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カカの天下  作者: ルシカ
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カカの天下76「サユカの任務、呼び方編」

 こんにちは、トメです。


 えー、今日は仕事から帰ってくると、いつのまにやら一人増えて仲良し三人組で妹達が遊んでいたわけなんですが……


「えーと……サユカちゃん、だったよね」


「はい、お兄様!!」


「……様はやめて」


「じゃあお兄たん!!」


「それはヤバすぎるからもっとやめて!!」


「は、はい! ごごごごめんなさい!!」


 えーっと、なんだろね。


 状況を説明すると、僕とこのサユカちゃんは居間のテーブルに座って向かいあってます。


 んで、残りのカカとサエちゃんは「あとは若いもんにまかせて」とか言って奥にひっこんでいった。といっても廊下の奥からこっちの様子を伺ってるけど。


「大佐、こちらカカ。おーばー」


「こちらサエ、感動旅行、おーばー」


「違うよサエちゃん。感度良好だよ。感動旅行ってなんかいい響きだけど」


「いつか一緒に行こうねー」


「……それ、ぷろぽーず?」


「え?」


「や、なんでもない、なんでもない」


 何をいちゃいちゃしながらスパイごっこしてるんだ、あいつら。


「あ、あの、お兄さん!」


「は、はい。なんでしょうか」


 なんか勢いに押されて敬語になってしまう僕。


「おまえって呼んでください!!」


「……は?」


「わたしのことを、おまえって呼んでみてください!!」


 おまえ? なんか会って間もない子にそんな乱暴な言葉遣いはどうかと思うけど……まぁ本人が言うなら。


「なにがしたいんだ、おまえ」


「……あなた」


「……は?」


 ぷしゅうううううぅぅぅ、ってな感じで赤くなって膨らんで破裂してしぼんでいくサユカちゃん……なんなんだ、一体。


「大佐、こちらカカ。応答願いますっ、おーばー」


「こちらサエ、どうしたカカちゃん。おーばー」


「なんかもう見てるだけで恥ずかしいですっ、援軍を要請しますっ、おーばー」


「いったいどうしたというのだっ、おーばー」


「なんか夫婦ごっこやってますっ、ブイブイしいったらありゃしません! おーばー」


「ブイブイいわせてるのかっ、それは危険だ、援軍はもう少し待てっ、おーばー」


 んー、よくは聞こえなかったけど、多分ブイブイしいじゃなくて初々しい、かな。


 にしてもサエちゃんがこんな固い言葉使うの初めて聞くな〜。


「あ、あの、お兄さん」


「ん? ていうかさ、なんの遊びなんだ、これ」


「へ? あ、いえ、そのっ」


「すごい顔になってるぞ、おまえ」


 もう一度「おまえ」と言った瞬間、サユカちゃんの顔がなんか爆発した。


「えーせーへー!! えーせーへー!!」


「援軍はまだかー!?」


 うるさいなぁ、外野。


 ていうか援軍ってなによ?


「援軍、ただいま到着!」


「援軍ておまえか姉!!」


「んー、弟よ、この子があんたの新しい妹?」


「妙なこと言うなっ」


「お姉、もうこの軍は壊滅だよ」


 どの軍だよ。


「大丈夫、あたしがなんとかしてあげる」


 そう言うと姉は、顔が爆発した名残で呆けているサユカちゃんをひょい、と抱き上げて……


「原爆、投下!!」


 僕のほうへと放り投げてきた……って、え?


 時間はスローモーション。


 サユカちゃんと目が合った。


 なぜかサユカちゃんは目をつむった。


 こちらに空を飛んで向かってくるサユカちゃん。


 そんなときに目をつむるもんだから――僕とサユカちゃんはイヤな感じに頭をごっつんこさせて脳みそ爆発(過剰表現)そしてくたばった。


「あらら、不発だね」


「ある意味ちゃんと爆発したけどね」


「この二人、どうなるんですかね……ふふ」


「うん、楽しみっ」


 ……気のせいか、意識が落ちる寸前になにか聞こえたような。


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