで二人の方を見る。キリヤンは「はっはっは」と嬉しそうに笑っていて、ユカさんは顔を真っ赤にしてる。え、本当に?


「サエ、マジか? マジでしたのか!?」


「さーねー。ふふふー」


 なんでそこで否定すんの!? すごく気になるんだけど!


「っつうかよ、トメ。あの二人ってまさか」


「付き合ってるぞ」


「「「ええええええ!?」」」


 私たちが唖然とする中。


 クララちゃんとタマだけが、「ほーら、クララの言ったとおりです」「でしゅ」と胸を張っていた。




 ま、そんなわけでした。

 いつから付き合ってたんでしょうか? その答えは次の話で^^

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